大学生が『聖剣LoM』をプレイして考えたこと──「愛(マナ)」を求めて

こんにちは。ミミルです。
2021年12月、ゲームのセールに合わせて『聖剣伝説 レジェンドオブマナ』というゲームのリマスター版を購入しました。ハードはSwitchです。
現時点で1周目をクリアし、今はノーフューチャーモードで2周目をプレイしています。先程エスカデ編が終わったところです。

さて、実は私、これまでコンシューマーゲームにあまり触れたことがありませんでした。
気づいた頃にはスマートフォンがあったため、無料のスマホゲーをポチる人生を送ってきました。
そんな私がコンシューマーゲームに触れ、考えたことをここに残そうかと思います。

私を思い出してください。
私を求めてください。
私は全てを限りなく与えます。
私は『愛』です。
私を見つけ、私へと歩いてください。

※この記事には、『聖剣伝説 レジェンドオブマナ』のネタバレが含まれます。というかネタバレしかありませんので、閲覧の際はご注意くださいませ。

「私は本当にゲームが好きなのか?」を問う

正直な話をすると、最初はこのゲームを楽しいと思えませんでした。
事前にある程度情報を仕入れていたのもありますが、現代のカジュアルなスマホゲーに慣れていた私にとって、さまざまな面倒な要素がネックになりました。

近頃のスマホゲームは、課金を前提に作られています。純粋な面白さより、中毒性、依存性を重視しています。キャラクターの魅力を売り込むタイプのゲームが多いのはそのためでしょう。
スマホゲームでも面白いものはあるんですが、基本的に最小限の努力で最大限のリワードが得られるようになっており、コツコツ何かをすることに抵抗感がありました。

そんなスマホゲー中毒の私にとって何より苦痛だったのが、「武器・防具作成」です。
このゲームでは武器や防具を作り、鍛えることができます。この強化のシステムが複雑で、しかもやり方はほとんど教えてくれません。わけがわからないのでネットで調べたのですが、とんでもない情報量に圧し潰されてしまいそうでした。なんせ、複雑な条件と計算式のもとで行われるわけですから。
この「武器・防具作成」を理解できず、私は一度挫折しました。

……と思いきや、気づいた頃には結構やり込んでました。
ゴミ山でオーガボックスを捕まえ、コインや果実を集め、ウッドマックスをボコり、ディオールの木を複数個手にしていました。増殖バグは絶対使わんからな!
意味不明だった武器・防具作成についてもサイトをいくつも渡って勉強し、あらかた理解することができました(とはいえ、全体の30%しかまだ理解できていませんが)。その結果、独力で植物タイプ特効の武器レシピを考案し、作成するところまで至りました。理想の属性を付与し、攻撃力を伸ばせたときには大きな喜びを感じました。

これまでの私には「やり込みプレイは楽しい」というイメージはありませんでした。目標達成に至る努力が面倒だからです。だから「やり込むのが好き」という人のことを何か特別な才能を持った人のように見ていました。
今でもそう思うのは同じです。しかしこの不思議な体験から、本当に面白いゲームであれば、どんな人でも意識せずにやり込めるのではないかという考えが生まれました。

正直なところ、今でも心の底から本気で「LoMは神ゲーだ!」とお薦めすることはできません。それは目につく悪い点があるからではなく、なぜこれほど夢中になって遊んでいるのか、自分でも説明できないからです。
ストーリーに没入したわけでもなく、戦闘が特別爽快ってわけでもない。武器・防具作成は原料集めが面倒だし、強化の順番を忘れては頭を抱えてしまいます。果樹園は種の組み合わせと果実の組み合わせを何度も試したし、ペット育成もダンジョンとペット小屋をいちいち往復するのがめんどくさい……。
でも、久方ぶりに熱中して遊んでいるゲームだと思います。面倒なのに、なぜかやっちゃうんです。不思議です。この感覚の正体が掴めたら、また書こうと思います。

エスカデ編を通じて思うこと

おそらく『レジェンド オブ マナ』を代表するストーリーがエスカデ編でしょう。1周目は全員死亡、2周目はダナエ生存でクリアしました。エスカデを生存させることってできるんでしょうか。もしできるなら3周目はエスカデを生存させたいです。
プレイ前にある方の解説動画を拝見していたのですが、コメントでも意見が割れており、改めて多くの人に愛されているゲームなのだなあと思いました。
ここではエスカデ編について、子供と大人の間に位置する私の目線から感想を述べたいと思います。

