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「ライトハウス」意味わかんないと言ったらセンス無いと逆に言われる系映画

ロバート・パティンソン好きだし、みたいな軽い気持ちで見てみました。
評判も良かったし、なんだかその感想も「凄まじいものを観た!」みたいな絶賛が多くて、そういう期待もありました。

ネタバレ有り。

観賞後、複雑な感情。
意味が分からない、と言ったら負け、みたいな。面白くないと言った方がセンス無い、みたいな。そんな映画。
だからといって「今年これが一番面白い!」って人、マジですごいと思う。
絵画みたいな映画だな、と思った。
色んな暗喩が散りばめられていて、解説されないとほんとの意味が分からないんだけど、その絵の雰囲気だけ感じ取って感動するのも有り、みたいな。
面白いは面白い、でも明解に分からないからしばらく考えこんじゃう。

有害な男性性が描かれている、というのもイマイチ分からなかった。
確かにパワハラクソジジイは若手にキツイ仕事を押し付けまくる。しかもいちいち行動を見ていて「カモメをイジメると天罰がくだるぞ!」とか、聞きたくもない病気の話をされたりとか。パティンソンが「うるせぇー!!」って言った時、思わず笑った。ホントうるさかったこのジジイ!
男性性というより口うるさい姑。料理がマズイと言われてかつてない程ブチギレるのも姑っぽい。

ネチネチちくちく言ってくる奴と1ヶ月も一緒。しかも急な嵐でその日数はもっと伸びる上に、その嵐すら「お前のせいだ!」と責められる。
酒に酔って前後不覚になっている間だけはそのジジイとも親密に話せる、何故ならそのジジイしか相手がいないから。お前は綺麗な目をしている、綺麗な顔をしている。ジジイはシラフの時からオープンだったのだ。あのスローダンスの時、キスをしそうになったのはジジイがうんぬんではない、あの極限状態の閉鎖空間が彼のセクシュアリティの根源を問うてきた。お前は何者なのだ。かつて殺したあのブランドの後ろ姿。やけに美しいのが気になる。
ジジイが海の王になったり、灯台になったり。ジジイはパティンソンを惑わせる存在でしかない。真実を言うな、胸にしまっておけ、と言ってもつい口をすべらし告白する。あの閉鎖空間がそうさせる、まるで懺悔室のように。
言ったら言ったで「何故、秘密を話した」といま脳内に直接語りかけています級のロートーン。罠だったように思う。
ならばどうして、彼はジジイに掬い取られたんだろう。
やはり殺人か。
彼が殺人を犯さなければ、あのジジイの罠にかかることはなかった。
ジジイの実体が灯台だとしたら、無数のカモメは犠牲になった罪人達なのかもしれない。

こんな解釈をするとやはりこの映画はホラー映画ってことになる。灯台というファムファタールに狂わされたパティンソン。
個人的にはちゃんと稼いで、家を建てて、静かに暮らしてほしかった。

どっちにしろこの映画が一番に好きって人はあんまり信用できん。ホントですかい?

追記
灯台のペンキ塗りをするシーンはフェラチオの暗喩らしい。初見で分かる訳ないッ

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