難関資格合格者の学歴に見る人生逆転の難しさ
資格の中には、特定の仕事に就くために必須とされるものがあります。このような資格は業務独占資格と呼ばれ、国家が法令によって無資格者の業務を禁止しています。
一般に、なり手が多い仕事は賃金が下がり、少ない仕事は賃金が上がります。これは経済学の需要と供給の関係に基づく現象です。
資格を持った者しかできない仕事は、なり手が少なくなるため、他の仕事と比較して賃金が高い傾向があります。特に、業務独占資格の中でも最も評価され、合格後に高待遇が約束されているのが以下の4つです。
医師国家試験
受験資格:大学にて6年制の医学部医学科を卒業、または卒業見込みの者
合格率 :90%
平均年収:1,430万円 ※医師として働く場合
備考 :受験資格を満たすことが難しく、合格する見込みのある者しか受検できない仕組みになっているため合格率が高い。国家総合職試験
受験資格:4年制大学を卒業、または卒業見込みで年齢が30歳以下の者
合格率 :13%
平均年収:666万円 ※各省庁の正規職員として働く場合
備考 :公務員試験の最高峰。他の公務員試験と同様に、受験資格に年齢制限が設けられている。合格者はキャリア官僚として関係省庁の正規職員に採用される。司法試験
受験資格:法科大学院の課程を修了してから5年以内の者
または司法試験予備試験を合格してから5年以内の者
合格率 :42% (予備試験 4%)
平均年収:971万円 ※法務従事者として働く場合
備考 :文系資格の中では最難関とされる。裁判官、検察官、弁護士など法律の専門家として働くために必須となる。公認会計士試験
受験資格:不問
合格率 :22%
平均年収:922万円 ※公認会計士として働く場合
備考 :会計系資格の中では最難関とされる。受験資格がなく、16歳の高校生が最年少合格記録を残している。
昨今、資格を取得して人生逆転を図るという言説が流布されています。どのような状態からの逆転を目指すかは個人差がありますが、上記の資格の中で一般人が受験資格を満たせるのは医師国家試験以外の3つでしょう。
試験によって受験資格が異なるため、難易度を正しく測定するのは困難です。そこで、医師国家試験を除く3つの試験について、合格者全体に占める学歴(出身大学)の内訳を見て、合格に必要とされる能力や資質を洗い出すことを試みます。
1.国家総合職試験
国家総合職試験の合格者は、その約半数が東京一工+旧帝、早慶上理の出身者で構成されています。
合格者の内訳からも、旧帝・早慶レベルに相当する試験とみられ、MARCH・地方国公立大の上位層に相当する能力がないと合格できない印象です。
2.司法試験(司法試験予備試験)
司法試験については、法科大学院に通って受験資格を得る方法は、学費や時間などの制約が大きいため、一般人にはハードルが高いです。そこで、予備試験に合格して受験資格を得る方法に注目します。
合格者の過半数が東京大学・慶應義塾大学・京都大学・早稲田大学の出身者で占められています。中央・一橋・大阪・明治を加えると比率は70%に達します。早慶旧帝未満から10名以上の合格者が出ることはほとんどありません(中央大は例外的)
合格者の内訳から、東大・京大・早慶レベルに相当する試験とみられ、旧帝や早慶の上位層に相当する能力がないと合格できない印象です。
ちなみに、予備試験に合格して司法試験を受けた人の合格率は9割を超えています。一方、法科大学院を修了した人の合格率は4割程度ですので、予備試験を突破できる能力があれば司法試験の合格はそれほど難しくありません。
3.公認会計士試験
公認会計士試験については、合格者の多い順から上位10校までのデータしか得られなかったため、正確さに欠ける可能性があります。大まかな傾向を見ると、合格者の約半数がMARCH以上の大学出身者で構成されています。
残りの半数は大学院卒や高卒、その他の大学出身者とみられます。高卒の合格者が一定数いるため、3つの難関資格の中では最も易しいでしょう。
とはいえ、最低でもMARCHの上位層に相当する能力は持っていないと合格は厳しいと考えられます。
4.総括
難関資格の試験に合格するには、やはりMARCHの上位層に相当する能力を持っている必要がありそうです。MARCHはいずれも偏差値60以上で、統計的には上位15%以内に入る大学群です。あなたがその中に入っていない場合、難関資格での人生逆転を目指すのは現実的ではないかもしれません。
今回は複数の難関資格の試験について、学歴という指標を用いて合格難易度を検証しましたが、学歴には親の収入と有意な相関性があることが分かっています。気になった方は以下の記事もご覧ください。
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