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作ったプロットがつまらないと感じたら

今回完結させた新作は、着手してから完成まで10か月かかっています。
実際に書き始めたのは9月の上旬ですので、執筆にかかった時間は正味2か月足らずです。
あとの時間は何をしていたのかというと、プロット作成と下調べです。
(まあ、他の作品をちょこちょこ書いたりもしていましたが)

プロット作りには本当に苦労しました。
いったん最初から最後まで作り上げたプロットが気に入らなくて没にする、ということを7回も繰り返しました。こんなことは初めてです。
「エピソードとエピソードをつなぐ輪が思いつかなくてプロットが進まない」ということはよくありますが。完成させたプロットをこんなに没にしたことはありません。

プロットはできた、起承転結もある、だけど……ぜんっぜん面白そうじゃない。この話で何を伝えようとしているのか、作者にも見えない。

自分でも面白さが見いだせない、という理由でプロットを没にしたのです。
つらいなぁ。

しかし、この作品の執筆を、これ以上先延ばしにできない理由がありました。
自分でも全然納得できていないし、どう考えても面白くなりそうにないプロットですが、とにかく実際に書いてみることにしました。「気持ちがこもっていなくても、とりあえず6万字の文章なら書ける。小説の体裁だけは整えられる」などと、ひどいことを考えていたのを覚えています。

プロローグを書いて、第1章へ。

主人公の住む町に名前を与え、主人公の外見を描写しました。

その瞬間、魔法がかかったように、私はその主人公を好きになりました。このキャラの来し方や現状、このキャラなら取りそうな行動とその顛末、このキャラの気持ち、このキャラの住む世界、などが次々と湧き上がってきました。

文章がすらすらと流れ始めました。
具体的に書けば書くほど、その書いた内容に基づいて、「ああ、これがこうなったら面白いだろうな」と枝葉が派生していきます。
深く考えず記号として配置していたサブキャラにも血肉が通うことにより、プロット段階では思いもよらなかった言動をするようになります。
どんどん物語世界に厚みが出てきます。

書いているうちに、メインキャラの姿が自分の中でどんどん鮮明になっていきました。
そのおかげで、ラストバトルでは、プロット段階では思いもつかなかったカタルシスを生み出すことができたと思います。ラストバトルで、メインキャラのそれぞれに大きな内面上の変化を起こすことができましたので。
これはすべて、実際に文章を書いているうちに思いついたアイディアです。

今回の執筆で学んだことは、
「プロットを頭の中だけでこねくり回しているより、実際に手を動かして小説を書いてみた方が、良い結果が生まれることもある」
ということです。

もちろんこれは一般論ではありません。「私にとっては」ということです。

それに、プロット作りに費やした長い思考の時間があったからこそ、新しい展開をすらすらと破綻なく思いつけた、という側面もあると思います。

しかし――私は、書く前にプロットをがっちり固めようとする傾向がありますので――頭でっかちになりすぎず、たまには見切り発車してみてもいいのかな、と感じました。「満足の行くプロットができない」という理由でお蔵入りしているネタもたくさんありますので。


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