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アルスフェス2020の見どころ ・ Digital Communities ・

みなさん、こんにちは!博報堂ブランド・イノベーションデザインの山﨑健登と申します。博報堂は、毎年開催されるアルスエレクトロニカフェスティバルを、未来へのインスピレーションを得る機会として認識しています。ここでは、今年のフェスティバルの見どころの一つ、Prix Ars Electronicaの受賞作品を通じて、一若手イノベーションプラナーとして、作品からどのようなことを感じ、どのような未来へのインスピレーションを得たのか、ご紹介したいと思います!

Prix Ars Electronica 2020 デジタルコミュニティーズ部門について

「Prix Ars Electronica(アルスエレクトロニカ賞)」の受賞部門のひとつに、デジタルコミュニティーズ部門があります。本部門は、「社会的利益をもたらし、コミュニティを創造・支援し、オープンで包括的な市民社会を促進する」プロジェクトに焦点が当てられています。

今年は、COVID-19による世界的なロックダウンなどの影響が至る所に現われており、「Prix Ars Electronica(アルスエレクトロニカ賞)」自身も、1987年から33年続く歴史上で初めて、オンライン会合で審査が行われました。皆さんも仕事やプライベートを通じて、デジタル上での人とのつながりやコミュニケーションについて改めて考えさせられた方も多いのではないのでしょうか。本部門の作品を通じて、複雑化するソーシャルイシューや、デジタル化の進む未来の社会像について考えてみてはいかがでしょうか?

受賞作品:Algorithmic Justice League(AJL)

Algorithmic Justice Leagueは、人工知能(AI)システムがもたらす社会的影響や危険性に光をあてるために、芸術と研究を組み合わせた取り組みを行なっています。その代表的なプロジェクトに、MIT Media Labの論文としても提出された「Gender Shades」というものがあります。

Gender Shades / Joy Buolamwini (US), Timnit Gebru (ETH) / Video produced by Joy Buolamwini and Jimmy Day

このプロジェクトは、現在普及している顔認証アルゴリズムに、正確に顔認証されなかったという、AJL創設者のJOY BUOLAMWINI自身の体験を起点としています。
現在普及している顔認証アルゴリズムは、ジェンダー・アイデンティティと生物学的性別の区別もなく、男性/女性に二分されている上に、肌の色などによって顔認証自体されなかったり、性別を間違えたりすることが明らかにされました。また、その誤認率は、男性よりも女性で、そして、肌色が明るい人よりも暗い人に対して、高くなっていました。
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
その背景には、AIアルゴリズムに対する人的バイアスがあります。AIに学習させるデータセット(インプット)に偏りがあることで、アウトプットにも偏りが生じてしまうのです。この作品から、私たち企業は、データの多様性の欠如や人的バイアスを是正していく姿勢、そして、インプットやアルゴリズムの透明性や説明責任の必要性に、改めて気付かされるのではないでしょうか。

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Algorithmic Justice League / Founder Joy Buolamwini, Creative Communications Lead Nicole Hughes / Photo: Algorithmic Justice League

本作品に限らず、フェスティバルには、AIを題材にした作品が数多く参加しています。
・アルゴリズムによる差別や不平等にどう立ち向かうのか?
・地域格差のないグローバルスタンダードなAIシステムは構築できるのか?
・AIは、複雑で抽象的な概念をどこまで処理できるのか?
・データを扱う側と扱われる側の信頼関係をどのように構築すべきか?
・AI、人、自然はどのように共存していけばいいのか?、、、
ひとつひとつ、切り取っている問題や、その表現方法が異なり、多角的な視点や、様々な示唆を我々に与えてくれます。

大賞受賞作品:Be Water by Hong Kongers

今年、デジタルコミュニティーズ部門では、Prix Ars Electronica史上初めて、特定の個人や組織ではなく、「Be Water by Hong Kongers」という香港の民主化デモ(社会現象)が大賞を受賞しました。
受賞のポイントとして、香港のアクティビストたちが、クラウドソーシングやソーシャルメディアによる連携、オンライン署名や、アプリ開発に至るまで、様々なテクノロジーを駆使し、それらを、中心的指導者のいない状態で行なったことが挙げられます。
本作品は、未来のデジタルコミュニティのあり方や、デジタルテクノロジーの有効活用の可能性などに対する示唆に富んでいます。COVID-19により、デジタルコミュニケーションが更に加速する中、今後、我々は、デジタルとどのように付き合っていくべきか問われているように感じます。そんな問いに対する糸口が、本作品に眠っている気がします。

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Be Water by Hong Kongers / All protesters in Hong Kong taking part in the struggle to secure democracy / Photo: lok1126, Designed by Eric Siu

最後に

今回紹介した作品に限らず、デジタルコミュニティーズ部門の作品を通じて、未来の人と人とのつながりについて、共有されたビジョンの意味とその力について、連帯や信頼などに基づく社会や経済システムについて、多くの示唆を得られると思います。

私たちは、アート作品から、未来への重要な「問い」を得ることができます。COVID-19により、これまでの常識が一変した今だからこそ、「常識を疑い、新しい常識を作っていく」という姿勢が必要なのだと思います。Ars Electronica Festivalの作品を見ながら、未来の芽を探ってみませんか?



【ライター紹介】

山﨑健登
京都大学工学部地球工学科卒業。京都大学経営管理大学院にてサービスデザインを専攻。2018年博報堂に入社し、博報堂ブランド・イノベーションデザインに所属。イノベーションプラナーとして、未来洞察、デザインシンキングを生かした課題解決やサービスデザイン、様々な企業/商品/サービスのブランディングや新規事業開発に従事。本年より、Ars Electronicaプロジェクトに参画。大のファッション好きで、企業のユニフォームのディレクション等も行う。その他、D2C専門のコンサルティングを行う社内組織D2C Design Studio等にも所属。


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