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やり残しを防ぐのは

今日、ふと10年前に亡くなった祖父の事を思い出してました。

孫の僕が言うのもあれですが、僕の祖父は俳優にでもなれそうなくらい男前で、孫の僕たちには凄く優しくてずっと僕の中で憧れの存在でした。
僕は祖父が長崎県の離島から19歳の時に大阪に出てきた時の話が好きで、今までに何十回も話してもらって、今でも時々思い出します。

ザ・昔の九州男児という感じで亭主関白だけど無口という人でしたので、祖母や娘である僕の母からすると祖父がいると少し緊張するという様な存在だったみたいです。
僕らが祖父母の家へ泊りに行った時には祖父の日課である早朝の淀川への散歩に一緒に連れて行ってくれました。
寝ている僕達の所に来て、いきなり「行くで」と一言だけ言われて起こされたことは今でも良い思い出です。

そんな祖父はガンで亡くなりました。
病院が嫌いな人で体調が悪かったのに誰にも言わなかったので、病気が発見された時はもう手遅れ。
即日入院になった日から2か月後に息を引き取りました。

祖父のお葬式の日に僕は泣きませんでした。
親や兄弟、親戚は皆泣いていましたが僕が全く泣かないので冷たい奴だなと思われていたかもしれません。
でも、僕は祖父の事が大好きだったしもの凄く悲しかったんです。

だから僕は祖父の病気が見つかってから孫の誰よりもお見舞いに行ってました。
祖父がもう助からないと分かっていたから時間を見つけては祖父の所に通っていました。
祖父は無口な人だったので、時には何も話さずにボーっと病室にいただけの事もあって。
帰り際に、サッカー部だった僕に一言「ケガすんなよ」とだけ言ってくれました。

僕は「お葬式でそんなに泣くんなら、もっと生きている間にお見舞いに行ってあげれば良かったやんか」と心の中で思っていました。
「今泣いたってじいちゃんにはもう伝わらへんねんぞ」って。

あの時、僕は学生だったのでたくさん時間がありました。
今、同じ様にお見舞いに行けるかと言われたら難しいかも知れません。
でも、基本は同じ。限られた時間の中でやれるうちにやるべきことをやっていないと大切なことが伝わらないんです。

今、ニュースやネットを見ていると起きてしまった出来事に対しての議論が本当に多いですよね。
あの政治家の不祥事はどうだこうだ、不倫したあの人は前からこんな人だった、あの会見はどうだった、、、など。
それよりも、なぜそれが起こってしまったのか?起こる前にもっとやれることはなかったのか?を考えて話し合う方が大切ではないでしょうか。

今はメディアの普及で本来自分には全く関係のない情報まで簡単に入ってきてしまいます。
それについてあれこれ言う事に時間を使うのなら、もっと身近に今しか出来ないことを見つけてやれることをやっておいた方が後悔がないですよね?

10年前に祖父の病室に通った事ほどやっていて良かったと思えることはありません。
身近なリアルの世界にもっと目を向けましょう。
やり残しを防ぐのは今しかありません。

ではまた!


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