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沖縄復帰後の軍用地買収実績について

先日、地主さんから、軍用地を防衛局に売りたいけど、どうしたらいいのか相談を受けました。

防衛局は、嘉手納飛行場や航空自衛隊那覇基地など、返還予定のない施設を対象に地主の申請に基づいて、買取を行っています。

一方で、普天間飛行場などの返還予定地については、国は買取を行っていません。なぜなら、いずれ地主へ引き渡しするからです。普天間飛行場は宜野湾市が買取を行っています。

国へ売却した方がいい場合は、相続した地主のケースです。軍用地投資入門にも書いてあるとおり、国へ売却したら、売却益にかかる譲渡所得税が非課税になるからです。

売却益5000万円を上限ですが、住民税や健康保険料にも影響するので、相続地主は、出来る限り国へ売却した方が、手元に残るお金を多いでしょう。

国は、申請した地主ごとに、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、評価額を元に買取価格を決定します。

その評価額に不満があれば、国への売却は不調に終わります。不調になると不動産鑑定費用は無駄になってしまいます。正直のところ、担当者としては、不調になると、これまでの仕事が意味をなさないので、かなり凹みます。

地主は、国へ買い取りの申請書を提出します。国は、不動産鑑定を行い、実際に売買契約を締結し、地主へ売却代金が振り込まれるまで、早くて2年を要します。

売却を急ぐ場合は、民間の不動産会社に相談すると良いでしょう。

では、一番気になる国の買取価格はというと、ここでは詳しい倍率は申せまんが、民間で取引される倍率より相当いです。

しかし、税制上の優遇を受けるので、ほとんどの地主が国へ売却していましたが、自衛隊基地の場合は、民間の取引倍率が高すぎたため、買収は全て不調に終わりました。

積極買収ない

国が軍用地を買収することになったのは、沖縄復帰の昭和47年が始めてです。1982年沖縄タイムスの記事によると、当時の那覇防衛施設局は、56年度に軍用地買収実績を公表しました。

56年度は24件、約4万7千平方m、金額にして6億5500万円の軍用地を買い取りました。復帰後、10年間に買収した軍用地は累計で約26万8000平方m、金額にして累計30億6500万円。

現在と比較して、件数は5倍以上多いでしょう。いずれも、当座のお金を入用とする軍用地主の要望に基づくもので、「積極買収はしていない」というのが国の立場です。

国が積極的に買収しない理由は、お金に困っている地主の足元を見て、国が「積極的に」買い取るのは、印象的に良くないからだと考えられます。もう一つの理由は、民業圧迫。つまり、街の不動産会社の仕事を奪いかねないことが挙げられます。

借金返済や家の新・改築費に

施設局によると、軍用地を手放すのは、①借金返済、②家の新・改築、③商売の運転資金、④失業のため、収入が途絶えた、⑤一家大黒柱が病気で生活に困っている、などの理由からでした。売却理由は、現在と変わらないようです。

買収面積を見ると、54年度がこれまでに最も多く5万3000平方m。しかし、軍用地料の高騰もあって、金額では56年度が最も多く6億5500万円となっていました。

施設局によると、毎年20件前後の売却希望があり、57年度は約7億円の不動産購入費を計上していたそうです。現在と比べると、件数及び金額はかなり多いです。

当時、軍用地の売買が活発で、資金を工面するため、軍用地を手放そうとする地主が、施設局の買収を待てずに不動産会社に売却し、投機の対象として民間人が買い取るケースが見られたそうです。不動産関係者によると、動きのあるのは中南部の基地だということでした。

軍用地の動きは、現在と全く変わりはありません。
防衛局としては、軍用地を積極的に買い取ることができれば、軍用地料を払わずに済みます。ですが、国の会計制度上、機動的な運用は難しいのでしょう。

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軍用地情報
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