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日本版ステークホルダー資本主義の社会実装

はじめに

中村研太さんにお声がけいただき「資本主義をアップデートするアドベントカレンダー」18日目を担当させてもらうことになった。「資本主義のアップデートを語る」このお題をもらい、はじめてNOTEに書いてみる。ボクはライターをしている。

いまのサステナビリティトレンドの延長線上に資本主義のアップデートがあるのか?

現在、世界人口は80億人を突破しているそうだ。人類の誕生から20万年をかけて10億人になったのが産業革命後の1850年代のこと。それから僅か200年で10倍の100億人(2050年代)になることが予測されてもいる。

人類とは何か。もともとは地球と生命体との共進化のプロセスで生まれた多様な生物の一種に過ぎないはずだった。それが、いつしか自然を大幅に改変するようになった。ついには自らの母胎である生態系を破壊するようにもなった。肥大した産業経済活動は地球の炭素循環系を攪乱させ、地球温暖化を引き起こした。近年、毎年「異常気象」が言われるが、こうも続けば、もはやこれが「平常運転」。自然界のリズムはすっかり変調をきたしてしまった。

格差は広がり、富める者はますます富み、貧する者はますます貧す「K字問題」が世界中で言われるようになった。

こうした人類の活動によって社会経済や地球環境の変動が急増している現象を「グレート・アクセラレーション」というらしい。

惑星の持続可能性に疑義が持たれる中、多くの人が新しい時代を求めている。長きにわたり人類に突きつけられてきた、さまざまな問いをもう先延ばしにはできない。多くの人がそう考え、たくさんの思いが形をまとい、目指すべき社会像や人の生き方のアップデートについて、「これだ!」という明瞭な輪郭を描こうとしている。

いまは、そういったパラダイムシフトの時期。時代と時代の端境期なのだろう。それゆえに、事態は複雑怪奇となっている。

いまのサステナビリティトレンドの延長線上に、資本主義のアップデートがあるのか? この問いに対するボクの答えは、世界にとっては長い目で見て、確実にいいことだけれども、日本にとっては短期的に益するのかはわからない。というか、否定的に見ている。理由は後述する。

まず、現況を整理するところからはじめたい。

ゴールは遠い、SDGs

現況を見てみよう。SDGsが言われ、上場企業各社には有報にサステナビリティ対応の記載が義務化されるようになった。総論、いい流れだ。

でも、SDGsの現実はどうだろう?

このお題目は2030年までの目標だ。つまり、2023年暮れとなると、2015年のスタートからいま半分が終わったところだ。これまで、なかなかプログレスが見えてこなかったが、今年国連は『持続可能な開発目標(SDGs)報告2023:特別版』というレポートを開示した。その結果を見るに、進捗が芳しくない。

データが取れる約140のインデックスのうち、30%は停滞または後退。進捗しているのは15%のみ。国連は現況について「複合的な影響が原因で、2030年までの半分(2023年)の時点で、目標達成は危機にさらされている」と発表している。このような状況の中、日本の進捗度は、2017年の世界11位から、毎年後退を続け、2023年は21位に落ちてしまった。

誤解しないでほしいが、SDGsを否定しているのではない。国や企業、個というさまざまなセクターから、持続性を考える取組みには賛成の立場だ。しいて言えば、もっと頻繁に進捗を検証する工夫や報道が必要だとは思っている。「2020年交通事故を半減しよう」なんてのは、結果未達で終わったが、当時誰も検証しなかったから。

ようは、MDGs→SDGsと来ているから、次の○○Gs にはその点が反映されるだろうし、ものすごく期待している。

疲弊するサス担。乱立するフレームワークや評価

有報にサステナビリティ対応の記載が義務化されたことはどうだろう。元オックスフォード大学教授で現早稲田大学教授のスズキ・トモ先生は、かつてインドでディスクロージャーを中心とした制度設計を行ったそうだ。

どういった制度設計をしたかというと、全ての上場企業はCSR費用を損益計算書上「一行開示」しなければならないとしたそうだ。
0円でも記載しないといけない「One Additional Line」は2015年に制度化された。すると、以後年間2兆~3兆円のCSR費用が自主的に拠出されるようになったそうだ。インドの社会インフラが改善された要因になったと言っている。記載がルール化されると皆対応し始めるという行動経済学的な心理を思えば、義務化の流れはいいことだと思う。

