連載『オスカルな女たち』
《 すったもんだで 》・・・19
「もうっ…恥ずかしいったら」
「ごめん。つい…」
しゅんとする夫にムラムラと鞭を振るいたい玲(あきら)の指が、手持ち無沙汰のように小刻みに動く。
「私だって、あの部屋がなくなることに憤りを感じているのよ!」
八つ当たりとばかりに言い放った。
「そうだな。それは問題だ。早急に手を打とう」
「は?」
羽子(わこ)を前に我を取り戻した泰英(やすひで)は、すっかりと家庭内の寡黙な男に戻っていた。
「もう~」
先ほど持たせたシルクのハンカチーフが泰英の手の中でもみくちゃにされている。
(羽子の前だとすぐカッコつけて…)
心で舌打ちしながらも、そんな夫をかわいいと思う玲。
「とにかく、羽子をここまで追い詰めたのはあなたですからね。きっちりとケジメつけ?ぬてもらいますからね」
「あぁ。いつまでも大人気なかった…すまない」
そう言って踵を返し、両親の奇異な行動にただならぬものを感じベッドにおとなしく戻る羽子を見た。
「体調はどうなの? 入院、かかりそうなの? 主治医はなんて言ってるの…」
矢継ぎ早に問い詰める泰英に、
「そんなにいっぺんに言われても…」
口ごもる羽子。
*初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです