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#ドラマ感想文 2023年春クール、存分に楽しませていただきました!

2023年4月期のドラマのうち、最終話まで完走できたのは5作品でした。

大げさな話ではなく、こんなにたくさんドラマを追いかけたのは生まれて初めてです。大河ドラマを入れたら毎週6本もドラマを見ていたわけですから!(おまけに今季はNHK朝ドラもチェックしているので、本当に毎日テレビばかり見ている状態です)

私は、
・アクションやサスペンスものが好き(特に詐欺師ものは大好物)
・バディものが好き

なのですが、今季は私の性癖に突き刺さるドラマが揃っていました。

ラストマン-全盲の捜査官-

「あなたとはいいバディになれそうです」
「お別れする日が楽しみです」

全盲の人たらしFBI捜査官と犯人逮捕のためには手段を選ばない孤高の刑事が凸凹バディを組んで難事件に挑んでいく! そして、その先には誰も予想できない運命が待ち受けていた。
ミステリアスなストーリーが交差する、新時代の痛快バディドラマがいま、開幕!

TBS日曜劇場・公式サイト

とっても贅沢なバディ!!
主演級二人のバディものというと、両方のスターに忖度するせいで脚本が破綻し、わけのわからない話になってしまうこともありますが、今回は今泉洋がツッコミ役に徹して福山雅治の活躍を引き立てていたので、安心して見ることができました。

《本作の良かったところ》
①事件ものとして見ごたえのある脚本。最終話を除いて脚本にほぼ破綻がなく、気持ち良くワクワクさせてもらえました。現代の世相を反映した事件が多く、新しさを感じることができました。
②事件のシリアスさを邪魔しない、登場人物の軽妙な会話。特に主人公バディの会話が楽しくて最高でした。
③「初めは反目していたのに、やがてお互いに認め合い、深い信頼関係で結ばれる」というバディものの王道中の王道ともいえる展開。そう、こういうのを見たかったのです。
④FBI捜査官・皆実は、『ガリレオ』の湯川教授を思わせる超・天才。これもたぶん、みんなが見たかった福山雅治でしょう。けれども皆実は全盲であるがゆえに、どれだけ個人としての能力が優れていても、周囲の人の力を借りないわけにはいかない。そのせいもあって、皆実は謙虚さや人の心の機微を感じ取る能力を備えています。皆実は、令和の時代に受け入れられやすいようアップデートされた湯川教授なのだと思います。
(私は、人情の機微がわからない傲岸不遜な湯川教授も大好きですが)

ラストに明かされる真実は、正直「ちょっと無理やりだな」と感じるところもありましたが、主演二人の大熱演にもっていかれ、細かいことはどうでもいいやという気になってしまいました。
何よりも良いのは、黒幕の動機が「愛」だったことです。
自分が深く愛されていたことを知って「お父さん」と号泣する心太朗の姿には、心を揺さぶられずにはいられませんでした。泣きましたね! 後味の良い落ちでした。

この最高なバディの今後を見たい気持ちもありますが、とても良い締め方だったので、ここで終わっておくのもいいのかな、とも思います。

合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~

頭脳明晰、そして変装を武器とする女探偵・上水流涼子が、IQ140の相棒・貴山伸彦とタッグを組み、さまざまな依頼を、超大胆な方法で解決していく。不条理がまかり通る現代の“あり得ない”敵を、“あり得ない”手段で葬る、極上痛快エンターテインメント!

カンテレ・公式サイト

暴力事件を起こして弁護士資格を失った主人公が探偵事務所を開き、法で裁けない悪党たちを、あの手この手でこらしめる――という設定を聞いただけで、面白そうでワクワクします!

実際には、脚本はかなりザルで、ツッコミどころが満載でした。「そんなのじゃ悪党を追いつめられないだろ。簡単に逃げられるだろ」とか「無理やりだな!」とか言いたくなる場面が何度もありました。

しかし、ストーリーに粗があっても、基本は文句なしの「勧善懲悪」なので、気持ち良く見ることができます。それに、細かいことはどうでもいいと思わせるほど、主人公コンビに魅力がありました。

元弁護士の女探偵と、IQ140の天才青年の助手。とっても賢い二人のはずなのに、二人の会話はゆるゆるで、二人の作戦はぐだぐだです。初っ端から繰り広げられる涼子のパーティ潜入大作戦に爆笑しました。
昭和のかほり漂う涼子の変装? コスプレ?が毎回振り切っていて、楽しかったです。あらゆる作戦が毎回微妙にうまくいかないのも良き。バディのうち腕力担当が涼子なのも現代風で良かったです。

