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抜けたり入ったりする父上。柳生忍法帖感想

CITY HUNTERの後に柳生忍法帖て。ありがてえよな。

今までになかった斬新なものが100年以上経ってもずっと出てくる、
どうなってんだ宝塚。

柳生忍法帖もぶっ飛んだ爽快ストーリーですが、
宝塚歌劇自体もショーなんか特に「異常事態常時強襲無限わんこそば」みたいな感じなんで柳生忍法帖と親和性高かったんじゃないかと思います。

「まあ宝塚なら何が起きてもおかしくないか」という前提があるんでね。
50年ほど前から人がペガサスに乗って名乗りながら空飛んだりしてるからね。

すごい荒いあらすじ 

【ものすごい荒いあらすじ】
時は江戸時代。
加藤明成に仕えていた堀一族はいよいよそのやり方の汚さに反旗を翻す!
加藤明成は堀一族を根絶やしにすべく、部下のめちゃくちゃワルくてて強い奴ら「七本槍」を堀一族に差し向ける。

堀一族の男たちは七本槍により捕らえられ、
その上男子禁制の寺に逃げ込んでいた堀一族の女たちを目の前で殺してやろうとする。

そこに現れた千姫(ものすごい偉い人)により事なきを得るものの
男たちは連れて行かれ全員殺されてしまう。

「七本槍、ぜってえ許さねえ!!!」
そう心に決めた堀一族の女たちは七本槍に復讐を誓う。

果たしてどえらい強い七本槍に堀一族の女たちだけで勝てるのか!?
いや勝てない!!七本槍は頭おかしいくらい強いから勝てない!!!
そのため助っ人として千姫に呼ばれたのが最強剣士「柳生十兵衛」であった。

なお助っ人の条件は「十兵衛の手でなく、あくまで堀一族の女たちの手によって七本槍全員を倒し復讐を果たすこと。」

「面白い」を連呼しながら快く引き受けた十兵衛。果たして
堀一族の女たちfeat.柳生十兵衛は復讐を果たすことができるのか!?

という感じ。

邪悪アロマセラピー1級の猪突猛進ヒロイン

あらすじが荒すぎて一切出てきてないですけど、
七本槍の親玉は加藤明成じゃなく、
芦名銅伯(あしな どうはく)という不老不死イケメンおじいさんなんですよね。
娘に出たり入ったりしがちなタイプ。

劇中にフラッとしたゆらが
「問題ない、父上が抜けただけじゃ。」みたいなセリフ言うんですけど

「父上って日常生活で抜けたり入ったりするものなんだ」

と思ったね。

その電波っぽい扱いの父上に抜けたり入ったりされてる「ゆら」が
最終的に十兵衛に惚れる邪悪アロマ検定一級ヒロインなんですよ。

邪悪なお香スペシャリスト的な感じ。
ユーキャンでもこの資格はカバーしてなさそうだなと思いました。

ここまでで何か質問はありますか?

悪逆非道のワルい奴ら、七本槍も個性豊かなんですけど、
綺城ひか理(あやき ひかり)さんの武人感めちゃくちゃ良かったすね。
役名、鷲ノ巣廉助(わしのす れんすけ)って言うんか。
正直劇中では名前わかんないんすよ。でも見るからに「ありゃ武人だな」という佇まいでした。

で、拳法の使い手なんで途中で「コォー・・・」的に
気を練る場面があるんですよね。

まあ公演一演目につき大体100回くらい上演されますんで、
舞台上で100回くらい気を練るんだなと思うと

綺城さんの練った気が溜まりすぎて最終的に劇場爆発しないか?

って心配になったりするよな。しないらしいです。

題材的には重たい復讐劇のハズなんすけど、
堀一族の女たち結構明るいんで、観てる側からすると闇の修学旅行って感じなんすよね。

夜に「え〜じゃあ好きな人言い合おっか♫(みんな十兵衛好き)」みたいなのやってそう。
十兵衛先生居たら絶対死人出ないだろという安心感があるからこそ
日常(?)が重すぎず良いバランスに思えるんすよね。

十兵衛先生は身動ぎ(みじろぎ)で相手を気絶させたりしますからね。

「パァン!!!!!(身動ぎで相手を気絶させる専用SE)」

が用意されてんすよ、手厚いよな。アレ鳴ったら全員気絶しますから。

そして時間の都合上結構な勢いで死ぬ七本槍。
そして明かされる芦名銅伯の不死の秘密からなんやかんやで死ぬ流れで
ギャグ漫画日和のソードマスターヤマト完結編の事を思い出しました。

「グオオーッ実は私は天海大僧正が死ねば死ぬぞ〜〜!!グハァ〜〜!!」的な。

あとは芦名銅伯が出ると一気に場がシリアスになるんすけどね、
いやシリアスになるんすけども、

娘のゆらは急に十兵衛に惚れるし、その時観客も含めた中で一番
「え!?!?!」みたいな動揺してる感あるし、
「我々には地の利がある!!!」って腹の底から言った後、平気で城まで十兵衛入ってきてるからね。
しかも娘も「あっしまった!!!」って言って七本槍の一人のウッカリミスで間違って斬られるし散々ですよ。

上司の娘を誤って斬る、そんなミスがあるか。


芦名銅伯は確かにラスボスですし、
場面にもふざけた要素は一切無いし確かに格好良いのになんか締まらないんすよね。
本人も周囲も若干おっちょこちょいというか。

まあ

着物にデカいドクロがあしらわれてるからだと思いますけど。

着物にデカいドクロをあしらうってキレ過ぎなんすよ。

尖り散らかしてますからね、そんなような奴は。
芦名銅伯が真剣な顔でドクロの着物仕立ててもらってるのとか想像しちゃうもんな。
いくつか柄あるのにドクロ選んでる場面的なね。
七本槍の人も反物屋の人も「えっそれ選ぶんすか?」みたいに思ってるけど言えない的な。

だまらっしゃい

まあでも柳生忍法帖個人的にはかなり良かったすね。
テンポも良いし、コミカルとシリアスのバランスも良くてワクワクする要素がいっぱいあった。

柳生忍法帖引きずりすぎて、
二幕のショー「モアー・ダンディズム」を観てても
「おっ十兵衛先生が踊ってらっしゃる」とか、
「おっ七本槍が踊ってる」とか
「銅伯が終始神々しい」とかそんなんばっかり考えちゃったね。

何せ愛月ひかるさんが退団公演なもんで、どうしても最後を目に焼きつけようと銅伯ばっかり観ちゃうよな。いや〜本当に美しかった。

宝塚が大好きなことがすごい伝わってくるところ、
それだけにきっといろいろ理想があるんだろうなってのがめっちゃ伝わってくんのが良いですよね。愛月さん、めちゃくちゃ矜恃を感じる。

デュエットダンスらへんで
「芦名よぉ〜♪」って歌った十兵衛先生の後に
ゆらと銅伯が出てくるもんだから「あっ本日は親子でお越しなんですか!」とか思ったもんな。

「芦名よぉ」じゃなくて「アシナヨ」って歌だったけども。

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