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心に残る成人式を作っちゃいました。

私は自治会の役員をやっています。今年は地元の市が成人式を中止にしたので、代わりに町会(自治会)で成人式を企画し実施しました。その顛末です。

昨年12月前半に市は今回の成人式は例年と異なり3部に分散して実施するとし、対象者に案内状を送った。12月に入り、首都圏でコロナウィルス感染者は増加していたが、政府はまだGO TOキャンペーンを行っていた時期だ。しかし12月23日に、突然市は中止に舵を切った。非常事態宣言の出る前であった。

市の開催する成人式がどれほど意味のある行事なのか、いろいろな意見や考えがあるだろう。しかし参加しようと準備している若い人にとっては一生に一度の大切な行事である。ディズニーランドや大相撲が行われているのに、なぜ?という思いが残る。もっと時間や場所を分ければできるのでは?とも思う。立食パーティーの賀詞交換会ではなく、飲食無しの、じっと席に座ったままの式典である。これがどれほどのリスクなのだろうか?と恨み言を言いたくなる。しかし市は開催を断念した。

私はなんとか別の形でできないだろうかと思った。規模を小さくして、地元の中学校出身者を対象に中学校の体育館を借りて、実施するのはどうだろうか。そこで中学校に打診すると、すでに施設の新しい貸し出しは禁止と市が通達を出していた。

そこで町会レベルだったら、集会所を使ってできるんじゃないかと思い、町会長に相談した。今年度はコロナ感染症対策で例年行う盆踊りも、餅つきも中止にしてきた。町会長は感染症に対して用心深いほうである。ところが今回はゴーサインが出た。顔見知りの地元の若者を祝ってあげたいのだ。

昔のこども会名簿を頼りに対象者を洗い出すと対象者は11名いた。案内状を作って全員に送った。結局6名出席、5名欠席となった。男性4名、女性2名が参加するという。出席率は50%を超えたので、まずまずである。女性陣は振り袖を着てくるという情報も入り、準備に気合いが入った。

どういう式にしようかとプログラムを考える。前半は式典、後半は交流会でいくことにした。式典は町会長の挨拶、来賓の挨拶、恩師のビデオレター、新成人代表スピーチという内容に決めた。彼らの中学校時代の恩師にビデオ動画作成を依頼した。ビデオを写すプロジェクターもないので、地元の公民館にお願いして借りてきた。

会場になる集会所は築約50年のぼろい建物である。中の部屋は畳敷きで20畳ほどの広さがある。地元の学校から紅白幕を借りてきて周りをそれで囲む。ボロが隠れて式典会場らしくなった。正面には習字の先生に書いてもらった「成人を祝う会」という字幕を設置、さらにそれらしくなった。

ある程度形が整ったので、新聞社とテレビ局にプレスリリースをした。私は昨年たまたま「マスコミに取材に来てもらう方法」という市のセミナーを受けて、それでプレスリリースというものを知った。要するにこんなイベントをやりますよ、とマスコミにお知らせをするのである。そして地元の新聞社とテレビ局が我々の成人式に取材に来ることになった。

式当日、1時間ほど前に役員が集まり、準備にかかった。受付には体温計と消毒スプレー、室内には加湿器付き空気清浄機を用意した。とにかくここでコロナ感染者を出すわけにはいかない。席の間隔も充分に空け、対策は完璧にやった。

晴れ上がった冬空の中、男子はスーツ、女子は晴れ着で予定通り新成人が集まった。保護者も何名か付き添いで来られ、集会所前は晴れやかな雰囲気に包まれた。テレビカメラが入ったので、一段とイベント感が出て盛り上がった。

10時に開始。滞りなく「成人を祝う会」が進行した。そこには形式的な祝辞ではなく、相手に気持ちが伝わるスピーチがあった。式典は15分ちょっとで終わり、続いて写真撮影を行った。空気入替えのため、いったんみんな外に出て外でも記念撮影をおこなう。みんなとってもいい顔だ。

そのあとまた建物に入り、残り約30分で交流会をおこなった。「英語はダメよスピーチ」「逆さ言葉ゲーム」「フルーツバスケット」などのレクリエーションゲームをして楽しく過ごした。

参加した新成人は、お互いこども会の廃品回収でリヤカーや台車を引いた幼なじみである。そんな顔見知りのメンバーだったので、今回の「成人を祝う会」は和気あいあいとした家族的な暖かい雰囲気になり、とてもよかった。

最後に赤飯とケーキをお土産に渡して解散した。しかし他にもお土産があった。それはその日のテレビのニュースにこの「成人を祝う会」の様子が流れ、翌日の新聞に記事が載ったことである。よい思い出になった。




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