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連載『オスカルな女たち』

《 打ち明け話 》・・・14

「隠し事…してない?」
 幸(ゆき)は体勢を崩さずに言葉を発した。
(気づかれた…?)
 それに対し織瀬(おりせ)も、身動きひとつしはしなかったが、代わりにきつく奥歯をかみしめた。
「べつに、ないと思うけど…。なんかあった?」
 なんでもない振りをして左隣の幸を見た。大丈夫、うろたえてはいない…と、意外と普通に答えられる自分が不思議なくらいだった。
(さぁ…なにを、言うつもり…?)
 嘘をつくことも、慣れてしまったのだろうか…と、今さらながらの自分の行動に驚いてもいた。
「好きな人がいるんじゃないのか?」
 突然に、幸がそんなことを言い出した。
「え…なに…」
(なんで…?)
 驚きを隠さずに幸を見る。瞬間、頭に思い浮かんだのは「携帯、みられた? でもROCKかけてるし…」とテーブルに載せたままのスマートフォンだった。
(なにを知ってるの…?)
 多少なりとも心に引っ掛かりを持つ織瀬は、冷静ではいられなかった。
「もうずっと、好きな人がいたんじゃないのか? それこそ…結婚する前から…」

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