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成功のレールなんてない、自分で歩いた方がいいよ

生き方に迷ったあのときの自分へ

今の人生に満足している人はどれくらいいるでしょうか?毎日遅くまで働いて、土日は疲れて寝て過ごし、せっかく苦労して稼いだ金で欲しくもないものを買い、食べる時間もないからと美味しくもない外食で済ませる。

わたしはサラリーマン時代に仕事ばかりしていて大失恋し、働く意味と生きる意味を自問自答し続ける日々を送ったことがあります。それまでいい大学・いい会社という成功のレールに乗っていたはずなのに、単純に幸せではありませんでした。

そんな時に救ってくれたのは、人との出会いであり、本との出会いでした。

人生に何らかの疑問を持った時に、「こんな生き方もできるんだ」という視点の広がりをくれるような本との出会いは、これまでの価値観をいい意味で壊し、生きる上での肩の力を抜いてくれます。

今回はそんな自問自答を続ける日々の中で出会い、人生の意味を問い、結局サラリーマンを辞めるに至るほどに影響を受けた本たちを振り返りたいと思います。

わたしもこれを機に定期的に読み直したいと思います。

1|減速して自由に生きる ダウンシフターズ(高坂 勝)

システムから降りて好きなことをしても大丈夫!そこには楽しい人生が開けている。経済成長を追い求める企業でストレスを抱え自分の時間もなく働く人生よりも、小さく自営し、人と交流し、やりたいことをしたい。そう考えた著者の、開業までの道のりと、開業の様々な具体的なコツと考え方、生き方を伝える。(Amazonより

「どんどん右肩上がりで成長し続ける」というグローバル社会が目指している経済至上主義やら、「競争を勝ち抜いて夢をつかむ」という現代の日本に生きるわたしたちが良しとして教わる成功のあり方など、無意識のうちに刷り込まれている常識に沿って生きることの何とも言えない息苦しさ。先の見えない閉塞感。漠然とした不安。

「そんなシステムを降りても実は全然生きていけるし、むしろ身の丈にあった小さな収入・消費とコミュニティで、ストレスなく生きていくほうが豊かである。」

そんな【減速して生きていく(ダウンシフト)】という生き方の方法論を余すことなく実体験に則って教えてくれる本作。

わたしはこの本を人に紹介されてから人生が変わってしまいました。サラリーマンを辞めても生きていけるという根拠のない自信が芽生えたし、仕事で疲弊して鬱になってしまった友人にこの本をプレゼントしたこともあります。

上昇志向ではなく、減速して生きていくという生き方は、お金よりも大切なものに目を向けた人に見えてくる新しい生き方のモデルだと思います。

2|独立国家のつくりかた(坂口 恭平)

現政府に文句があるなら、勝手に独立国家をつくっちゃえばいい。匿名化したシステムとは戦わない。何も破壊しない。ただ、歩きかたを変えること。視点を変えること。そして、思考しつづけること。それだけで世界はまったく別の相貌を見せ始める。路上生活のエキスパートたちに教えを請い、歌うように、踊るように、DIYで国をつくった男が語る、いまここにある希望。(Amazonより

あなたは本当の意味で生きてますか?ただ何も考えず過ごしているだけではないですか?(何も考えられないようにコントロールされているとも言えますが)

著者が、「ホームレス」というこの世界を生きのびるプロフェッショナルとの関わりを通して思考した軌跡。彼らは世間の中では生きていけないからこそ、どうすれば生きていけるかを考え尽くした中で獲得した独自の思考術を持っています。

この本は、わたしたちが常識だと考えていることに対して「果たして本当にそうか?」という視点を提示し、実践している様は、常識とは一体なんのか、普段いかに何も考えずに生きてしまっているかを痛烈なまでに(時に痛いほど)教えてくれます。これは人生のどんな側面にも当てはまると思います。

「考える」という術を真に取り戻した時に初めて、人間としての「生きる」が始まる。本来の「生きる」はもっともっと自由で楽しいはずです。

タイトルが若干怪しいので手を出しづらいかもしれませんが、この本は「生きる」ということの意味を見つめ直したい時にきっと役に立ちます。

3|LIFE SHIFT  100年時代の人生戦略(リンダ・グラットン)

