Mr.Children 2ndアルバム「Kind of Love」(1992)レビュー

| <<前作レビュー | 目次に戻る↑↑ | 次作レビュー>> |

●初期の傑作!

ミスチルは1st~3rdまでが「初期」とマニアには定義づけられている(?)らしいがその中でもこの2ndは抜きんでて評価が高いアルバムで個人的にも初期では一番好きなアルバムだ。
1stの路線をパワーアップしたような内容でミスチルのポップセンス爆発である。後の作品で見られるようになるマニアック、ヘンテコ系の曲や壮~大な雰囲気は全く無いがJ-POPとして完成度高過ぎて鼻血ブーだ!ミスチル嫌いでもJ-POP好きなら聴いとけ

●圧倒的な引き出しの多さと無理のなさ

似たような曲調は無く、バラエティに富んでいる。それでいて全曲聴きやすいのでポップスの引き出しがハンパ無い。一体どの曲調が得意技なのか分からんくらい全部良い。何より全然無理してる感が無いのだ。バラード少ないから得意じゃないけど入れとっか的な感じは皆無だ。普通のミュージシャンならアルバムに1、2曲はあまり得意じゃなさそうな、失礼ながら仕方なく入れた感のある曲があるが、それが一切無いのはすごい。

●メロディセンスは抜群、それでも現在の作風からは程遠い

次作から若干今に繋がる雰囲気が出てくるがこの時点ではまだ若さしかない。その上相変わらず歌詞はトレンディドラマ、青春ドラマ的な世界観なのでオタク、陰キャ共には全くリアリティの無い歌詞のオンパレードだ(笑)。完全なるリア充向けである。まだオシャレでスカした雰囲気もかなり残っており、英語も多様する。この辺は聴かないというファンも多いほど今と作風は異なる。でも良いものは良い。勿体ない。

●気になった曲、布教したい曲の感想

01 虹の彼方へ
王道の爽やか青春ポップスといった感じで一曲目以外ありえない曲調だ。ピアノやホーンの主張が強く、 これでもかというほどポップだ。爽やかでポップなんだがどこか憂いがあるところはやはりミスチルって感じだ。一般的なA、B、サビの構成とは少し違う若干変わった構成の曲で聴いていて面白いぞ。スピッツがライブでカバーした事でも一部で有名だ。
ちなみにボーカルはこの曲に思い入れが強いらしく、何かエピソードがあった記憶があるがあんま知らんので気になる人はググってみよう。

02 All by myself
ちょいファンキーでアップテンポなマイナー調の曲で暗いが死ぬほど暗くはない。カッテイングのギター音は打ち込みっぽいというか、何かショボいな。やはりメロディーが良い!この時期にしては珍しい暗さかもねぇ?間奏が特にファンキーというかちょっとマニアック感ある。しかしこの一曲目と二曲目で結構正反対な曲調にも関わらず、どちらも得意技に聴こえるのは実はすごい事だ。

03 BLUE
ジャジーなシティポップぽい、チャラいミドルテンポポップ曲。打ち込みのドラムとシンセのストリングス音がかなりショボく、プレステ1のゲーム音楽みたいだ(笑)。天下のミスチル様も売れる前はこんなにチープだったのかと思うと感慨深い。BLUEはそのまんまの意味(気分が落ちこんでブルーのブルー)。テンションも終始低く、オシャレ感、トレンディドラマ感全開だ。本当にTVドラマっぽい(笑)。こういうのは本当に得意そうだ。

04 抱きしめたい
王道、直球のJ-popバラードでこれもメロディーが良い!どこか90年代臭、ビーイング臭がする雰囲気でワンズの曲でもありそうか?もんのすごいエコーがかかっていてまるで風呂場だがそこが良い。ブレイク前のシングルでベストに収録されていた為元々まぁまぁの知名度ではあったが、パクられ騒動があったので以前より有名になった。

05 グッバイ・マイ・グルーミーデイズ
これも3曲目と同じの若干ジャジーなアレンジのアップテンポポップ曲。ミスチルの中でも上位に入る速さだ。韻を踏んでいたり譜割りが詰まっていたりと、初期曲ながら現在のミスチルが頻繁に使っている小技が聴ける。サビがいつものキャッチーさが無いのが珍しい。
歌詞はいわずもがなトレンディドラマというか青春爆発というか・・・なんか腹立つ歌詞だな(笑)。楽しそうで何よりですって感じだ。個人的な感想だがスタジアムでこの曲をやるイメージが全く沸かない。

06 Distance
5曲目とはうって変わって雰囲気重視の大人っぽいどシリアスなミドルテンポ曲、ゆったりした曲だが緊張感がある。このアルバム中最もロック色が強いか?ギター歪み度ランキングは今作ではぶっちぎりで一位だ(笑)。間奏のホーンが中々にドラマチック!しかしやはり思い浮かぶのはトレンディドラマ的世界観だ。何かドラマっぽいんだよ!月9感あるぞ。月9のドラマ全然知らんけども。

07 車の中でかくれてキスをしよう
メチャクチャ暗い雰囲気のバラードで今にも死にそうだ(笑)。メロディーはちょい和風の流麗な感じでミスチルにしては珍しいか?そしてアレンジが神がかってる!スゲー情景浮かぶぞ!コバタケセンスが大噴火だ。
しかし夜のプール(ナイトプールではない)に忍び込むって、古臭くてこれまたメロドラマみたいだな。エグザイルのATSUSHIがテレビ番組でカバーした時は多くのミスチルマニアが驚いたんじゃなかろうか。
ATSUSHI、選曲渋過ぎ!

09 星になれたら
ベストに収録されているのでまぁまぁ有名な曲。青春パンクの始祖(?)として有名なバンド、JUN SKY WALKER(S)のベーシスト寺岡呼人が作曲に関わっている。・・・のだがアマチュア時代から演奏されていたとの情報もある。どういう事?その辺は詳しく知らん。長く助走を~からの歌詞のくだりはミスチル節って感じがするね~。アップテンポでポジティブなポップ曲、でもしっかり哀愁も忘れない。イントロのベースで否応無しにアゲアゲだ!J-POP好きなら100パー気に入るであろう超名曲。AメロBメロサビ、全てにしっかり強烈フックがあり、尚且つ最後お約束の転調まであって贅沢な一品。あまりミスチルっぽくないメロディーな気がしないでもない。オバサンにウケが良い(らしい)。

10 ティーンエイジ・ドリーム (I~II)
彼らには珍しい2部構成の曲。後半曲調がロック調に変わる。かなり近年に近い譜割りの早口っぽい感じでこの曲の後半部分がそれ系統の元祖なのだろうか?ロック調の部分はリビドー大噴火(笑)で甘酸っぱい感じとドロドロのエロの感じが両立している。10代のそういう相反する二面性を表現したものだと勝手に捉えている(多分違う)。

| <<前作レビュー | 目次に戻る↑↑ | 次作レビュー>> |

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?