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誰が呼んだか三大煮込み

居酒屋探訪家の太田和彦さんの著書『居酒屋大全』によると、東京三大モツ煮込みは、森下「山利喜」、千住「大はし」、月島「岸田屋」。さらに東京五大モツ煮込みとなると、これに立石「宇ち多゛」と門前仲町「大坂屋」が加わる、と言います。
https://play-life.jp/plans/3122
「東京五大煮込み 個性が炸裂する煮込みの名店はしご!」より

太田サンの著書は自分では確認していないが上記のような掲載が複数あるのできっとそうなのだろう。昨年、その巨頭の一角、岸田屋にお邪魔した。コロナの中、珍しく出社日で早めに上がることもできたし、同僚の転職壮行もしたかった。(今の環境では壮行会などできないし、そもそも店が開いていない)

彼はこのコロナさなかに社を移った。決して若くはないが天職を求めての勇敢なアクションに感嘆する。
さんざん現職にモンクをたれている自分にはとてもできそうもない。

その岸田屋は二回目の訪問だ。夏至を迎えたばかり(昨年のハナシ)で日は長く、午後六時から店前の椅子にかけて入店を待つ。暑くなく夕方の心地よい風と、向かいの店の焼鳥屋の煙が混ざり、それだけで幸せな気分になれる。
前述の店のうち、山利喜、大坂屋に行ったことがあるので五分の三、60%は制覇したことになる。「宇ち多゛」はあまりの列に断念した経緯がある。

岸田屋には一つだけ難がある。店自体の問題ではないのだが、大衆酒場でありながら客の回転が悪い。二度の訪店とも、「次」というところで三十分以上待つことになった。オープン時刻に客が入り、満席になった直後、というわけではない。

みなそれぞれ好きな店の定義はあろう。
① 「看板メニュー」がある
② たたずまい
③ 客
私はこの三つを挙げたい。①はその店で必ず食べたいと思う一品があるかどうか。値段は関係ない(が安いに越したことはない)。②はファサードすなわち店構え。古ければ良いというわけでもなくポイントは清潔感か。③も店全体を構成する重要なファクターだ。

岸田屋の難は、発注無しの長居客が多いように見える。魚三酒場のように勘定による「強制終了」もどうかとは思うが、一通り飲んで食べ終えればそこはすっと自分で勘定をすませて立ち上がるのが「大人の流儀」だ。伊集院サンに書いていただきたい。

ちなみに訪店三店における煮込みの好みの順位は①大坂屋、②岸田屋、③山利喜。
人の好みなど聞いても仕方がない?

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