寿命100年時代、あなたはどう生きますか? 新しい人生戦略を提示した『LIFE SHIFT』。誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか。働き方、学び方、結婚、子育て、人生のすべてが変わる。目前に迫る長寿社会を楽しむバイブルとなる一冊です。(東洋経済新報社より

自分の人生設計をどのように考えていますか?このまま60歳くらいまで働いて、定年退職して老後は畑でもやりながら悠々自適。これまでもそうやってみんな生きていたのだから、自分もそれでいい、むしろそれが幸せなんだ。

本当にそうでしょうか?

教育、労働、老後という3ステージからなる人生設計をする時代はもう終わりました。平均寿命が100歳を超えるというこれからの時代には、様々なステージを組み合わせて人生を設計するマルチステージに移行しなければ時代に適合できません。

新卒で入った会社で終身雇用することも非常識となり、「安定」ということ自体が「不安定」になっていく世界では、常に自分を研鑽して新たなスキル獲得や多様な経験を積み、信頼できる仲間やコミュニティをつくる必要があります。

今後の生き方、働き方を考える上でのベースとなる必読の一冊です。

4|半農半Xという生き方(塩見 直紀)

「半農半X」とは、農的暮らしを実践しつつ大好きなことを追求すること。このコンセプトを提唱し、少なからぬ読者の人生を変えてきた本、ついに文庫化!移住後の生き方として。就職とは別の生き方として。退職後のセカンドライフとして。多くの実践者の話から、天職の探し方、田舎暮らしの始め方、なぜ「農」が必要なのか、などがわかってくる。(Amazonより

「就職して給料をもらいながら生きる」というモデルが一般的になったのは、たかだかここ数十年のことです。人類史から見れば全く最近のことなのです。

そうではなく、「半分は食べ物は自給し(半農)、半分は自分の好きな仕事をする(半X)」という就職とは全く別の生き方の提案をしている本書。

お金がなくとも、食べ物を育てて食べることができればとりあえず死にはしない。まずは少しでも野菜を育ててみることから、人生は少しずつ変わり始める。

そうして空いた時間を使って、自分な得意なことを生かして収入を得る方法(=天職)を模索する。またはサラリーマンとしてある程度スキルを身につけて、「X」での自立が見えてきた時に半農半Xの生き方にシフトすることもいい。

地方移住や田舎暮らしが進んでいる状況との相性が良いため、これからますますバイブルとして読み継がれていく一冊となることは間違いないと思います。

5|ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方(伊藤 洋志)

「個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのではなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事を「ナリワイ」(生業)と呼ぶ」(まえがきより)。生活と遊びの中から年間30万円程度の、他者と競争しない仕事を複数つくり、生計を組み立てていく方法論。(Amazonより

就職して働くことは、自分の時間を切り売りしているだけであり、それは自分のやりたいことに使えたはずの時間と健康を盗まれているのだ。そう言われた時、反論できる人はどれくらいいるでしょうか?

そんな時、例えば「月3万円稼げる仕事を、5つすれば月15万円稼げる」「年間30万稼げる仕事を、5つすれば年間150万円稼げる」など、いくつかの小さな仕事を組み合わせて生計を立てていく生き方についての可能性を示唆する本作。

自分がやりたいことで、半分遊びながら、しかもやることでどんどん自分の頭と体が鍛えられるような仕事(ナリワイ=生業)であれば、誰でもいくつかはすぐに実践可能である。その具体例なども豊富に紹介されていますが、その驚くほど気の抜けた内容に心のハードルは一気に下がります。

また「生計を組み合わせる」という考え方は生存戦略としてもとても優れていて、何か1つの専門性だけを強みとしていては、その業界自体がなくなったときに生き抜くことができません。食いぶちを確保するには、いくつかの選択肢を持つことが効果的です。

この本に登場する豊かな人生の指標を、わたしは自分の人生においても取り入れています。

6|嫌われる勇気(岸見 一郎)