ただ、現場をみると、企業各社に求められるESGの情報開示は複雑になり、サステナビリティ担当者の負担は増えるばかりだ。GPIFの優れた統合報告書に記載される常連組やESG評価機関の格付けの覚えがめでたい、ごく一部の企業群を除いて、殆どの会社が、押し付けられてくるフレームワークや国際的イニシアティブなど目まぐるしく変転するルールの意図や本質を見極める間も与えられず、翻弄されている。

多くの会社で、いつまでたっても、サステナビリティ対応はコストセンターに位置づけられたままだ。プロフィットセンターと捉えて、真摯に取り組む会社は少ない。

なにせ、パラダイムシフトの端境期だから、いろんなものが乱立している。ISSBやCSRDなどのフレームワークは、かなり収斂されてきた。

でも、問題なのは、企業が開示した情報を注視するESG評価機関やデータプロバイダの乱立だ。その結果、膨大な対応コスト、評価のばらつきや透明性の欠如、精度不足などの課題が浮上している。CDPやMSCI、FTSE……、S&P……、サステナリティクス……など挙げていけばきりがないが、データプロバイダによって評価手法が結構違う。
適時開示など企業が自主的に開示する情報をもとに評価するものや、企業発信の情報には重きを置かず、報道などの第三者の手による情報をベースにするもの、あるいは企業へ質問状を送り、その回答結果などの情報をもとに評価を提示するものなどさまざまである。

これでは、機関投資家にとって、投資判断に有用な情報が埋没してしまう懸念が生まれている。そして、悲しいのは、多くの企業が頑張って作っている統合報告書。何人かの機関投資家にヒアリングしたが、熟読している人が少ない(こんな状態は本質的ではないから、長続きしないだろう!)。

これも誤解しないでほしいが、評価機関の乱立を否定してはいない。これもいずれ収斂されるだろう。言いたいのは、いまがパラダイムシフトの端境期で、ごった煮状態、カオス化しているよ、だから現場は大変よ、ということ。

色々な問題を孕みながらも、大企業が地球や社会の持続性を考え、ルールメイキングしながら、対応していくことは、いいことだと思っている。

でも、このサステナビリティ対応の流れを突き進んでいって、日本人は豊かになるのだろうか。なぜって、日本の現況は、悲惨だ。

日本の悲惨な現況

1980年代末から90年代前半にかけて、日本の一人当たりのGDPは米国より上だった。しかし、失われた30年の間に勤労者一人当たりの所得は多くの国に抜かれ、貧しくなった。

賃金上昇率をみても、凋落は明らかだ。経済協力開発機構(OECD)のデータによると、1995年を基準とした2022年までの賃金上昇率は、トップがエストニアの1,192%増。G7ではアメリカが14位で249%増。一方、日本は調査国33カ国中ビリの33位。唯一給与が減った国であり、98%と停滞している。

https://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=AV_AN_WAGE

OECDデータ

実質賃金も下落し、OECDの平均年収から1万ドル以上も低く、G7 では最下位。非正規雇用が増えているため、賃金の格差は広がり、40代の非正規の男性の8割近くが結婚していない。
 
しかし、この間、会社があげる利益は伸びているのだ。

財務省「法人企業統計調査」によると、2010年から2022年まで全産業の純利益は、22.1兆円から83.0兆円と376%も伸びている。この間30%から23.2%に法人税は減税されている。でも、この減税分が従業員や役員の給与や研究開発費には回っていない現実がある。

株主還元のみが大幅に増えている。先述の「法人企業統計調査」によると配当は12.6兆円から38.1兆円と302%も伸びている。
 
株主への分配を少しだけ従業員に回せば、上場企業の社員の給与を大幅に増やすことは可能なのだ。昇給や研究開発を控えて、配当のみを増やすような企業行動が優良企業とラベリングされる価値観は日本社会の為になっているのだろうか。ましてや、株主は少なくない割合が日本人ではない。せっかく日本人が稼いだ富が海外に散逸する現状は悲しいものがある。https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003061945

いまのサステナビリティトレンドは、株主至上主義の延長線上にあるものだ。もちろん、株主を否定しているのではない。でも、利潤の分配方法は少し見直す余地があると思っている。まぁ、ここに手を付けることは聖域に手をつけるようなことなので、いまの政権も回れ右してしまっているようだし、かなり難しいのだろう。

