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連載『オスカルな女たち』

《 騒がしいやつら 》・・・3

「動きが全然、子どものおもちゃじゃない!」
「誰も気づきませんよ、カバー取らなきゃ…」
「カバー、取れちゃうかもしれないでしょっ」
 それこそただの布をかぶってるだけの代物だ。

「昔流行ったフラワーロックもこんな動きでしたよ?」
 そう言って楓は、腰をくねらせて自分も同じ動きをして見せる。
「やめぃ! そういう問題じゃない…なんでそんなことしてんの…!」
 未だ受け取れずにいるそれを指さす。
「そりゃぁ、真実(まこと)先生と、新しい趣味の世界を広げようと」
「広げんでいい! そんな趣味ねーし、…」
「真実先生~こんなので遊ぶくらいなら、言ってくれたら…と?」
「だ、か、ら! あたしのじゃないって」
「はいはい。聞こえてますよ」
 そう言ってデスク正面にあるレントゲンの前に立てて見せる。
「ふざけてんのか」
「なにがです…?」
「そこに置くなよ」
「机に戻します?」
 笑いをこらえているのが解る。が、言ったところで反省するとは思えない。
「いい加減にしろよ。人の机勝手に開けたばかりか、中のもの取り出してなにやってんだよ」
「そんなに怒らないでください。あたし、嬉しくてつい…」
「うれしい? なにがよ? それが?」
(あぁ~泣いてしまいたい…)


いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです