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雨は外界と自分を隔てるカーテン

独り身のときは毎晩飲みに行ったものです。
私は交友関係が広いわけではなかったので、だいたいが一人飲み。
21時頃に帰宅し、スーツから着替えて夜な夜な一人で出かけるのが日課でした。

行き先は行きつけのバー。
自宅から徒歩で10分くらいのところにある駅前のバーがお気に入りでした。

仕事で疲れた身体と心には、自宅を出てからバーまでの10分間が短いようで長い。
駅から離れていく人たちを見ると、今が帰りなのかとその人たちの仕事の大変さや、家では誰か待ってくれている人がいるのだろうかと、妄想を膨らませ、感傷に浸ることもしばしば。

ですが、雨の日だけはそんな妄想に囚われることなく、一人の時間を過ごすことができました。

雨は外界と私を隔てるカーテンのように外からの刺激を遮断してくれました。

雨によってもたらされた静けさ、肌に雨が当たる感触、街路灯が雨で反射しキラキラと光る様子、全てが心地よく感じました。

仕事によって様々な情報が目まぐるしく行き交うことに嫌気がさしていた私にとっては、雨の日は一人物思いにふけることができる静かな至福の時間でした。

今でも雨が降っているとその時のことを思い出し、一人だけの静かな時間を過ごしたくなります。
娘が寝に入ったあと、窓辺で降りしきる雨を眺めながらグラスを傾け、あれこれと思いを馳せるのはやはり楽しいものです。

妻には変な目で見られることもありますが。(笑)

皆さんが思う楽しいとは少しズレているかもしれませんが、これが私の雨の日の楽しみです。

#雨の日をたのしく

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