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ムラヤナギリの聖牛~南インド、異界への扉

 その男は、白い綿のゆったりしたインドでよく見かける服を着て、僕の方を向いていた。褐色のしわだらけの目元、真っ白いあご髭、白い歯をみせて笑みを浮かべていた。
 男が立っている道は、草原を人が踏みしめただけの山道で緩やかなカーブを描いて尾根に消えていた。裸足の足下には、白や紫色の花が咲いていた。

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デカン高原の赤い土と西ガーツ山脈の濃い緑。高原の古都・マイソール一帯は、王国の興亡と民衆の信仰が交錯する歴史が積み重なっている。僕は訪れた…

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シニアの旅に挑戦しながら、旅行記や短編小説を書きます。写真も好きで、歴史へのこだわりも。新聞社時代の裏話もたまに登場します。「面白そう」と思われたら、ご支援を!