雲の上

あぁ、お父さん

わたしはあなたのプリンセス。わたしはあなたの自慢の娘「おねえちゃん」

短気も冷たさも、隠れた優しさも、みんなあなたがくれたもの

いなくなってから2年、まだ実感がない

時々ぐっときて、熱いのが目のうらっかわまで来るけど、涙は出ない

まだまだ実感がわかない。どこかにいる気がする。いや、心の中でなくて

なんだろう。いつまでも、いつまでも、「お父さん」って呼べると思ってた

「はいよ」「なんだい?」って答えてよ。「おねえちゃん」って呼んでよ

「お父さん、死ぬんだ」って、あの時どんな気持ちで言ったの?

あたし、お父さんと同じだから、上手に言葉が出てこなかったよ

「また、そんなこと言って」って、嘘じゃないことは解っているのに

ちゃんと、言うべき言葉が出てこなかったよ。そんな言葉、知らないけどさ

お葬式の時、誰も泣かなかったね。みんないい式だって言ってくれた

でもあたし、本当は、一番、お父さんに褒めてほしかったんだよ

本当はもっと立派な、誰にも負けない・・・そんなことどうでもいいのに

挨拶もきっちり考えて、本当はあたしがあそこに立ちたかったけど

それは立場上してはいけないことだから、たくさんの言葉を飲み込んで

でも、あそこで上手に喋れたからってどうだった? お父さんいないのに

あたしは、そんな最期のことばっかり考えてないで

もっと、もっと、お父さんのそばにいればよかった。もっと行けばよかった

決して最期を待ってたわけじゃない。でも、どうしてもちゃんとしたかった

だってお母さんは「わかんない」って言うし、妹は泣くばっかりだったし

とにかく「誰にも邪魔されたくない」って言うから、あたし・・・

あたしは「つめたい」って言われても、絶対泣かないでやり通すって決めた

だからちょっと優しさが欠けていたかもしれないね。ごめんね

あたし、しょっちゅう家帰ってるけど、忘れてるわけじゃないけど

仏壇にお線香をあげられないの・・・お墓に行くのもすごく嫌。ごめんね

解っているんだけど、戒名の字とか、その意味とか考えると

どこかにいるって気持ちが嘘になりそうで、どうしてもできない時がある

お父さん、あぁお父さん。写真の顔はいつもの笑顔なのに・・・

声が聞こえない。忘れちゃうかもしれない。・・・嘘。大丈夫、きっと

あたしもいつかそっち側の存在になる。まだまだ、先であってほしいけど

その時はまた「おねえちゃん」って呼んでね。ちゃんと見つけて


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