海外インディーズバンドの_初来日ライブの宣伝_広報のために_心掛けたことリスト__3_

海外インディーズバンドの、初来日ライブの宣伝・広報のために、心掛けたことリスト

□海外インディーズバンドのライブに、宣伝・広報企画チームとして携わったので、やることリストをお伝えしようと思います。

お前誰よ?

こんにちは。中村めぐみです。

普段は、Webマーケティングの会社で働く傍ら、フリーライターとして、台湾音楽のトレンドを伝える仕事をしています。

今回はそんな私が、海外インディーズバンドの初来日ライブの広報のために、工夫したことリストをお伝えします。

といっても、私は広報・宣伝のプロではありません。

今回のイベントに関わるまで、ライブ企画の広報・宣伝に関わった経験(例:ミュージシャンとしてライブを企画したり、ライブハウスや、レコード会社で働いたりした経験)はありませんでした。集客広報のために必要な専門知識を学んだこともありません。

ないこと尽くしの私ですが、とあるきっかけから、今回、タイのインディーズバンド「TELEx TELEXs」の来日ライブの広報・宣伝のためにチームを結成し、より多くのお客様にライブ情報を届けるお手伝いをしました。

本国では大人気の若手バンドとはいえ、今回は、彼らにとって初となる日本のライブ。日本は認知されてる、良さが広まっているとは決していえない状況です。

実際、ライブの3週間前までは、チケットの予約数は15名様分。やや危機的状況でした。しかし、最終的には100名を越えるお客様がご来場しました!

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(↑当日の様子)

チームとして行った作戦は、大きく分けて以下の4つです。

・フライヤーの作成、配布
 …常識に捉われない自分たちなりの工夫で「行きたい気持ちになっていただく」努力をする
・現地語(タイ語)チケット買い方サイトの制作
 …タイのお客様や関係者へ、日本人ファンの本気度を伝えて、「応援したい気持ち」になっていただく努力をする
・プレスリリースの作成・送付
 …第三者目線で、取り上げてもらえる文章を考える。送付文章もつくりこむ。送付先も徹底的に選定する
・告知動画の提案
 …限られた時間かつ、言語の制限があるなかで、「会える回数」を増やす

……「わりと普通だな」と思われるかもしれません。しかし、常識にとらわれないやり方を試したり、内容を少し工夫したりすることで、一つ一つの作戦の効果を最大限まで高める努力をしたのが、当日の大盛況につながったと捉えています。

もちろん、私たちのチーム以外にも、多くの方が今回のライブを宣伝活動に関わっています。全て私たちの成果と言う気はありません。関わった方全員の努力で、良い結果を残すことができたと考えています。

なので、私たちがすごい、えらい、とは思っていません。

ただ、私たちのやり方を真似することで、「日本ではまだ広まっていないけど、ライブの力が強い海外アーティストの情報を広めたり」「興味を持ってもらえたり」「ライブに興味を持ってくださるお客様と出会う努力をする」ためのノウハウが広められたらと思い、有料マガジンを発売します。

ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。


具体的なノウハウに入る前に、「なぜ、いちライターがイベントの広報に携わることになったのか」をお伝えします。



正直、最初は他人事だった。(ライブまであと2か月)

今回、私たちが関わったのは、8月15日(木)に東京都で行われたタイのシンセポップバンド「TELEx TELEXs」の初来日ライブです。

TELEx TELEXsは、タイの若者を中心に大人気のバンドで、シングルを発表するたびに現地のインディーズ系のラジオ局では常にチャートインするほどの実力・知名度があります。

今回は、サマーソニックへの出演のために訪日し、その前々日に東京都内のライブハウスで、彼らにとって初となる来日ライブを行う計画でした。

私が普段お仕事をする領域といえば、台湾の音楽シーンです。タイ音楽にはあまり詳しくないのですが、友人からおすすめされて以来、TELEx TELEXsは特別な存在です。いち観客として見に行こうとは思っていました。

そんなTELEx TELEXsが来日ライブを行うのを聞いたのは、確かライブ当日2ヵ月ほど前のことでしょうか。

実は、当初は広報として関わる予定はありませんでした。なぜなら、企画をしたわけでもないし、本人たちと知り合いでもないからです。(関係者として企画に関わる発想がなかった)


あなたもご存知の通り、日本に根を下ろして活動するインディーズバンドでさえ、ライブの宣伝や、集客は厳しい状況です。

そこに「日本でまだライブをしたことがない海外アーティスト」「ファンベースができていない中の初来日ライブ」といった条件が重なると、お客様に来てもらう、良さを知ってもらうハードルはさらに上がります。アジアのアーティストならなおさらです。


(補足)K-POP以外のアジアのアーティストの広報は厳しい

あなたは、アジアのアーティストといえば、どのような存在を思い浮かべますか?

