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私は、いま住んでいる街が大好きだ。いつものコーヒースタンドや緑豊かな公園。早朝の神社参り、赤いランプが散りばめられた夜空、活気のある街の息づかい、会いたい人への距離。ぜんぶが愛おしい。そして、様々な人生が行き交い、受け入れ、見送っていく、という街としての度量が日本の中ではダントツにある。多様な人々の儚き出会いと別れが繰り返されるこの街の、血液みたいに絶えず循環する人との距離感が、私の肌にはとても合う。きっと同じように感じる人たちが日本中から集まっているのだろう、これまで住んだ日本のどの街よりも、人との繋がりを感じて、街への愛着が湧き、暮らしているんだという実感がある。住んでいる人たちがこの街を大切に思っているのも感じる。街に生かされた人たちが、街を活かしている、そんな気がする。

先日、この大好きな街を1日中がむしゃらに歩いた。歩き慣れた道をずんずんと。本当にさまざまな顔を持つこの土地は、道を一本過ぎると雰囲気がガラリと変わったりして楽しいのだ。数年前まではまさか自分がここに住むなんて想像もできなかったけれど、すっかりこの街の住人となったんだなぁ、と思い耽りながら。その一方で、ものすごく強くハッキリと、「また、ここに帰ってこよう」と思った。

そろそろ出発する時なのかもしれない、愛するこの場所を。私はどうしてもまた、旅に出たい。新しい土地で、人との繋がりを感じながら「暮らし」てみたいのだ。こんな風に愛せる街と出会う素晴らしい可能性が、世界には広がっているんだと。そんな可能性を見せ、視点を世界へ向けてくれた日本の中心、ここ渋谷に、いってきます!を言って。街に生かしてもらった私は、愛するこの街に還元できる私となって戻ってきたい。

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