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南インド幻想紀行

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デカン高原の赤い土と西ガーツ山脈の濃い緑。高原の古都・マイソール一帯は、王国の興亡と民衆の信仰が交錯する歴史が積み重なっている。僕は訪れた市場や寺院で、現実とは思われない不思議な…
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チクマガルールのコーヒー~南インド スパイスの街

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マイソールの白檀~南インド、魔法の香り

 インド南部、デカン高原の南端に広がるカルナータカ州は、温暖な気候に恵まれている。  州…

石像の魔法~南インド、聖地の岩山はパワースポット

 ガイドブックによると、石段は何と614段もあるという。そして頂上には巨大な聖なる裸像が待…

ムラヤナギリの聖牛~南インド、異界への扉

 その男は、白い綿のゆったりしたインドでよく見かける服を着て、僕の方を向いていた。褐色の…

ベルールの「知恵の輪」~南インド、回廊の先に

 門前には年老いた知恵の輪売りがいた。石段に腰かけ、ちぎったような段ボールに、針金を曲げ…

ベルバディーの幻想~南インド、歌声に誘われ

 「着きましたよ。ベルバディーです」  チャーター車でうたた寝に身を任せていたから、僕ら…

マイソールの小箱~南インド、古き良き市場で

 もしあなたが、南インドのマイソールという街を訪れる機会があれば、僕はためらいなくデーヴァーラージ市場に行くことをお勧めする。ガイドブックなどには「デーヴァーラージ・マーケット」となっているが、やっぱり「市場」「いちば」という感じ。  しかも、関東風に「い」を強めるのではなく、関西弁で「ば」に弱いアクセントを置く言い方が合う。  狭いところは人が何とか行き交い出来るような通りを挟み、両側にぎっしりと店が並ぶ。間口3、4メートルの果物屋もあれば、たった1メートル余りの線香屋もあ

マイソールの父子~南インド、王国の盛衰

 「ところで、息子よ」  父はこう語りかけた。  「お前の初陣は見事じゃったのう。イギリス…