お茶の間的には「アジアといえばK-POP」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

K-POPは、海外プロモーションのために多くの予算がつぎ込まれ、アーティストへの教育も徹底されているそうです。

一方インディーズバンドは、状況が違います。予算や日程の都合で、できる広報活動が限られています。

実際、以前、来日ライブが行われたとあるアジアのインディーズバンドは、本国では大人気にもかかわらず、10名ほどしかお客様がいらっしゃらなかったとのこと。

TELEx TELEXsをとりまく環境は、明らかに後者に近い状況です。

「ライブの宣伝、大丈夫なのかな…?」

と心配が胸をよぎりましたが、特に口出しをせず、当日ただライブを観に行く予定でした。

この状況が変わったのは、ライブまであと3週間を切った頃(7月末)の話です。

ライブまであと20日。「前売りチケットは15枚しか出ていない」と聞いて

「チケットがあまり売れていないんだけれど、どうしよう…」

TELEx TELEXsのライブ企画に関わる複数の友人から、そう聞いたのは、来日まであと3週間を切った時の話です。

前売りチケットが15枚ほどしか出ておらず、また、広報・宣伝の人手が足りない状況も伝わってきました。

正直な感想として、「まあ、世の中的にはそれが普通だよね」と思いました。(正直、この時点では、まるで他人事だった)

宣伝のために、いくつかのアイディアが思い浮かびましたが、一人ではできないことばかり。軽々しく「手伝うよ!」といえません。責任が取れないアイディア提案ほどありがた迷惑なものはないからです。

でも。とはいえ。

目の前に困っている人がいて、頭の中にアイディアがあるのに、何もしないのは、人としてどうなんだろう?と思いました。

特に、「チケットが売れていない」と正直にお話ししてくださったお二人との間には、これまでに多くの思い出があります。


今回、TELEx TELEXsの東京ライブを提案した、Studio Mushroom Ironのnaomiさん。Studio Mushroom Ironさんは、アジアの音楽の魅力を日本の方に広めるべく、陰でご尽力なさっている事務所です。また、私がただのブロガーだったころからライターになれるまでずっと、「あなたの記事は面白い!新しい!」と、励まし続けてくれました。

TELEx TELEXsと対バンするFontana Folleのベーシスト、Yuki Leeさん。彼は、バンドの活動のほか、「アジアのポップスを聴き倒す会」を独自に企画し、アジア音楽ファン同士の交流の場を創っています。第3回開催時は、それまで表に出るのをためらっていた私に、ゲストスピーカーという役割を与えてくれました


これまでのことを思い出すたびに、「他人事」という意識は謎の正義感へ。そして、「状況を逆転させるために、今あるアイディアを実現するには、どうすればいいかな?」という考えに変わっていきました。

「……一人の力では厳しいなら、私にないスキルを持つ友人や、メディアの皆様へ協力をお願いしたら良いのかも。得意分野を組み合わせて、何とかならないかな?」

そこで、広報・宣伝プランの企画書を書いて、お二人(naomiさん、Leeさん)を含めた友人たちに「こういうプランがあるんですけど、一人では無理なので、よかったら一緒にやってもらえませんか?」と、お声がけしたところ、全員から「やりたい!」「協力するよ!」と、快いお返事がもらえたのです!

ライブまであと18日。即席広報・宣伝チーム結成。テーマは、「常識を疑う」

ライブまで残り18日。5名で結成した即席の宣伝・広報チームは動き始めました。

最初の取り組みは、

・フライヤーの作成
・タイのお客様向けのチケット買い方ガイドの制作

この2つです。(この2つの作戦にした理由は、それぞれ、「方針」があるのだけど、後の章でくわしくお伝えします!)