二人のドタバタぶりが面白かったので、この作品については続編を熱烈希望です。

弁護士ソドム

小田切渉(福士蒼汰)は、詐欺加害者専門の弁護士だ。金にならない仕事は全く引き受けない。刑事弁護を儲からない仕事とけなし、民事弁護を中心に活動している。詐欺加害者を弁護するということは、騙された弱者ではなく騙した側に味方するということ。その人道にもとるやり方や、強引な手法・拝金主義から、法曹界では悪徳弁護士、別名「ソドム」という忌まわしい名前で呼ばれている。渉が詐欺加害者専門の弁護士になったのはなぜか?彼の真の目的とは?

テレビ東京・公式サイト

第1話を見た感想は「これ、単に、弁護士資格を持ってるクロサギじゃん」というものでした。詐欺師専門の弁護士として、詐欺師に近づいて情報を集めたうえで、自分のチームを率いてその詐欺師から金を巻き上げる。
既視感はあるものの、チームプレイ詐欺の描写は楽しかったです。

聖書をモチーフにしているせいか、ダークな画面に、意味ありげに映し出される十字の形。揺らめく炎に向かって「地獄の業火で焼き尽くす」とつぶやく主人公……。
こういう雰囲気は大好物です。法廷シーンがショボ過ぎるのが気になりましたが、主人公にはぜひ悪の道を邁進してもらいたい、と期待がふくらみました。

けれども、かなり早い段階で、主人公が正義の心を内に秘め、悪の仮面をかぶっているだけであることが明らかになります。
惜しいなぁ。主人公の突き抜けたワルぶりを、せめて3、4話は堪能したかったのに。
「本当は良い奴」とタネ明かしをされてしまうと、とたんに主人公が小粒に見えてしまいます。

でも、まあ、全7話ですので展開が速いのは仕方がありません。

主人公の真の目的が明らかになり、ラスボスとの対決へ向けてスピーディに物語が進みます。無駄なエピソードがなく、テンポの良い展開なので、最後まで引き込まれて見てしまいました。

主人公とヒロインとの間柄が恋愛未満で終わったのが、上品でとても良いと思いました。
それにしても、ヒロインが弁護士として無能すぎっ! 
法廷シーンに全然説得力がないので、こんなのなら無理やり弁護士設定にしなくてもよかったんじゃないか、とさえ感じました。復讐物語である本筋とは関係の薄いシーンなので、それだからこそ、視聴者に理解してもらえないことを恐れず、せめて『SUITS』(日本版)レベルの法廷シーンを作ってくれたらよかったのに……。

風間公親-教場0-

それなりに面白かったし、最終話までしっかり視聴しました。それなのに、なんだかモヤモヤした不完全燃焼感が残るのはなぜでしょう。ラストが完全に「続編ありき」のもので、きれいに終わっていなかったせいかもしれませんが。。。

《本作の微妙だったところ》
①事件ものとして、見ごたえのあるエピソードとないエピソードの差が著しかった。
多くの人に指摘されていますが、首をひねりたくなるような荒唐無稽なトリックが散見されました。どうやらそれらは原作通りだそうです。ミステリー小説では「普通そんなことはやらんだろ」という荒唐無稽なトリックはあるあるです。ただ、それをドラマという映像に落とし込むとき、違和感を抑え、説得力を持たせる見せ方はあったはずです。脚本か演出の問題なんだろうなーと感じました。
②そもそも殺人現場でOJTすんなよ、という違和感。まあ、これも原作通りだそうですが……。
③一話完結のミステリーと、各新人刑事が自分の抱える精神的な問題を克服して成長していく二話完結の青春?ストーリーを詰め込んだことにより、消化不良を起こして、どっ散らかった印象を与える。
やろうとしていることはわかりますし、そんなに悪くない試みだったとは思いますが、いかんせん、全体的にごちゃごちゃしていました。殺人事件がついで・・・みたいに扱われて、「我々はいったい何を見せられているのか」と感じたり(そこへもってきて、トリック自体もツッコミどころ満載だったりするのでなおさら)。
せめて各刑事のエピソードを三話完結ぐらいにして、もうちょっと落ち着いて描写すれば、共感も感動も深まったかもしれません。
シーズン全体を貫く「縦軸」がいまいち縦軸として機能していない。
「教場II」からこの「教場0」へついてきた視聴者のお目当ては当然、風間の右目を奪った凶悪犯との対決です。いつ、どんなタイミングであの悲劇が起こり、その結果風間はどうなるのか。それが見たかったのです。
シーズン最終話に来るかと思われていたこのエピソードは、意外にも第6話に登場します。
ここで何かが大きく動かなければならなかったのに。風間はその後もこれまでと変わらず新人刑事の「指導」を続けます。重傷を負って意識不明となった若手刑事や、街をうろついている犯人の姿が意味ありげに何度か写されますが、それはそれとして、風間は平常運転で業務をこなし続けます。
第9、第10話に登場するバイオレンス若手刑事・染谷将太の存在感がすごいので、「凶悪犯との対決」エピソードはいっそう印象が薄くなります。

