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土鍋とジンバブエとEV車のお話


画像提供:株式会社AKOMEYA TOKYO

皆さんがどれほど興味のあられるお話か分かりませんが、今日は土鍋とアフリカのジンバブエという国のお話です。

久しぶりの投稿なのに、今日は。。。みたいな毎日投稿している人のような書き出しで申し訳ございません(笑)

これからの季節、お鍋が美味しい季節ですよね。私も一昨日、萬古焼(ばんこやき)の土鍋で鶏鍋を作って、翌朝の雑炊までしっかり味わい尽くしました。

そんな日本の秋冬の食卓を盛り上げてくれる「土鍋」が、アフリカのジンバブエとどう関係してるの??と思われる方は多いですよね。で、EV車って?

実は土鍋の原料は各窯により差はありますが、ペタライトという鉱物が多く使用されています。ペタライトは土鍋の耐熱性を上げてくれる、土鍋の安全性を高める、それはそれは大切な素材でして、多くの土鍋メーカーは、このペタライトが無かったら土鍋の生産が滞ります。

このペタライト、ブラジル産だったり、世界には数か所鉱山があるそうなのですが、どこのものより、ジンバブエ産のペタライトが土鍋に適しているそうです。その「適している」というのも、ある金属の含有率が多すぎも少なすぎもせず程よい。その金属こそ、EV車の電池で使われるリチウムなんです。

もう見えてきましたか?世界的なEV車シフトによってリチウムの急激な需要の高まりで、ペタライトの値段が右肩上がりに上がっていました。しかし、ただの値上がりで済んでいたのはコロナ前のお話。今年に入ってジンバブエのペタライトの鉱山をレアアース争奪戦のあおりを受けて、それとアフリカで中国が幅を利かせている世界情勢と色々あり、なんと中国企業が買収してしまいました。そして、それから9月末の現在に至るまで、ジンバブエ産のペタライトは輸入できていない状況です。萬古焼の産地、四日市市の訴えに三重県知事は「国に働きかける」約束をしましたが、まだまだ解決の糸口が見つかった訳ではありません。

果たして、輸入できるようになっても、先述の程よいリチウム含有量のペタライトが入ってくるのか、その疑念を拭えないまま輸入停止前の6倍の見積書が届いたといいます。

弊社にとっても、実はこの問題、かなり大きく関係しています。有田にも実は耐熱食器(土鍋など)を専門に作られている安楽窯という窯元さんがありまして、実は得意先からの依頼で納品させていただいている炊飯用の土鍋がこれまたとても人気が高く、ペタライトが入ってこないとピンチなんです。中国から安定的に輸入が出来るという確約と、出来ればもう少しペタライトの輸入単価が以前に近づいてくれれば有難いんですが。。。

作陶する安楽窯の末村さん

窯元さんが安心してモノづくりに集中できる環境に戻ることを心より願います。とにかく私は窯元さんの情報を聞いて、生産性が少しでも上がるモノづくりのお手伝いに励みます。


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