時間がないため、フライヤーを置いてもらう交渉、デザイン、コピーの作成、フライヤーのための写真提供依頼などの作業を、全員で分担して、同時進行します。

ここで大事にしたのは、「一般的なインディーズライブ宣伝の常識」を疑い、心から「これなら最短で結果が出る」と思えるプランのみを実行することです。

たとえば、一般的にフライヤーはオシャレなものが好まれますが、デザインに凝る時間はないので、オシャレにするのは早々にあきらめてその代わり、「必要な情報」を「興味のあるお客様だけ」に見てもらう工夫を、最大限しました。

『集まったメンバーで、実現できることを徹底してやり抜く』をモットーに、作業の効率を高めます。

また、タイ関係の情報を扱うFacebookページでイベントをシェアしてもらえたり、SNSで拡散してもらえたりなど、ご協力の輪もどんどん広がっていきました。

ライブまであと13日。フライヤーの配布・チケットガイドの制作が完了

チームを結成してから、わずか6日でフライヤーの配布までが完了しました。タイ語のチケットガイドも制作し、ほっと一息。

予約者の方がひとりでも増えたらいいなあ…と、期待と不安でやきもきしていたのですが、数日後待ち受けていたのは、予想もしていない展開でした。

ライブまであと10日、徐々に伸びていく予約数と親心

私たちの作戦が、実際に予約数に反映されはじめたのは、ライブまで残り10日を切ったタイミングです。数日おきに、予約数を確認するたびに、30人…40人…と、どんどん増えていきます。

正直、「1人でも予約してくださったら儲けもの……」と思っていたので、10名単位で予約数が増えていくのを見て、目を疑いました。

そして、せっかくなので、もう一押し行けないかな?と思いました。

今回会場となったライブハウス・青山 月見ル君想フは、80人~100人ほどのお客様がいらっしゃると、「盛況しているが、ライブは快適に見れる環境」といえます。バンドのテンションも上がり、気持ちよく演奏できるでしょう。

せっかく日本に来てくれるんだから、できることは全部したい…。
(謎の親心)

そこで、残り10日でできる作戦として、

・プレスリリースを書く
・動画を作る

などの新しいアイディアも、全員で話し合った上で実行しました。

この時に気を付けたのは、残り日数が少ないからといって手を抜かないことです。

プレスリリースを送ったからといって、必ずしも、掲載が確約されているわけではありませんが、「掲載してもらいたい媒体」のイメージに合うよう、切り口や書き方を工夫しました。

その結果、第一希望かつ有名なWebサイトへ掲載してもらうことができ、SNSなどで情報はどんどん拡散されていきます。

逆に、「これは良い作戦だと思うけど、いまの余力ではやりきれない」と判断するものは、アイディアがあっても「あえてしない」ことにしました。中途半端な作戦は、やるだけ無駄になってしまうという考えです。


ライブまであと7日。予約数が50名を突破

友人のライターによるインタビュー記事が公開されたり、ライブハウスのご協力もあり、ライブまであと7日の時点で、予約数は50名を超え、2日前には約60名も達成。

「まあ、即席のチームとしてはよくやったほうだよね!」と、努力を称え合いました。

そして、ライブ当日を迎えました。

実際に来てくれたお客様の人数は…?

当日は台風が接近しているニュースが入り、「全員ドタキャンの可能性もある、どうしよう」と思いましたが、ふたを開けると大盛況でした。

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当日券でいらしたお客様も大勢いらっしゃり、事前情報(60名)を明らかに超える人数で、会場はほぼ満員です。

※後から確認したところ、最終的に来場したお客様は、なんと100名を超えていたそうです!