私は誰にも肩入れせず、全員「うんうん、わかるなぁ」と思いながら見てました。自分勝手なキャラばかりなので、綺麗に終わる話が好きな人には終始キツいかもしれませんね。

一番考え方が自分に近かったのは、マチルダでした。「あなたが何をしても受け入れる、だから私も好きにさせてくれ」って感じで。「自由」という言葉を何より重視しているように思います。
まあもちろん、俯瞰して見ると一番問題となる人物といえるでしょう。彼女が司祭となる運命を受け入れていれば、これほど大きな事態にならなかったはずです。そりゃエスカデもダナエも怒るわ。
それでも愛に生きたマチルダは、次は賢人として、愛と自由について説くことになるのでしょうね。想い人に会える日を永遠に待ちながら……。

アーウィンは正直あまり描写されないので、正しい評価はできないと思います。いわゆるダークヒーロー的な存在で、4人の中では一番“キャラクターらしい”キャラクターだったと思います。
マチルダへの想いがありながら、悪魔という立場から最悪の手段を取らざるを得ませんでした。彼も妥協すればよかったんでしょうが、彼は最後まで悪魔である自分を受け入れ、彼なりのやり方で終わりを迎えました。自分の気持ちと立場をうまく折衷して立ち回れたキャラでしたね。

ダナエは感情を理解できるので、見ていて辛いキャラクターでした。ダナエは「マチルダのために」と言いますが、それは自分のためであると。なんだか自分の醜さを見ているようで……。
どうしても考えてしまうのが、マチルダ亡き後のダナエです。おそらくダナエは、マチルダが存命のうちは変わることができなかったと思うのです。依存から解放された今、ようやくダナエなりの幸せが見つかるんじゃないかと思います。
ついでに走るダナエ四足歩行かわいい。どうしたらいいのか分からなくなっちゃうダナエかわいい。

そして、エスカデです。もしこのゲームを子供の頃に遊んでいたら、エスカデのことを嫌いになっていたかもしれません。「悪魔は悪」という考え方を変えようとも、そのつもりもない印象です。
それでもエスカデを嫌いになれない理由が、エスカデは“勇者”のような存在だからです。王道のRPGであれば「悪魔」アーウィンという存在が悪役であることは説明不要ですし、「姫」マチルダを守ることも当然であり疑う余地がありません。プレイヤーがエスカデに抱く不快感は、明確な悪役が存在しないLoMの世界観からくるものではないかと思います。もし普通のRPGであったなら……そう思うと、彼への印象も変わってくるはずです。

このことからエスカデ編は、「生まれながらの種族や地位を重んずる時代から、愛を重んずる新しい時代への移行」という意味合いだけでなく、ゲームとして「正義と悪が明確に定められた時代から、正義も悪もない時代への移行」を示すものではないかと思うのです。
このシナリオで誰が正しいかを議論するのは完全に無意味です。正解などありません。プレイヤーは関連人物を全員死亡させることもできますし、誰かを生き延びさせることもできます。

ただプレイヤーだけは、世界を破壊しようとする悪魔を討滅し「英雄」になります。しかしエスカデの「英雄になれ」という言葉は、文面だけの意味とは思えないのです。ゲームを超えたプレイヤーへのメッセージなんじゃないかと。
これからの時代、何が正しく何が間違っているかは自分自身で考えなければならない。明確な意志をもって行動できる人、それを「英雄」と呼んでいるのではないかと思います。

改めて皆さんのコメントを見て、子供の頃に遊んだ人が多いからキャラの評価が割れるのだろうと思いました。私も幼少期に見たアニメに嫌いなキャラがいたのですが、あれから10年以上経った今でも不快感が拭えません。エスカデやダナエと同じです。人への印象は簡単に変えられないのです。
さらに良いと思ったのは、「このキャラ嫌い」「エスカデ編は辛かった」というコメントはあれど「このキャラがいなければ面白かった」「エスカデ編がなければ名作だった」という意見がないことです。生々しいキャラクター同士のエゴのぶつかり合いですが、それそのものは否定されておらず、むしろLoMらしさのひとつとなっている。これがまた良いなあと思うのです。

愛のカタチは人それぞれ

LoMではメインストーリーといえるシナリオが3種類ありますが、それぞれ「きょうだいの愛」「友達/恋人の愛」「自己愛」がテーマになっているように思います。他にもバドとコロナ、ギルバートとリュミヌー、カペラとディドルなど、さまざまな関係が登場人物の中にあります。
さまざまな小噺が「愛」という大きなテーマのもとに集約されていくのが面白く感じられました。

人を想うことが、力になる。
愛する気持ちが、全てを変える。
RPGによっては暗い気持ちにさせられるものもありますが、このゲームはあたたかなメッセージがこめられており、プレイヤーを前向きにする力があります。
もしかすれば、『LoM』は制作者の愛によってできている……のかもしれません。

ダイジナノハ、ハートニラヴ。 ──ルーイ

大変な世の中ですが、心に愛を灯して生きていきましょう。

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