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高校時代の彼氏の話 骨折編(前編)

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付き合い始めて1年とちょっと、私が高校3年9月の土曜日の夜。バイト帰りに彼との待ち合わせ場所に走って向かっていて車にひかれた。

事故〜搬送

5メートルぐらい飛ばされ、車線のど真ん中に横座りしていた。
左足が関節がないところで曲がっている。

現場は騒然。
私の心も大騒ぎである。

通りがかった人が交通整理をしてくれている。

その日は他店で働いている元カレがたまたまヘルプで来ていて、店の前でバイバイして逆方向に向かったんだけど、騒ぎを聞きつけて戻ってきてくれた。

元カレが救急車を呼んでくれた。
運転していた人が警察を呼んだ。

ここで待ち合わせ場所で待っていた彼氏が、騒ぎを聞きつけて現場に来た。

今カレと元カレのご対面である。

男二人でどちらが救急車に同乗するか、私の保護者に連絡するかを話し合っている。

一方私は運転していた人に謝っていた。
完全に私が悪いのにペナルティがかかることが申し訳なかった。

元カレが運転していた人とも話している。

救急車に搬入され、元カレが乗ってきた。
彼氏は一回家に帰って原付きで向かうと言うが、元カレが明日にしな、と説得している。
なぜならすでに23時だったからだ。

現場には警察がいる。
事故処理のついでに補導されるぞ、高校生。

救急車はどこに向かうかわからない。
私はどう見ても入院確定だからどこでもいいけど、同乗した人はその後帰らなければならない。
元カレも彼氏も10代だけど、彼氏は高校生なのだ。

悔しそうな彼氏を残して、救急車の扉が閉められる。

救急車が動き出して、私は泣いた。
びっくりしたし、運転していた人に申し訳ないし、めちゃくちゃ痛い。
元カレが歌おうと言って、スピッツのスパイダーを泣きながら歌った。

病院到着

元カレとは救急入口付近でお別れ。
元カレが、頭は打っていますか?と聞かれて僕はその瞬間を見ていない、と答えているのが聴こえる。
ダイナミックに折れていたため(脛骨も腓骨も折れていた)、足の付根からつま先までのギプスを巻かれた。


処置室から出てくると元カレがいた。
この時私の保護者もいた。

元カレと私の保護者のご対面である。

私の保護者は元カレを嫌っていたので、元カレに暴言を吐かないかヒヤヒヤした。

こうして私は誰の家からも近くない初めて来た病院に入院することになった。

入院生活

目を覚ますと彼氏がいた。
一体何時に来てどれぐらい寝顔を見ていたのだろうか。
丸くて白いお月様みたいな顔に心配と悔しさが滲んでいた。
一緒に病院に来たかったし私の保護者に連絡するのも自分がしたかった、と可愛い顔に書いてあった。

彼氏の家から病院まではかなり遠いが、彼氏は毎日来てくれた。
学校が終わると一度家に帰り原付きで来る。

毎日たくさん話をした。

毎日来るの大変じゃない?と聞くと、ここに来たら必ず会えるから苦にならないと言う。

男の人を可愛いと思ったのはこの時が最初だ。

男の意地

入院期間は1ヶ月半。
彼氏は毎日来てくれた。

付き合ってくれとも言われてないし、好きだとも言われることもなかったけど、めちゃめちゃ愛されてるんなぁ…

たくさん話してきたと思っていたが彼が本音を言うようになったのはこの頃からだった。

自分のことを、遊び人のお姉さんと付き合っている地味な男、と思っていることを知って驚いた。
君は地味じゃないよ。
メガネかけてるだけだよ。
バリバリの陽キャだよ。
本当に愛おしい。

そしてちょっと待て。
私は遊び人ではない。

退院〜学校復帰

回復とともにギプスが小さくなり、松葉杖で歩けるようになってついに退院した。
通学は保護者に行きも帰りも車で送ってもらった。
「一人で歩けるようになるまで入院してたらいいのに。」
愚痴がエンドレスで非常に気まずい。
日常生活がいちいち大変で、彼氏と会えなくなったことはあまり気にならなかった。
私には情緒があまりないのかもしれない。

続く




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