着物__2_

連載『オスカルな女たち』

《 女子会 》・・・15


「それより、玲(あきら)さんの夫婦円満の秘訣はなんですの?」
突然桜子に振られ、問われて玲の頭にはあの秘密の「赤い部屋」が浮かぶ。が、真実(まこと)にも言っていないそんなプライベートをこの場で言えるわけもなかった。

「コミュニケーション…じゃないかしら? 夜に限らず」
余計な突込みをされないようけん制する。
「満たされてらっしゃるのね…」
そう言う明日香には、確かに「一大事」なのかもしれない、と玲は思った。

「とりあえず、シャンプー変えてみたら?」
「え?…それだけでよろしいの?」
(むしろそこが重要だと思うわ、)
相変わらずのシャンプーの香りに思い付きで言ってはみたが、つかさが織瀬(おりせ)の日々の努力の話をしていたことを思い出し、

「あなたが夜のお努めがないことでお兄様の浮気を疑うなら、お兄様にもそういう気分を味合わせたらよろしいのよ。自分の妻がいつもと違う行動をとったら、少なからず動揺するんじゃないかしら? 今のあなたのように…」
そう付け加えた。

「それはいいかもしれないわね。後ろめたい気持ちがあればなにも言ってこないかもしれないけど、問いただせないなら行動で示してみたらよろしいんじゃないかしら? もっとも、うちの主人みたいに気づかない方もいるでしょうけど…聖(ひじり)さんは料理人だから、鼻が利くんじゃないかしら?」
それに関しては思うところがあるような、そんな雰囲気の桜子が続いた。

「そうね…そうしてみようかしら…」
明日香に笑顔が戻る。

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです