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焦燥に吹く風

何に焦っていたのだろうか

突き抜ける風がそう思わせる

太陽の光が強さを増す頃

自分の影も濃くなる

雲の切れ間から青い空が見えては

反して焦ったい心の怪しさに

忙しなく走る車の音を響かせた

川に沿って歩けば

遠い海潮の香りがする

水面に反射して浮かぶビルが

波間に溶けながら揺れている

飄風が向かいから吹く

尚も髪を靡かせながら進む

あの事もこの事もその事も

共に流されてそこに忘れて行く様に

また強い風が吹くのだった


-完-

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