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街猫街犬パラダイス、トルコ 2

ベンチやモスクで堂々と

 なんで世界都市イスタンブールに犬猫がこんなに多いのか。ヨシオはこの後、カッパドキアで日本語ペラペラの観光ガイドのトルコ人エルカンさんと知り合って、聞いてみた。
 それはイスラム教の影響もあるらしい。日本のように行政による殺処分はないというのだ。2週間足らずの旅では十分には分からないが、トルコの人たちは犬猫に優しく、街のあちこちにパンやペットフード、水を入れたバケツを置いて「飼って」いる。
 ということで、ヨシオは彼ら彼女らを「街猫」「街犬」と呼ぶことにした。日本の「地域猫」というのと、少し雰囲気が違う。

イスタンブール新市街のチュネル駅北。路面電車の停留所のベンチにも。座っている女性はテヘランからの観光客だった

 確かにこれだけ犬猫がいると糞も多いが、大目に見られているようだ。ただエルカンさんによると、トルコ社会でも動物の増え過ぎが問題になっていて、不妊手術をしたり収容施設の設置も検討されているという。
 ただ、ペットとして首輪を付けて犬の散歩をしている人はあまり見かけなかった。やはり皆で、街で飼っているのだ。

通りすがりの人が可愛がっていく。ベンチの下にはペットフードが見える。上の写真と同じベンチで

 アヤソフィアなど旧市街の名所入り口には、あっという間に数百人の行列ができる。リラ安もあってか、イスタンブールにはヨーロッパや中東からものすごい数の観光客が押し寄せていた。
 トルコリラは円に対しても数年前の四分の一程度なので、割安感はあるが、ホテルなどはユーロ建てが多く物価水準は日本と変わらないようだ。
 ヨシオは「地球の歩き方2019~20」(新しい版は2023年秋の時点で改訂版は出ていない)を参考にしてきた。リラ安に期待していたものの、トルコのインフレはすさまじく、入館料金など2019年の10倍というのもざらだった。
 年内に70歳となるヨシオにとって、旧市街の行列はあまりにハードだった。トラムも満員。金角湾を渡って新市街に逃れ路面電車に乗って活気にあふれる街並みを楽しんだ。

旧市街グランドバザールの食堂では犬と猫が仲良く遊んでいた

 ヨシオのイスタンブール滞在は4日間。最終日、せめてグランドバザールは見ておこうと乗り込んだ。やはりお正月の初詣さながら。お土産を買って値段交渉も体験。何割かは安くしてもらったものの、グランドバザールのおやじに勝てるわけがない。
 グランドバザールの東隣に立派だが割と静かなモスクがあった。ヌルオスマニイェ・ジャーミィといい、ヨシオはそこでバザールの熱気を冷ました。
 礼拝を呼びかけるアザーンが響く中、真っ白な猫が凛とした表情でたたずんでいた(冒頭の写真)。
 モスクには白い猫がよく似合う。

ヌルオスマニイェ・ジャーミィの白猫

シニアの旅に挑戦しながら、旅行記や短編小説を書きます。写真も好きで、歴史へのこだわりも。新聞社時代の裏話もたまに登場します。「面白そう」と思われたら、ご支援を!