第10話の新メニューを紹介
今週12月29日(日)にいよいよ最終回を迎える『グランメゾン東京』。
その前に、先週ミシュランの審査に向け、コース料理を一新することを決意した「グランメゾン東京」。ひと足早くお目見えした新しいお料理たちをご紹介!
もちろん監修の岸田シェフのお話と共にお楽しみください。
真鱈の白子のポッシェショーフロワ
(ドラマのためのオリジナル)
私が実際に飲んで、ワインが本当に素晴らしいと感じた北海道の平川ワイナリーさんのケルナーという品種のワインをイメージして作った一品です。(劇中ではワイナリーの場所は山梨でしたが、、)
北海道という土地に食材を合わせ、さらに季節は冬だったので、真鱈の白子を食材にチョイスしました。
白子は野菜のお出汁を使って一瞬だけポシェ(湯通し)し、半生の状態にしています。温かくなった白子は一度冷やして、それから香箱ガニというセイコガニ(松葉ガニのメス)の身と内子(卵)・外子(内臓)、その3つをほぐしてあわせたものを白子の下にソースとして敷いています。白子の上にはシャンパンビネガーと少量のオリーブオイルを混ぜている刻んだお野菜を。白子の食感はふにゃっとしているので、水菜、セロリ、ロケット、パセリ、フィーヌゼルブ(ハーブをミックスしたもの)をのせて、食感を出しています。
一番のポイントになるのはピーカンナッツをスライスしたものを熱々にローストして、最後にふりかけるということ。白子はあったかいと生臭さが出てしまうので、冷やしたほうが臭いを抑えられていいのですが、ワインとのペアリングとして考えるとやや温度はあった方が良い。
「冷たく提供したいけど温度が欲しい。」
一見矛盾していますが解決方法はあります。
白子に乗せたらジュッて音がするくらい熱々のピーカンナッツを振りかけることで、一緒に食べてもらうときに口の中で一瞬だけ温度があがり香ばしさやナッツの存在を感じられますが、咀嚼するとすぐに口の中は冷たくなり白子の臭みは抑えられます。冷たいものと温かいものを同居させながら1つの料理にしたのが、この料理です。 ー 岸田周三シェフ
キジバトのドゥミ・アンクルート
(ドラマのためのオリジナル)
キジバトともヤマバトとも呼んだりするのですが、猟師さんの高齢化も進み、獲れる人がいなくなった貴重な食材です。日本は世界的にみても非常に高品質なジビエが獲れる国。日本の誇れる食材だと思っているので、今回こちらをメインに使おうと思いました。
キジバトは非常に小さく火入れの難しい食材ですが、これを一羽まるごとゆっくりとローストしてから捌いてスネ以外の骨は全て取り除いています。捌いた断面にパイ生地を貼り付けもう一度焼いています。片面はローストした肉が剥き出しになっていて、もう片面は生地が付いている状態です。2回焼くので逆算して火を入れながら焼き過ぎに注意します。
フランスの古典料理に「アンクルート」というパイ包みの料理があります。素晴らしい料理ですが、パイ包み焼きの問題点として中のお肉が蒸されてしまい香ばしさが失われるという問題があります。今回は片側しか生地を付けていないので、半分だけパイ包み焼きにして、裏面はローストの香ばしさが残ったままの状態。ローストとパイ包み焼きのいいとこ取りをしたいと思って作ったお料理です。
ソースはザクロとオールドカンパリ。赤ワインのソースの仕上げに1970年代に流通していた古いカンパリを使っているのですが今のカンパリと全然違い素晴らしい味と香りです。さらにザクロと一緒にキジバトの内臓を炒めたものも添えています。ー 岸田周三シェフ
リ・ド・ヴォーを入れたクスクスのサラダ
峰岸さんが素晴らしい芹を採ってきてくれたので、それを使った料理ということで考えた料理です。冷製で食べるクスクスのことを「タブレ」と言いまして、様々な野菜の角切りと合わせたパスタサラダのような物ですが、クスクス自体はお湯で戻すのが一般的です。
ここでは芹や色々な香草と野菜を使ったスムージーのような物でクスクスをもどしたために、緑色になっています。これを型に詰めていきますが、その中に子牛の胸腺肉をいれています。焼肉屋さんでいうとシビレと呼ばれる部位の肉で、僕たちは「リ・ド・ヴォー」という呼び方をしているのですが、牛のこどもがお乳を飲むために使う内臓で、大人になると退化してなくなってしまう部分でもあります。そのリ・ド・ヴォーを熱々に揚げて、クスクスと交互に型の中に詰めていきます。一見冷たい料理に見えるのですが、食べていただくと熱々のリ・ド・ヴォーが入っていることで、お客様が驚くところが面白いお料理だと思います。
フランス料理は温度感のない料理が多いのですが、今回のこの3つの料理の共通点は温度に非常に気遣ったと言う点です。
温度を大切にする料理は、仕上げるタイミングが非常に難しくそれぞれの料理人がいろいろなパーツを担当しているので全員の息が合わないと料理が完成しないチームワークが試される料理でもあります。ー 岸田周三シェフ
いよいよ今週最終回を迎える日曜劇場『グランメゾン東京』。
尾花の求めるマグロ料理。
それはフレンチ禁断の食材…
パリから始まった挫折した2人の男女の物語。
ついにその夢がーー?
去る尾花。
その行先は……
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