本書は、フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、「青年と哲人の対話篇」という物語形式を用いてまとめた一冊です。欧米で絶大な支持を誇るアドラー心理学は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な“答え”を提示します。この世界のひとつの真理とも言うべき、アドラーの思想を知って、あなたのこれからの人生はどう変わるのか?もしくは、なにも変わらないのか…。さあ、青年と共に「扉」の先へと進みましょう―。(Amazonより

人はなぜ怒ったり、失望したり、喧嘩したり、負の感情を抱えてしまうのだろう?なぜ戦争など悲しい歴史が繰り返されるのだろう?

この本が面白いと思えるのは、実際の行動を変えるまでもなく、「考え方」を変えるだけで人生はこの瞬間から変えることができる、という哲学的思考をわかりやすく教えてくれる点にあります。物語形式となっているので非常に読みやすいです。

複雑だと思っていた世界を複雑にしていたのは他でもない自分自身で、人生を息苦しくしているのもまた自分自身である。アドラー心理学という思想を知った時、世界はそのシンプルさをあっけなく取り戻します。

「すべての悩みは対人関係の悩みである」「トラウマは存在しない」「課題の分離」など、目から鱗の思考法の連続にわたしは深く影響を受けました。この本を読んだ前後で世界の見え方が良い意味で変わってしまいました。

心の重荷を少しでも軽くしたいときに読むべき一冊だと思います。

7|好きなようにしてください たった一つの「仕事」の原則(楠木 建)

人生はトレード・オフ。その本質は「何をやらないか」を決めること。環境の選択は無意味。「最適な環境」は存在しない。趣味と仕事は違う。自分以外の誰かのためにやるのが仕事。仕事にどのように向き合うか。仕事の迷いに『ストーリーとしての競争戦略』の著者が答えを示す!(Amazonより

「どうしたらいいだろうか?」「こうしてもいいかな?」
就職、仕事、キャリア、人間関係、結婚などなど、人はいつどんな時も何かに悩み、不安を抱え、もがき苦しんでいます。

そんなどんな人も一度は考えたことがありそうな、またはこれから考えるであろう数々の質問に、著者の大学教授がズバズバ回答していくという連載をまとめた本冊。その内容があまりにも痛快でブラックでユーモアに富んでいて、軽快に読み進めるうちに人生の教訓が得られ非常に面白いです。

この本を読んでいると、自分の中に無意識に蓄積されていた見栄や承認欲求などの「他人からの評価」に縛られて生きてしまっていることに気づきます。実はそれはすべて、自分が可愛いからこその「自分のため」の趣味にすぎない。そこに固執する限り、人生の息苦しさが自分を追いかけ続ける。

そのような自分に向かう視点ではなく、他人に向かう視点を持つこと。仕事とは、「他人のため」にすることである。自分の信念で、他人のために、自分のしたいことをすればいい。

「好きなようにしてください」

これほどまでにシンプルな人生の原則を、わたしは知りません。

最後に|レールに乗った人生は果たして正解か?

世間には、「成功のレール」と呼ばれる人生モデルが確かに存在します。

だけどそのように自分の外側に存在する価値観をもとに自分の人生を組み立てる限り、仕事においてもプライベートにおいても本当の幸せは訪れないと思います。

そしてそもそも「正しい」とか「正解」とか、「合ってる間違ってる」とか「勝ち負け」とか「成功」とか、そのような基準自体が本当に正しいのかどうか。むしろ、価値観は常に変化するものであるという前提に立つべきです。

「世間」やら「普通」などという概念も、本当はそんなものは存在しない。それは勝手に自分がそう思っているだけで、誰もそんなものを自分に強制したことはないのです。

「レールに乗る」のではなく、「レールを敷く」側に立つこと。もしかしたらそれはレールですらないかもしれない。十人十色、ひとそれぞれのカタチがあっていい。

多様な生き方や考え方が教えてくれるもの。人生の意味、幸せとは何か。
これからも自分なりの豊かな人生を目指して生きていきたいものです。

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