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12月に読んだ本

 久々に読書感想文を。もともとは読書の記録をつける目的でnoteを始めたのに、随分と日が空いてしまいました。読みっぱなしで記録に残せていない小説も溜まっていて(米澤先生の『追想五断章』『本と鍵の季節』とか)。せっかく書くからにはもういちど読み返したい、と思いつつ、後回しになってしまうジレンマです。

 今月は3冊読みました。


『フーガはユーガ』 伊坂幸太郎

僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。
常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと。そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと――
実業之日本社HPより

 主人公は双子の風我と優我。暴力的な父親のもと、荒れた家庭環境で育った彼らには、"誕生日だけ互いがいる場所へ瞬間移動する"という不思議な現象が起こります。その現象を利用しつつ、不条理の渦中にいる同級生や少女との関わりを深めていきます。

 数年前に電車の広告で目にして以来、気になっていた一冊です。当時は伊坂作品を読んだことがなく、人見知り状態で手を出せずにいました。
 就職後に「お仕事小説」との紹介に惹かれて『チルドレン』『サブマリン』を読んだのを皮切りに、伊坂作品にハマりました。この夏に殺し屋シリーズを制覇して、次は何を読もうかな、と書店をぶらついていたときに目に止まったのでした。

 ……結論から言うと、読み返すことはないだろうなと思います。もちろん面白いです。息もつけない展開で、一気読みしてしまうほど引き込まれました。伏線回収も見事でした。でも、楽しいとは思えませんでした。
 同じく残忍な描写はありつつも、殺し屋シリーズは楽しめました。プロ同士の殺し合いだからこそ、勝手にどうぞと傍観者の立場で受け入れられたのかもしれません。でも、抵抗できない弱者が痛めつけられる描写はどうにも後味が悪くて、やるせない。なんというか、安全地帯にいる自分が彼らの不幸をエンタメとして消費する違和感というか。小説って大体そんなものですが、この作品が扱っている題材が重いせいか(虐待とか、小学生が被害に遭う犯罪とか)、純粋な娯楽として楽しめない。どんなスタンスでこの物語を追えばいいのか、ラスト1ページまで戸惑いが消えませんでした。結末も切ない……。大変な思いをしたのだから、最後は浮かばれて欲しかったな。


『真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥』
 大沼紀子

真夜中に開店する不思議なパン屋「ブランジェリークレバヤシ」。希実の母・律子の死から五年の月日が経ち、暮林や弘基の周辺には様々な変化の波が訪れていた。それは、常連客である斑目やソフィアやこだま、美作親子や多賀田たちにとっても同様だった。そしてもちろん、希実にとっても……。累計140万部突破のベストセラー「まよパン」シリーズ、ついに完結!!
ポプラ社HPより

 学生時代、夢中になって読んだ『まよパン』。5年ほどブランクが空いてしまったけれど、ようやく最終巻を手に取れました。
 衝撃だったのは、大学に無事入学した希実が心を病んで引きこもっていたこと。幼少期からいろいろあったものね……。暮林と弘基のさりげない支え方が優しいです。希実はきっと、周りの人に見守られつつ苦しみを受け入れて生きていくのだろうな。
 希実と交際を始めた弘基に、暮林が釘を刺す場面では吹き出しそうになるのを堪えていました。のほほんとした彼からあんな台詞(海に沈める、とか)が飛び出すなんて笑ってしまいます。
 今作は後日談のような位置付けなのでしょうが、さらにこの先も読みたいです。ぜひ社会人編も書いてください、と大沼先生にお願いしたいくらい。


『聖☆おにいさん(19)』 中村光

目覚めた人ブッダ、神の子イエス。世紀末を無事に越えた二人は、東京・立川でアパートをシェアし、下界でバカンスを過ごしていた。近所のおばあちゃんのように、細かいお金を気にするブッダ。衝動買いが多いイエス。そんな”最聖”コンビの立川デイズ。
講談社コミックプラスHPより

 こちらも学生時代から追いかけていて大好きな作品です。主人公がブッダとイエスという、海外では物議を醸すんじゃ……とハラハラするような組み合わせだけれど、これがもう、ほんとうに面白くて。聖人お二方にかかれば日常の些細な出来事も優しい笑いへと化します。仏教とキリスト教にちょっぴり詳しくなれるのも嬉しいポイント。もう19巻まで来たんだなぁ。これからも着いていきます!


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 仕事疲れから少し回復して『蜜蜂と遠雷』を読み始めました。まだまだ序盤ですが面白くなりそうな予感です。コンクールに登場する曲を聴きながら読もうと目論んでいます。こちらもいつか記録に残したいな。

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