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憧れのたべもの 児童文学編

本に出てくる食べ物って、どうしてあんなにおいしそうに見えるんでしょう。

実際食べたことがあるものでも、きっと自分が食べたもの以上においしいんだろうなと確信してしまいます。
食べたことがないものは、想像力に底上げされて余計おいしそうに思えます。子どもの頃ページをめくりながら、どんな味がするんだろう、食べたいなあ…と想像を膨らませたものです。

特に印象に残っている作品と食べ物を、3つ挙げたいと思います。

1. 『ナルニア国物語』─プリン(ターキッシュディライト)

「そちの一番好きなものはなんじゃ」
「プリンでございます。女王さま。」
すると女王は、おなじびんから、雪の中へまた一しずくたらしました。
するとたちまち、緑色の絹のリボンでしばった、まるい箱があらわれ、それをひらくと、おいしそうなプリンがどっさりでてきました。
どのプリンもふわふわしていて、あまくて、これ以上おいしいものをエドマンドは食べたことがありませんでした。


小学生の頃に読んだ『ライオンと魔女』より。エドマンドが魔女に操られる元凶となるプリン、とても魅力的に描かれています。

プリンって「ふわふわ」というより「ぷるぷる」じゃない?と少し違和感を覚えつつ、おいしそうだなぁ、どんなプリンなんだろうと夢を膨らませました。雪の中からお菓子を作り出すというのも素敵ですよね。

原作では、ターキッシュディライト(Turkish delight=トルコの悦び)という別のお菓子です。翻訳の際、日本では馴染みがないとしてプリンを訳語に充てたそう。砂糖、デンプン、ナッツでできていて、食感はゆべしに似ているようです。

2006年に公開された映画では、原作通りターキッシュディライトが登場していました。エドマンドがほっぺたに粉砂糖をつけながら夢中で頬張っていた光景が忘れられません。日本でも買えるのかしら。いつか食べてみたいなぁ。



2. 『モモ』─マイスター・ホラの食事

テーブルの上には、ずんぐりした形のポットと、二つの小さなカップとおさら、それにスプーンとナイフがならんでいました。どれもこれも、ピカピカの金でできています。金褐色にパリッと焼けた巻パンが小さなかごにならんでいて、金色のバターの入った小鉢と、まるで液体の金のように見えるはちみつの入ったつぼもあります。マイスター・ホラは、ずんぐりしたポットから両方のカップにチョコレートをついでから、身ぶりよろしく食事をすすめました。


灰色の男たちから逃れ、疲れきったモモが、おじいさん─マイスター・ホラに食事をごちそうしてもらう場面です。

パリッと焼けた巻パンに、バターとはちみつを塗って食べるんです。バターと蜂蜜を塗ったパン(食パンですが…)なんて何度も食べたことがあるのに、次元が違うくらいおいしそうに見えました。

さらに飲めるチョコレート!ただ「ココア」と書かれているよりも魅力的に思えます。きっと生クリームがたっぷり入っていて、チョコの風味が濃厚なんだろうなぁ。

食器はすべてピカピカ輝く金でできている…。ため息が出そうです。モモの本でいちばん好きなシーンと言っても過言ではありません。



3. 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』─バタービール

ロンが大ジョッキ三本を抱えてやってきた。泡立った熱いバタービールだ。
「メリー・クリスマス!」ロンはうれしそうに大ジョッキを挙げた。
ハリーはグビッと飲んだ。こんなにおいしいものはいままで飲んだことがない。体の芯から隅々まで暖まる心地だった。


魔法のお店がたくさん集まるホグズミード、そこにある居酒屋『三本の箒』の名物です。

読んだ当時は小学生。当然ビールの味はわかりませんが、「バタービール」その名称だけでおいしそうと思っていました。
成人した今、ビールの味は正直苦手。でもバタービールは普通のビールとは違うと信じています。ふわふわの泡が乗っていて、バターの風味が効いているあったかい飲み物、どんな味がするんでしょう。

映画でも、ハリー、ロン、ハーマイオニーがバタービールで乾杯する場面が出てきます。皆なんとも美味しそうに飲むんですよね。

USJのハリーポッターエリアで販売されているようですね。ただ、私の周りで実際に飲んだ人たちの評判は芳しくありません。曰く、「甘すぎる」「一口飲んだら満足」とのこと。私もいつか挑戦したいものです。


おいしそうだなぁと思ったものって、作品の展開や結末を忘れても、不思議と記憶に残り続けています。
私が食い意地の張った子どもだったせいもあるのでしょうが…。

いつか、魅力的な食べ物のシーンをまとめた記事を書いてみたいなぁ、とぼんやり思っています。

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