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連載『オスカルな女たち』

《 織姫と彦星 》・・・8

「あたしの信じた彦星は…幸(ゆき)じゃなかったんだなぁ…って」
(そしてあなたも…結局、あたしを受け入れなかった)

 2週間前、真田のアパートを訪ねた織瀬(おりせ)は、少なくともそのつもりだった。
 だが、真田にとってはそうではなかったのだろうか…と、あの日を振り返る。だが、
(また聞けない…)
 問いただせない、そうした結果が幸との破局を招いたのではないか…そうは解っていても、もともとの性格からなのか遠慮してしまう。いや、織瀬に限らずともそういったセクシャリティな問題は、そう易々と口にできるものではないだろう。
(それでも…アパートに行くってことはそういうことだとは思わなかったのかしら?)

 あの日、意を決して真田のもとに向かった織瀬だったが、自責の念に耐えきれずに結局泣き出してしまった。そして、やんわりと気持ちを受け流されたのだ。
 少なくとも織瀬はそう感じている。
〈どうして…〉
 どうして抱いてはくれないの?
〈わたしのこと、嫌い? それとも魅力がない…〉
 精一杯の言葉で真田を求めたつもりだった。

*初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)

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