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ドラボンボール わかりやすい強さ

 界王拳2倍、超サイヤ人3、戦闘力53万(スカウター)

強さを測る数字

 ドラゴンボールはただの格闘漫画ではありません。読者が強さを理解しやすいように随所にアイデアが盛り込まれています。それが、強さを表す数字です。

 スカウターでの測定は、その際たるものですが、それ以外にも、界王拳の倍数、スーパーサイヤ人の変身番号、合体(フュージョン、ポタラ、セル、魔人ブウ)、変身など、物語の展開が変わると、しっかりとそれに合わせて強さを表す数字も変えてきています。

 数字は物事を具体化します
 なんとなく頭がいいなと言う同級生がいたとしましょう。その同級生と自分との差を確かめようとしても、日々の言動ではいったいどの程度差があるのかわかりません。しかし、テストを行うことによって、相手が90点、自分が40点だった場合、そのテスト範囲については、50点の差があると理解できるでしょう。

 体育の授業で足が速い同級生がいると仮定します。鬼ごっこをして捕まえられなかったとしても、いったいどの程度の差なのかはわかりません。しかし100メートルを走って、相手が11秒、自分が15秒だと分かったなら、4秒縮めれば捕まえられるとわかります。
 この4秒縮めれば、と言うわかりやすさが、ドラゴンボールにはいくつも登場します。

 強さ、速さを絵で表現することは難しい。しかも動画ではなく、止まっている絵のマンガではなおさらです。演出上、光らせたり、髪の毛の色を変えたりすることで、変化を見せることはできますが、それがイコール強さかといえば、そうやすやすと納得できるものではありません。

 例えば、ナメック星に向かう悟空が、100倍の重力でトレーニングして強くなりました。ギニュー特戦隊との戦いで、その強さはアニメーションで描かれていますが、実際にスカウターで18万と測定されると、その数字がギニュー特戦隊だけでなく、ベジータやフリーザとも比較ができて、今の強さを瞬時に理解できるのです。しかも、そのタイミングでフリーザは53万と自己申告しています。18万では、53万に勝てないことは、これまでのナメック星での争いで明らかです。

 このように、数字に強さを置き換えると、その場の戦闘以外の事象も関連づけてドラゴンボールの関係図を更新でき、視聴者や読者の理解を促します。そして、実際に、視聴者と読者は理解してしまうのです。

読者の妄想

 わかりやすい強さは、読者が先を予測しやすい状況を作ります。さらに勝てない敵が現れた時、どのようにすれば倒せるか戦術や戦略を読者が考えることができます。
 軍事予想と違い、把握する数字も少ない。キャラクター1体の強さだけ理解していれば良いため、把握しなければいけない数字も少ないことが、戦略の立てやすさの秘訣でもありますね。

 そういえば、ワンピースの賞金額で表される強さも読者の妄想を誘いますね。

 物語の中で、強さなりなんなりを測定する数字を用意しておくと、そこからおもしろさが広がる可能性もありますね。

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