このドラマに不満が残る理由は、放映開始前には「風間がいかにして冷酷非情な『教官』風間公親に変貌を遂げたのかが明らかとなる」とうたわれており、こちらもそれを期待して見始めたのに、全然、明らかにならなかったからです。
現役の刑事時代には人情に篤く、心優しいところもある「熱い」男だったのに、悲惨な事件がきっかけで心が冷えきってしまった、とか、そういう展開を期待していたのに。
刑事だった時代の風間は、「教場I」「教場II」に登場する風間と、全然変わりません。冷酷でぶっきらぼうで、顔が怖いです。つまり変貌していないのです。右目を失ったことがきっかけで彼の内面に変化があったというわけではないようです。風間は過去も現在も、あの風間なのです。
それだけで、もう第1話の時点で「なーんだ、だまされた」となってしまいます。

ドラマのラストで、風間は刑事を辞めて警察学校の教官となる決意をします。
そこへ至る流れは、いちおう描写されてはいます。意識不明の重体だった若手刑事が亡くなった後、いつも無表情な風間が一人、珍しく激情をあらわにします。
また、若手刑事を刺し、風間の右目を奪った凶悪犯を二人組の警官が逮捕しますが、手続に問題があったため釈放されてしまいます。それを見て「警官になる前から厳しく訓練することが必要だ」と風間が思い定めたとしても、無理もないとは感じられます。
けれども、その流れが、まったく胸に迫ってこない。
風間の「変化」に、劇的なものを感じられないのです。だから、いきなり教官になってしまうラストに唐突感すら覚えます。

たぶんそれは、「凶悪犯の襲撃」エピソードを「空気」にしてしまったせいでしょう。
あのエピソードの後に、平常運転の風間を見せることによって、エピソードのインパクトが薄らいでしまいました。襲撃があってから4話(4週間)も後に涙を見せられても。ぐっとこないんですよね。

「過去の風間が、いかにして現在の風間になったのか」を見せるためのドラマなのだから、もうちょっとその点を丁寧に――むしろその点を中心にしたドラマ構成にしてほしかったと思います。

その他

★Unknown
そもそも恋愛ものが好きではないので、自分一人なら絶対に視聴しなかったと思いますが、同居人が見ているのでつい一緒に見てしまいました。
唐突なファンタジー設定にいきなり度肝を抜かれました。
「ラブサスペンス」と銘打ちながらサスペンス要素はほんの申し訳程度であり、延々と続くラブイチャシーンにげんなりしました(たぶんそれは好みの問題。こういうのが好きな人がいることは理解できます)。
何でもOK、後出しOKの世界観であり、緻密なミステリーをやるつもりはないんだろうな、と早い段階で見当がついたので、まじめに考察に取り組む気にはなれませんでした。
とはいえ、事件が動き始めた第5話~第8話は面白かったです。あとヒロインが可愛かった。

クライムファミリー

天涯孤独にして一文なしの詐欺師・松田郷(本郷奏多)は、裕福で品行方正な佐々木家に狙いをつけ、経歴を詐称し一流家庭教師として潜入する。しかし、その一家はそれぞれ窃盗、詐欺、恐喝と、郷以上の犯罪に手を染めるとんでもない“犯罪一家”だったと判明する。

主人公が詐欺師というのに惹かれて見始めました。軽妙な展開で、先が気になるストーリーでしたが、「主人公が振り回され、ひどい目に遭わされる」系の話が苦手なので1話で離脱。

NHKドラマ

どうする家康

(ファンの皆さんごめんなさい。どう家がお好きな方はこの先を読まないことをお勧めします)
もともと、いつまで経っても成長しない主人公に嫌気がさしていたのですが。於愛の方のとってつけたようなドジっ子&オタク設定と、ストーリーの流れをぶち壊す素っ頓狂な発声に心の底からげんなりしました。例によって「若い視聴者はこういうの好きなんだろ? 癒されるだろ?」という作り手のドヤ顔が見え隠れします。
瀬名が退場したら、この於愛の方がヒロインとなるわけです、しばらくは。
主人公とヒロインに嫌悪感しか抱けないドラマはもう無理だな。瀬名の退場まで見届けて、視聴を切ることを決めました。