100名という「数」の力もそうですが、私にとっては、TELEx TELEXsや、お客様たちの笑顔が心に残りました。

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心からの笑顔で演奏をするTELEx TELEXsのメンバーたち。

初来日ライブを見守り、全力で楽しむ日本のお客様。

TELEx TELEXsと同じタイ出身と思わしきお客様。

皆さんの笑顔に触れて、言葉に表せない気持ちが溢れてきます。

今回、広報・宣伝企画に携わったのは、自由意志でしたことです。誰かに強制されたわけではありません。

でも、チームで作業を分担したとはいえ、人を巻き込む以上、チケットが1枚も売れなかったら今後の信用にかかわる(ライターなのにアイディアを認めてもらえなくなる)というプレッシャーはありました。

さらに、短い期間とはいえ、寝る時間を惜しんでフライヤーをデザインしたり、家族の時間を削ってプレスリリースの原稿を書いたり、作戦がどうにか着地するように考え抜いたりしたことが蘇ってきました。

でも、そんな気持ちも、バンドメンバーやお客様の笑顔、そして大入りの会場を見て、本当に良かった…!関わってよかった…!の一言に収束されていきました。

ただのライターが、思わぬきっかけからライブの広報企画を経験できたこと。

一人の力ではなく、チームを組んで動けたこと。

結果を出すのに貢献できたこと。

そして最終的に、多くの笑顔に触れられたこと。

こんな自分になっているなんて、1ヶ月前にはまるで想像していませんでした。


このマガジンは、そんな私たちが広報・宣伝企画のためにしたことや、大事にしてきたチームの力についてお伝えしていきます。

このマガジンは、こんな方におすすめです。

・ライブやイベントの宣伝・広報をしたい・手伝いたいが、何からすればいいか分からない方。(チームの作り方、役割分担の仕方、企画書の書き方、フライヤーに載せる写真の選び方、キャッチコピーの書き方、掲載してもらえたプレスリリース原稿、メディアへ送ったメールなど、実物を具体的に紹介します)
・ライブハウスでたくさんのお客様に囲まれた、自分の推しの海外アーティストの笑顔を見たい(多くのお客様に囲まれたとき、アーティストの魅力はより高まります)
・海外インディーズバンドの初来日ライブなど、比較的小規模のライブの広告・宣伝がしたい方(1万円以下でできます)
・ライブまで時間がないけど、ここからなんとか逆転したい方(3週間前からできる作戦のみ伝えます)

逆に、大規模のライブを成功させたい方には合わないかもしれません。また、手をかけずに宣伝効果を出したい方にも向いていません。

でも、だからこそ、多くの方の手に取ってもらいたい内容です。


このマガジンは、全部で10章に分かれており、この記事は無料でお読みいただけます。具体的なノウハウは有料エリアで、順次公開をしていきます。マガジン全体の定価は3,000円ですが、単品買い価格(500円~/1記事)を設定しているものもあるので、気になる項目のみお買い上げいただくことも可能です。


ただし、気になる項目が6個以上ある場合は、単品買いは割高になり、マガジンとしてお買い上げいただいたほうがオトクです。

そのため、ぜひ、最後までお読みいただきたいです!


それでは、本編へ!

有料マガジン全体のご購入はこちらからどうぞ:海外インディーバンド 初来日ライブの広報・宣伝技術まとめ

目次
(1)はじめに(当記事・無料)
(2)「こんなはずじゃなかった」を防ぐ広報・宣伝企画書づくり<実例あり>
(3)一人でがんばらない。苦手なことをしないための役割分担の仕方<実例あり>
(4)フライヤーはオシャレじゃなくても大丈夫だけど、絶対抑えておきたいこと<実例あり>
(5)お客さんと会えそうな場所だけに、情報を流す~ライブハウスに、フライヤーを置くことだけが正解?~
(6)本気度を知ってもらうために、「本国向け」のコンテンツを作る<実例あり>
(7)説得力を上げるプレスリリースの書き方とは?<実例つき>
(8)プレスリリース掲載依頼メールの秘訣は、相手研究にあり<実例つき>
(9)インディーズシーンで、他人を利用しないために、私が心掛けてきた15のルール。
(10)集客0名を前提に、最後までやる
(おまけ)インディーズ広報に便利なサービス・ツール5選まとめ
(おまけ)フライヤー添え状の実例

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「知名度が高いとはいえないのアーティスト・バンドのライブをなんとか広めたい!」方におすすめのマガジンです。実際にライブハウス広報のチーム戦を経験した私たちによる企画書・プレスリリース原文などすべての資料をもとに、チーム作りやインディーズライブ広報の具体的な技術をお伝えします!6本以上気になるトピックがある場合は、マガジン購入のほうが、お得です。

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