ボクがここで言いたいのは、サステナビリティ対応が求められるいまの流れには賛成だが、このまま突き進んでも、日本社会の構造や大多数を占める中小企業が変わらない限り、日本の再興は見えてこないと考えているということだ。

否定的なことばかり書いてしまった。でも、ボクは希望を持っている。
さて、ここで自己紹介をしよう。

自己紹介

ボクはもともとは下世話な記事を書いていたが、近年は、サステナビリティ分野に半身が浸かっている。例えば、上場企業のESGの情報開示のお手伝い。ここ数年は統合報告書やサステナビリティレポートの制作が多く、経営している会社にとってはありがたい。
そのほか、東洋経済でサステナビリティをテーマにしたムック本を作らせてもらっている。週刊エコノミストではSDGsをテーマに連載をさせてもらっている。
一方、日経産業新聞・日経新聞電子版では社歴100年を超える長寿企業を取り上げる『長寿企業の研究』という連載をさせてもらっている。自社では、企業の「三方よし」実践企業の可視化を試み、企業のステークホルダーとのつながりを開示することを目的としたcokiというWEBメディアをやってもいる。

何が言いたいかというと、現在のサステナビリティトレンドに乗っかりながらプライム市場の企業の情報開示を見つつ、超ドメな長寿企業も見ている、けっこうスコープを広く、企業を見てきた立ち位置というところ。

プライム市場でサステナビリティ対応に勤しむ企業と長寿企業、この両者は一見するとサステナビリティの括りで似ているようで、利潤のステークホルダーへの分配の仕方が大きく異なる。

多くの企業の目的はGoing concernだ。これはすなわち、多様なステークホルダーに持続的に利潤を分配することに他ならない。だとすると、長年「持続させてきた」長寿企業の価値はもっと再評価されていい。

長寿企業大国 ニッポン

知っている人も多いと思うが、日本は世界に冠たる長寿企業大国だ。ボクも参与として関わっている長寿企業の調査研究団体 (社)100年経営研究機構では、社歴100年超の会社を「100年企業」と呼び、社数をカウントしている。社歴100年を超える会社の数は、52,328社あるらしい。

そして、100年を超える長寿企業のおよそ4割が日本に集中している。いうまでもなく、その殆どは中小企業だ。

余談だが、じつは、日本の相続税の最高税率は世界一高い(MAX55%!)。なのに、なぜ、日本が長寿企業大国となれたのか。これは世界的に超不思議みたいで、コロナ禍前なんて、中国共産党の高官が、人知れず、近江商人の三方よしを学びに滋賀県を訪問していたりする。

答えは和辻哲郎や柳田国男の『先祖の話』などで言及された血縁より「家」を守ることを重要視する「家筋」の日本人固有の精神性をはじめ、色々な要因が考えられるが、その話をしだすと、それだけで5000文字ぐらい書いてしまいそうなので、また別の機会にする。

ここで知ってもらいたいのは、長寿企業は、自社利益を過度に追求しない企業が多いということだ。「自社の財布は先祖からの預かりもの」「次代につないでいく必要があるもの」。襷をつなぐことが求められる駅伝ランナーのイチ走者の感覚に近い、と言っている経営者もいる。

で、長寿企業には、もう一つ特徴がある。

多様なステークホルダーとの共生

それは、自社のサステナビリティの追求の仕方だ。持続性を重要視するということは、関係先との共生を考慮した上で成り立つと考える企業が多い。まあ、当たり前だ。自社一人が生き残っても、モノを仕入れられないし、販売する商圏の持続性も考慮しないといけない。

だから、必然的に、自社利益や株主などの特定のステークホルダーにのみ利潤を還元させるのではなく、サプライヤーや地域社会、社員、金融機関といった多様なステークホルダーとの互恵的な関係を醸成しようとする。これは元世界銀行チーフエコノミストのハーマン・デイリー氏が提唱した定常経済モデルだったりする。成長経済を希求するのではなく、関係先の幸福をより希求する定常経済だ。
 
もちろん、無駄に延命させてきたゾンビ企業の弊害はあるから、単に長寿なことがいいわけではない。ただ、大抵の場合、長寿企業には長寿になる理由がある。何パターンかの無敵の型がある。そこらへんも、需要があれば今度また書いてみたい。