昨日放映の第25回は全然感動できませんでした。
脚本がひどい。脚本家が描きたいのは瀬名なのでしょう。それはわかります。でも、それ以外のキャラがすべて「駒」になってしまっている。
信長が、天敵・武田と結んだ家康をおとがめなしで許すわけはないでしょう? 数年がかりのあからさまな裏切り、同盟違反だというのに。鎌倉殿なら即座に族滅です。家康に対するBL的な愛情のせいで許すのだというなら、せめてそれを描写すべきでした(あの不自然なまでに濃厚な愛情設定をここで使わないのなら、何のために導入したのか、という話です。本当にただの浅はかなファンサだったのですね?)。
それに、家康の思いついた「信長をだますのじゃ」というプランも、わけのわからないものです。脚本家が結果から逆算した、とってつけたような計画です。そういう計画を、「今まで描かれてきたような性格とバックグラウンドを持つ家康ならきっと思いつくだろう」という説得力がまるでない。

こういうの、Web小説でよく見かけます。キャラクターが「人間」ではなく「話を進めるための駒」になってしまって、適当に動かされている小説を。
キャラクターが、まったく深みのない形式的なセリフを吐いたり、そのキャラなら取るはずのない行動をとったりします。作者がお目当ての場面を早く描きたいので、そこへ至るまでの過程の描写が手抜きになってしまうのです。

本来なら「このキャラはこの状況でそんなセリフを発するか?」「合理的に考えてこのキャラがそんな行動を取るか?」を、すべてのキャラクターについてすべての場面において考えなければならないのに。

昨夜の25話でも、そういう雑な話の進め方を感じ、見ている側としては白けてしまいました。冒頭で「ンなわけねえだろ」と感じてしまうと、もう話には入っていけません。
もちろん、瀬名と信康まわりのシーンはめちゃくちゃ力がこもっていました。そこが脚本家の書きたかったところでしょうから。でも、それ以外の展開が雑すぎる。。。
まあいいや。来週からもう見ないんだし。

と思っていたのですが。
次週予告に「絶望が野望に変わる」の文字が。
「殿は変わられた」「あのような殿は見たくない」「家康から目を離すな」というセリフが飛び交います。
おや? 最愛の妻を失ったショックで、ダメ殿・家康がようやく覚醒するのでしょうか。主人公が今までまったく成長しなかったのは、ここからの変化を際立てるためだったのでしょうか。
だとすると、見どころはこれからなのかもしれません。とにかく来週までは見てみようと思います。黒・家康を期待したいです。

らんまん

これも同居人が見ているのでつき合いで見ているドラマですが。
主人公がなにげに俺TUEEEであることと、主人公と竹雄とのバディ感が朝ドラらしくなく楽しいので、つい惹き込まれてしまいます。

けれども、バディ二人がそれぞれの相手と結ばれ、バディが解消されてしまったので、本作の魅力が大幅に低減したと感じています。

度を越した植物オタクで生活力のまったくない主人公を、これまで竹雄が献身的に支えてきました。竹雄だけが一方的に振り回され、苦労させられる役回りでしたが、そんな二人の間柄も、男同士だから笑って見ていられたところがあります。
これからは、主人公を献身的に支える役割を、妻が担うことになるのでしょうが。

正直、男のやりたいことを支えるために苦労する女性の姿なんか、見たいとは思いませんね。内助の功なんざクソ喰らえです。

現代の価値観に寄せるため、脚本に工夫が感じられます。ヒロイン(主人公の妻)は八犬伝オタクで、冒険が好きというキャラ付けがなされています。彼女は主人公に振り回されて苦労することになる人生を「冒険」ととらえ、「私も万太郎さんと一緒に冒険していきたい」とポジティブっぽく語っています。

明治時代の「内助の功」ストーリーを、どうやって現代人に嫌悪感や違和感を抱かせないよう見せてくるのか。警戒しつつ見守りたいと思います。

総括

それはそれとして。
今季は「主人公orメインキャラの父親が犯罪者」(または、その疑いをかけられている)というお話がやけに多かったですね。
「ラストマン」「合理的にあり得ない」「弁護士ソドム」「unknown」がみんなそのパターンでした。

そんな偶然、あり得るものでしょうか?

「各局のドラマは全部同じ人/会社が企画を書いてるんじゃないのか」と思ってしまいましたよ。

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