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高校時代の彼氏の話 3/2

地元で一生を終えるのは嫌だ。
ここは狭くて窮屈で居心地が悪い。
思うこと、やりたいことはあるがまだ子供で身動きが取れない。
早く18歳になりたかった。

結婚観

彼氏は結婚するつもりのようだ。
結婚とは他人と家族になる制度だ。
彼氏の【家族ってどういうものなのか】という言葉を受けて自分に問いかけてみた。
私にとって家族とは主従関係であり、やめたくても世間体のためにやめられないものだった。
彼氏とこんな関係になりたくない。
今のままでいいじゃないか。
今はめちゃめちゃな生活してるけど、家を出たらマシになる。
今はまだ考えられないよ。

骨折と卒業

そんな時期に骨折した。
いたくない家にいるしかなくなって苦痛でしかなかった。
そして後回しにしてきた勉強が目の前にある。
なんせ足が折れている。
逃げも隠れもできないのである。
友達の一緒に卒業しようという言葉に励まされた。 
担任を始め学校側も卒業させようと色々配慮してくれている。
目の前のことをひたすらやった。
骨折しなかったら卒業できていなかったと思う。

18歳になったら全部終わるんだ。

18歳フリーター

無事卒業してフリーターになった。
以前の記事に書いた通りの思考に至って11月下旬に関西に出てきた。
彼氏のことは頭にあった。
2年後に結婚するということ。
この2年を家ではない場所で過ごして、地元に帰るつもりだった。
そうすれば何かが変わる。
心の準備ができると思っていた。
関西に出てきたのは思いつきでほんの下見のつもりだったのだ。

話し合い

私が関西に行ったことを知るや、彼氏は学校を休んで飛んできた。
なんと1週間滞在した。
高3の年の瀬である。
私を連れて帰るという。

一緒に帰ろう。

え?どこに帰るの?

別れ話

今すぐ一緒には帰りたくないと言っているだけなのに、彼氏は私がもう地元に戻ってこない前提で話をしていた。
今連れ戻さないとこのままだと。

「俺は遠距離恋愛はできないよ」

なんで決めつけるの?
まだ何も始まっていないのに。

「会いたいときに会えない距離なんて耐えられない」

今までだってそうやったやん。

そうではなかった。
彼は学校帰りに、店の外からバイトしている私を見ていたらしい。

「今までは話せなくてもいつでもお前の顔が見れたんだ。だから今まで続いたんや。耐えられないよ。」

なるほど。
確かに地味な男かもしれない。

彼は実家の後を継ぐと決めている。
地元で一生を終える以外の選択肢を検討したことがない。
晴嘉は地元にいない方がいい。
地元で一生を終えない以外の選択肢を検討したことがあるか?と聞かれて、ないと答えた。

私達の関係に答えが出た。
嫌いになったわけじゃない。
生き方が違うからもう一緒にいられない。

私じゃなくても

彼氏はいい男でありいい人間だった。
きっといい家庭を築ける。
私とじゃなくても幸せになって欲しい。

彼はこの5年後に授かり婚をして二児の父になっている。

私の男の好みはこの彼氏が原点だ。
くせっ毛でメガネで骨格がしっかりしてて冴えない感じの男。
そして上手い男。

付き合ってという言葉もなかったし、好きだとも言ったことがなかったし、私は一度も彼のことを下の名前で呼んだことがなかった。

初めての彼氏ではなかったけど、初めての恋だった。

私は今日も彼の面影を探している。

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