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外国人も軍用地を買えますか?

「外国人も軍用地を買えますか?」
最近、海外の投資家から、軍用地の問い合わせが増えてきました。
基本、外国人でも軍用地は、購入できます。
実際に、相続や売買などで軍用地を所有している外国人もいらっしゃいます。

詳しくお話を伺って見ると、
その投資家は、嘉手納飛行場のように返還リスクの低い基地より、牧港補給地区などの返還予定地が投資対象として考えていました。

その理由は、一生戻ってこない基地より、地主に戻ってくる基地の方が、投資効率が非常に高いとのことでした。新都心やライカムのように、返還後の跡地利用で、再開発が見込まれるからです。一般的な日本人投資家と、全く、逆な考えに驚きました。

外国人地主が増えることの懸念

私が防衛局に勤めていた頃、うるま市の女性の地主が、キャンプシュワブの土地を国に買い取って欲しいと相談に訪れたことがありました。

防衛局には、返還する予定のない施設を税金で買い取る制度があります。買い取る価格は、個別に不動産鑑定士に鑑定評価を依頼するので、事前に買取価格は正確に述べることは、出来ません。

民間の不動産会社で取引される価格よりは、相当低かったと記憶しています。ですが、国へ売却した額の譲渡益には、5000万円まで非課税となるので、民間で売却すると多額に税金がかかることもあり、手元に残るお金を考えると、国へ売却した方が、地主にとって、非常に大きなメリットがあります。当時は、殆どの地主が、国へ売却していました。

話を戻します。
その女性の地主は、外国人が日本の不動産会社を通じて、キャンプシュワブの土地を購入したいと、何度もアプローチを受けたので、とても怖くなったそうです。

当時は、キャンプシュワブのゲート前で、平和団体による辺野古埋立工事の抗議活動で、非常に揉めていた時期でした。そういうことも相まって、その女性の地主は、軍用地を一刻も手放したいとの思いで、国へ買取の申請を強く要望しました。

私も、キャンプシュワブの土地が外国人へ買われてしまうと、安全保障上、由々しき問題に発展してはいけないと感じ、防衛本省と掛け合って、早急に予算措置を講じました。

重要土地利用規制法について

重要土地利用規制法は22年9月に全面施行しました。重要度に応じて注視区域と特別注視区域に分けて利用を規制する場所を決定。
注視区域では妨害電波の発射や自衛隊機の離着陸の邪魔になる物の設置をやめるよう勧告・命令できます。同法では中止命令に従わない人への2年以下の懲役または200万円以下の罰金といった罰則も設けています。

以前、中国人女性が、沖縄にある無人島を“購入した”とする動画をSNSに投稿したことが、大きな話題となったことがありました。覚えている方も多いのではないでしょうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/465b1cc7f7b89a3792a918855011dd4632f183aa

沖縄には、米軍基地や自衛隊基地が数多く所在します。時に、米軍基地は、風光明媚な立地なので、規制法が制定されたことで、県内の経済活動に大きな影響を受けることは、容易に想像がつきます。

現時点においては、米軍基地は、「特別注視区域」には含まれていませんが、今後、どうなるのか不明です。

いずれにしても、外国人が自衛隊基地などの重要施設の周辺の土地や建物の購入等は、一時的に制限を受けていることから、彼らは、逆に、基地の中の土地を狙っているのかと推測できます。

地主の想い

売主にとって、不動産を高く買ってもらう外国人は大歓迎ですが、軍用地に限っては、逆です。出来れば、外国人に購入して欲しくないと感じている地主が、ほとんどだと思います。

基地が存在する限り、事件や事故、航空機騒音の被害は無くなりません。その基地から発生する”軍用地料”が国外や県外に流出し、基地の負の部分が、住民に覆いかぶさるのは、心情的に納得できないと思います。

まして、牧港補給地区などのような返還予定地が外国人の手に渡ってしまうと、返還後の街づくりの合意形成に大きな支障をきたすことになり兼ねません。

このことは、外国人に関わらず、県外の方も同様です。不動産売買は、自由な経済活動ですが、軍用地に限っては、ある程度の配慮が必要だと私は感じています。

今回の記事は、ちょっと重い内容になってしまいましたが、ご容赦ください。

最後までご覧いただきありがとうございます。
出会いに感謝です!

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