好きなのは、どのフリートウッド・マック?
先週のジョニ・ミッチェルに続き、萩原健太氏から聞いた今回はフリートウッド・マック。
聞き覚えのあるSay You Love Meが1976年、Don’t Stopなどが1977年。そういえば中学校でちょっと気取ったやつが「聞いてないの?フリートウッド・マック」なんて威張っていたっけ。1977年と言えばこっちはKISS初来日コンサートに熱中していた頃。単純な、いや、わかりやすいシンプルなロックを聞いていたのさ。
バンド名のフリートウッド・マックはドラムのミック・フリートウッド、ベースのジョン・マクヴィから。最初はブルースバンドだったという。初期の音楽や映像を見ると確かに確かに。「気取ったやつら」が聞いていた70年代後半のものとはかなり風情が異なる。
それもそのはず。せっかくバンド名となっているフリートウッドとマックの2名のリズムは、まさにリズムで、後から代わる代わるフロントメンバーとなるミュージシャンの作品で、個性、カラーがどんどん塗り替えられてしまったからだった。フリートウッドさんとマック(マクヴィ)さんは作曲しなかったんだね。
それゆえ、ファンの間ではフリートウッド・マックが好きだと言えば、いつのどのメンバーの頃が好きなのかという議論になるらしい。
デビューアルバム「フリートウッド・マック」に入っているShake Your Money Maker(カバー曲)を聞くと、そう、ダウンタウンブギウギバンドのスモーキンブギだったりする。このアルバムはオリジナル、カバーを取り混ぜつつ全曲ブルースだったとのこと。
セカンドアルバムではホーンセクションも導入。時を経てギター3人体制になりブルースだけでなく音楽的な広がりを見せた(らしい)。
Oh Wellという曲を聞けば、そのスタイルはレッドツェッペリンにも継承されているし、ギターのリフはイーグルスのLife in the Fast Laneを思い起こさせる。いろいろなミュージシャンに影響を与えていたと言える。
メンバーの中にはダブル不倫にアルコール・薬物依存などなかなかの突っ走りっぷりもあって1973年頃にはバンドは事実上の休止状態。だがその後しぶとくメンバー変遷を経て1975年の「ファンタスティック・マック」、1977年に「噂」などアルバムヒット。この頃かな、自分がよく耳にしていたフリートウッド・マックサウンドは。
音楽以外の面ではメンバー同士の関係も良くなかったようで、1987年のアルバム「タンゴ・イン・ザ・ナイト」を最後に低迷。2022年にメンバーのクリスティン・マクヴィが他界しバンドに終止符。
これほどメンバーが代わり、作曲をほとんどしないドラムとベースの名を冠した「フリートウッド・マック」はそもそもバンド名を維持する理由があったのだろうかと話を聞きながら思ってしまった。
だが、初代メンバーのドラム、ミック・フリートウッドの追悼コンサート(?)で、亡くなる前年のクリスティン・マクヴィが初期のStop Messing Aroundを演奏するビデオを見ると、「フリートウッド・マック」が半世紀以上の歴史を持ったことに意味があったように思う。
自分たちのヒットがあったのは、オリジナルメンバーのおかげとでも言うような気持ちだっただろうか。
で、あなたの好きなフリートウッド・マックはどのフリートウッド・マック?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?