そうそう、コロナ禍で、ボクは経営する会社が、顧客との契約が見直され、てんやわんやしていたころ、ある長寿企業の経営者は、「こういった企業継続の危機は約7年に一回は訪れるもの。備えていてあたりまえだ」と言っていた。

多様なステークホルダーとの互恵的な関係を築くことは、昨今のサステナビリティトレンドでも、マルチ・ステークホルダーとの対話の機会を設けよ、と言われていたりして、じつはリンクしている。

あまり人気は出なかったけど、今のサステナビリティの考え方の通底にある企業の社会的責任の国際規格「ISO26000」でも、組織が尊重すべき社会的責任の7つの原則として、「説明責任」「透明性」「倫理的な行動」「ステークホルダーの利害の尊重」「法の支配の尊重」「国際行動規範の尊重」「人権の尊重」が挙げられていて、ステークホルダーとのエンゲージメントは重要視されている。

ようは、日本は長寿企業大国という結果を出しているのだから、サステナビリティで、けっこう世界の先を行く部分もあるんだよ、ということを知ってもらいたい(全部とは言っていない)。

これも余談だが、日本企業が改めるべきは、開示の説明責任や透明性の部分だ。隠匿の美に代表される、いいことは言わないのがかっこいいスタイルや自社に不都合な開示を避ける隠し事大好きスタイルは国際化の中ではペケで、取材していても「書かないで懇願」が多くて辟易する。そうじゃないだろう。いまがダメでもまず開示して、そのうえできちんと対応し、成長曲線を見せる方が、法人格として誠実に見えるでしょう!と、心のなかでいつも思っている。

また、話がずれてしまった。本題は資本主義のアップデートだったな。

資本主義のアップデート

大企業に求められる国際規範やフレームワークは、複雑に錯綜しながらもルールメイキングが進んでいる。現場の開示負担は大きくても、やがて整っていく。欧米が進める(株主のための)ステークホルダー資本主義への移行も進んでいくハズだ。

ただ、そのままいっても、日本社会は再興しない。大企業は利潤の分配方法を少しだけ改めれば、現状のままでも社員や役員の年収、納税額は大きく跳ね上がる。これは公益資本主義や先述のスズキ・トモ先生が言っているので、詳しく知りたい方は下記にアクセスしてみてほしい。

https://ds-simulator.com/

付加価値の適正分配経営(DS経営)

でも、大企業の従事者は日本国民の約3割。日本は大多数が中小企業の国であり、国民の7割が働くのも中小企業であることを考えると、中小企業が目指すべき会社像の明示も必要になってくる。

資本主義のアップデートを考えるには、やはり日本の99%以上を占める中小企業が取り組めるルール、長寿企業の「三方よし」の特徴を活かしたルールを作ることが、一考に値すると思っている。

結局、サステナビリティ対応が浸透しても、中小企業が参画する形で、日本が日本の会社像を自信をもって確立していくことができなければ、再興の気運は高まらない気がする。

ボクは、このまま現在のサステナビリティ対応が進むことに、一抹の危機感をもっている。上場企業に連なるサプライヤーにも脱炭素対応などを求める流れ、これは中小企業にも開示を求めることに他ならない。

総論賛成だが、各論反対だ。枠組みを上手く考えないと、1980年代まで上手くいっていた日本型経営が弱くなってしまった二の舞になる(日本型経営の本質は、中長期目線でのR&D投資をきちんと行い、短期利益を求める市場に対しての言葉と社内言葉を切り分ける「ダブルスタンダード経営」にあったのだが、この話も本題ではないから、ここではやめておく)。ようは、利潤の分配の仕方に手を入れられると、豊穣な大地はどこも干からびてしまう。

2019 年、米国でいう経団連にあたるビジネス・ラウンド・テーブルが、従来の株主を最重要視する株主資本主義から、株主も含めた多様なステークホルダー全般を重要視することを求める「ステークホルダー資本主義」への移行を宣言したとき、少なくない日本企業が、「日本が再評価されるかも?」と喜んだ。あの時の夢はいずこに消えたのか。

今日では、「日本はデファクトを作るのが苦手だから」そういった諦念が、多くの経営者から聞こえる。環境系NGO と、この分野がお金になると知ったアクティビストたちがくっつくと、これほどまでに鮮やかに、暴力的に、ルールが敷かれることに驚愕した数年だった(悪いとはいわない)。

