連載『オスカルな女たち』
《 織姫と彦星 》・・・9
〈そういうことじゃないんです〉
真田は、最初からそういうつもりではなかったのだ。少なくとも、あの日は、
〈じゃぁなんで…!〉
〈織瀬(おりせ)さん。今オレが抱いたら、オレの前から消えるつもりじゃないですか〉
〈ぇ…〉
なにも言えなかった。
〈もう…! どうして! そんなこと…っ、そんなことどうでもいいじゃない。あたしが望んでいるのに、〉
真田には、なんでもお見通しなのだ。
(なんで…なんで、みんな…あたしを)
真田の前では下手な小細工も、遠回しな駆け引きも、なにもかもがなし崩しだった。
〈オレは…!〉
しがみつく織瀬を引きはがし、
〈オレは、これっきりなんて嫌なんです! もう…っ黙ってみてるのも、人にとられるのも嫌だ。手に入れたら放したくない。すべてオレのものにしたい。だから!…いなくなるのは、勘弁してください〉
〈章悟くん…〉
〈ずっと好きだった。あの雨の日から、ずっと。忘れられなかった。どんな女と付き合っても、あの日のあなたの涙がオレを引き留める・・・・〉
*初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです