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膝がつま先より出ちゃダメってまだ言ってる人いるの??


はじめに

昨日、一般の方からメールでご質問をいただきましたので、その方から許可を得てお答えをこの記事に書きたいと思います。
ご質問の内容は
「通っているジムでいつもトレーナーから『スクワットの時、膝がつま先よりも出てはダメ』と言われる」
「でも膝がつま先よりも前に出ないようにしようとするとお尻が後ろに出過ぎてしまい、うまく股関節が曲がらないので腰が丸まってしまう」

確かにこれ、スクワットあるあるですね。

Questでは
『スクワットと言うものは膝をつま先よりも出さないもの』なんて指導の仕方は絶対にしません!

「いや、僕だってそんな風に言ってるわけじゃない!」と言うトレーナーさんの声が聞こえそうだけど・・・
でも脳内ではそういうルールになっているのかも知れません。

もちろんQuestでも
「膝が前に出過ぎないスクワット」を教えることはありますが
そこには
「あなたの場合、膝が先に動き始めて腰が丸まったまましゃがもうとするので、まず股関節を曲げてお尻を後ろに引く動きだけを意識して、それができたら次に膝を曲げてスクワットに移行しましょう」
という意味が含まれていたりします。

そこで今回はなぜ「スクワットで膝がつま先より前に出ない」と言う注意事項が絶対ではないのか?
それについて簡単に説明します。

最新のリサーチに基づく見解

1.個人差に対する考慮

人によって骨格の構造や関節の可動域は異なります。
そのため、一律に「膝はつま先より前に出してはいけない」というルールをすべての人に適用することは適切ではありません。
例えば大腿骨・下腿部の長さと足の大きさとの関係性で考えても
「同じ身長・体重なら脚が長くて足が小さい人はすぐに膝がつま先よりもすぐに前に出る」
と言う当たり前の個体差を考慮に入れない注意点はあり得ないでしょう。

2. 負荷の分散

膝がつま先より前に出ることを許容することで、膝、腰、股関節にかかる負荷がより均等に分散される可能性があります。
これにより、特定の部位への過度なストレスを避けることができます。
この一つが体重が足の裏の支持基底面の中心に垂直に乗りやすくなる場合に起こる現象で、これは「体重のみ」「負荷物を体の前面で支える」「負荷物を体の後面で支える」など条件が変わることでフォームも変わります。
ですから条件が変わっているのに共通の注意点を用いることには問題があるでしょう。

3.機能的動作のシミュレーション

日常生活やスポーツ活動では、膝がつま先を超える瞬間がある場合の多く見られます。
それを考慮するとスクワットでこの動きを取り入れる必要がある人も多く、その場合、「膝がつま先を越えないようにする」と言う注意点は当てはまりません。

4.主働筋の筋バランスと強化

膝がつま先を越えるタイプのスクワットは、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)により多くの負荷をかけることができ、人によって筋肉のバランスを改善し、それが膝の関節の傷害を軽減したり、パフォーマンスを向上させるのに必要な場合があります。
その場合も「膝がつま先を越えないようにする」と言う注意点は当てはまりません。

以上のように最新の研究では、スクワットの際に「膝がつま先より前に出ること」を一概に悪とするのではなく、個々の体型や健康状態、さらに対象者の必要条件に合わせたアプローチを取ることの重要性を示しています。

最後に

ここまででお分かりだと思いますが、この「膝がつま先よりも前に出ない問題」は、さまざまな前提条件を考慮せず「このエクササイズの正しいやり方はこれしかない!」と言う「マインドショートカット」が弊害を生む一つのわかりやすい例だと言いても良いでしょう。

パーソナルトレーナーの方であれば、個体差を考慮するエクササイズ指導が当たり前だと思いますので今回の記事の内容は当然な話だと思いますが、一般の方にとっては「良いトレーナー」を選ぶ際の判断基準になると言っても良いかも知れませんね。

ちょっと意地悪ですが・・・

今回も最後までお読みいただきありがとうございます!

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