寂しいのは、欧米が強いるこのルールメイキングに嬉々として参入する国内コンサルや支援企業が多いこと。そしてそのプレーヤーの殆どが、付和雷同という言葉そのままに欧米側に立つことだ。で、もっと悔しいのが、ボクもこのままでいいのかな?と悩みながら、それが現状の最善策だと考え、しっかり、「SBT認定とりましょうよ」とかお手伝いをしている始末というところだ。

ミルトン・フリードマンが夢見た資本主義の世界観が、結局大多数を幸せにすることはできなかったという世界の諦念を生み、その吐息が一筋の光芒を見出そうとしている先が何処なのか。

一時は近江商人の「三方よし」のような伝統的な日本型経営の価値観に向かうという声もあったが、2019年の米国ビジネス・ラウンド・テーブルの「ステークホルダー資本主義の宣言」以降、世界の流れはそうはならなかった。

やはり、このままの流れでは、指標づくりに不得手な日本に有利な形でデファクトが定まる可能性は限りなく少ない。

ただ、こうした流れを活路と捉え、「サーキュラーエコノミー」ひとつとっても、日本企業に多い、単なるリニア型にリサイクルを考えくるくる循環させる企業群から脱出して、自社の成長につながるビジネスモデルに昇華する絵を描いて展開しているユースケースも見え始めている。

最後に、日本の会社像を希望をもって語りたい。

中小企業が取り組めるモデルとは?

ボクは、新しい資本主義の定義が曖昧な今だからこそ、投じる一手に意味を持つとポジティブに考えている。

産業セクターや上場の有無、事業規模の大小も関係なく、実際のステークホルダーからの評価を計測して「ステークホルダー資本主義を体現する企業」と(勝手に)ラッピングして日本から発信していく手法を考えている。

その先に、公器性を有する企業が尊敬される価値観を日本から世界へ醸成できるのではないかと、居酒屋談義レベルと言われるかもしれないが、考えている。

で、具体的にどうするのか。

ボクは、実際に関わるステークホルダーからの評価をヒアリングし、可視化することからはじめている。自社HPで開示されている情報をもとに、企業の三方よし度を計測する試みだ。

ここで計測するステークホルダーは8つに分類している。顧客、社員とその家族、サプライヤー、地域社会、株主、金融機関、地球、未来世代。

現在は、cokiという自社運営サイトで300社ほどのステークホルダー情報を公開しているが、これは同時に各社のHPでも内容を開示してもらえるものにしている。

ステークホルダーの声の例

顧客から見た企業、サプライヤーから見た企業、社員から見た企業、自治体から見た企業、金融機関から見た企業、株主から見た企業を連ねていき、理想は企業の360°評価だが、現実はなかなか上手くいかない。

ステークホルダーに勝手にコメントをもらいに行っても、殆ど答えてくれないのだ。で、必然的に、企業から話を聞けるステークホルダーを紹介してもらうようになった。すると、これでは、公平性が担保できない。あたりまえだ。誰だって、自社に都合のよいステークホルダーしか紹介しないから。

そのため、現在は、行政がやるパブリックコメントの募集と同じように、一般ステークホルダーからの口コミ投稿も、了承してもらっている一部の会社にはHPに設けるようにしてもらっている。それも計測し、スコアとして開示していく仕組みに昇華したい。

実際に関わるステークホルダーからの評価と、脱炭素や人権DDなどESGで求められるルールとの融合を図り、「三方よしスコア(仮)」みたいな形で定量化するようにしている。

2024年からはランキングとして常時開示する予定だ。いまは、三方よしが好きな一部のcoki掲載企業との取組みにすぎないが、この動きを広めていくことから、日本版ステークホルダー資本主義の社会実装をはじめたい。

ゆくゆくは、日本から日本の会社像を自信をもって発信していくという思いを同じくする人たちと連携して、場をつくっていきたい。

一緒にやりませんか?

これは一社だけではできることではない。だから一緒にやってくれる人を募りたい。

いま、必要なのは、ランキング上位企業のための明確なベネフィットだ。参加企業同士で共創して、自社サービスから特典メニューを用意しあうことや、大手メディア媒体、求人媒体との連携、金融機関の投融資との連携などを考えている。上場企業にとっても、統合報告書に記載できる形にしたい。

あ、それと一緒に働いてくれる仲間も募集しています!

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