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体感温度39度の台湾で足湯と足裏マッサージを受けてきた話

台湾に行ってきました。
故にいくつか記事を更新していこうかと。

読者の油断を突いた開幕小室哲哉

去年の十月くらいからずっと行きたい行きたい思ってたんすけど、なんかしら立て込んで結局六月まで伸びちゃいました。
六月の台湾は梅雨が明けており、朝は晴れて午後はスコール、夜はまた晴れみたいな天気が毎日続くそうで。暑い。蒸し暑い。

到着したその日、まあ折角だしなんか観劇したいな〜つって京劇を観ることにしました。
開場の40分前に到着、うーん絶妙に時間あるな…飛行機で足疲れたしなあつうことで足ツボマッサージ屋のメニューを見てたら

ガラァッ!!!!!

つってドアが開きこちらに手招きするおっちゃん。
いやぁすんません、こちとらシャイなあんちくしょうだもんで、招いてもらって助かったね。
流れで40分コースの足裏マッサージをしてもらうことに。

30分のうち10分は足湯か〜。


足湯!?!!?!?(台北市、体感温度39度)


ヒューッオイオイ…こいつぁ流れる汗で桶の湯が溢れかえっちまうだろうぜ!
ミイラにマッサージするってェ!?哈哈哈!

と内心は大騒ぎだったが「好」としか言えなかった。
話せないからである。台湾に於いては圧倒的イエスマンとしての振る舞いしかできない。

やっぱ知らん文化圏に来たからには無作法者になりたくない、手本になってくれる客が居ないか店内を見渡す。
どうやら椅子に座ってYouTubeを見ている何人かは暇な店員で客は自分だけらしい。アドリブってわけかい、オーケイ任せな。

ただマッサージ受けるだけなのに何を言ってんだこいつはと思うかもしれんが、サービスってやつは客と提供側が協力してこそなんでね。

一人入ってきたなと思ったがやはり店の人で、受付で何かしらの麺を食い始めた。買い物に出てたんだな。

そんな店内で汗ダラダラのまま足湯に浸かる日本人を見て微笑むおっちゃん。
10分…10分もこの汗を流し続けたら自分という存在が半分くらいに減っちまうんじゃねえのか、
マッサージ予定の足裏パーツが湯に溶けて消えるんじゃねえかと思ったが店内は冷房が効いているのでギリギリ減らずに10分耐えた。
最終的にはむしろ程よいかもしれんとさえ思った。足湯最高。人はかくも単純なもんです。

足湯を終えたので早速足裏をマッサージしてもらう。
微笑んでいる、相変わらずおっちゃんは微笑んでいる。と思いきや


ガンッガンガンッ!!!!

スネのサイドの殴打である。いや痛い痛い。やはり足湯の作法がなって無かったから一旦殴打することにしたんだろうか。
違った。マッサージのスタートが殴打スタイルだっただけらしい。
しばらくして足裏に移行した。

チラリ盗み見たおっちゃんは相変わらず微笑んでいる、微笑んでいるが
もしも今、このおっちゃんが蟹足を割るように膝の関節を逆に折り曲げたらという謎の残虐コントみたいな想像をしてしまう。

おっちゃんはめちゃくちゃ愛想も良く微笑みを絶やさない、
あまりにも微笑みが優しいためむしろ強者の証にしか思えなくなってきた。
幽☆遊☆白書でも言ってためちゃめちゃ厳しい人たちがふいに見せる優しさ的に感じ始めている。

そしてたまにこちらを見て

「ウフフ…」

と笑うのである。

「ウフフ…」

と来たら当然こちらもコールアンドレスポンス的に

「ウフフ…」

と返す必要が出てくる。ヨッ!これがノンバーバルコミュニケーション。
笑い合っている、お互い確実に笑い合っているのだが痛すぎる、このまま足裏を突き破ったおっちゃんの親指がそのまま足裏を八つ裂き台湾の形にし
「これで色んな臓器、大丈夫」などと言ったらどうしようかと思うくらい痛い。

「痛い、大丈夫?」

そう優しい、このおっちゃんは実際本当に優しい。
客は中国語がわかっていない、としっかり理解しわざわざ日本語で確認してくれるほどに優しい。
ちゃんと言えば痛くないよう調整してくれるのだ。

「大丈夫!!!!!!!!」


イエスマンである。
咄嗟に出るのはいつもイエスである。

何がどう大丈夫なのか強く自問自答したい。何も大丈夫ではない。
磯野家婿養子マスオがごとく「ん゛ん゛ん゛ん゛〜〜〜!!」と言いそうなほど痛いぜサザエ。
でもこんな優しいおっちゃんに痛い痛い!!とか言えるわけねえだろサザエ、そうだろうよ。最高ですしか言えねえよ。
ピエロとは顔で笑って心で泣くもんって相場が決まってんだからよ。
サザエはまだ若いからわかんねえかもしれねえけどよ…ピエロの戯言、心に留めおいてくれ。

受付では姐さんが引き続き麺を食っていた。

「ゾゾッ…ゲッ!!!ゲホッ!!!
ッフォッ!!!ゲホゲホォッ!!!アイヨー…ゥォゲェフェッ!!」


「!?!!?!?」


台湾の観光スポット、十分瀑布で撮った写真をお楽しみください。

「ウフフ…」

いやおっちゃんそれでいいのか!?!?!


まあしかしウフフと来たらこちらもウフ…

バシッ!!バシッ!!!!

痛痛痛痛痛痛!!なぜ〆にもう一度殴る!?!?スネの横側なぜ殴打!?!?でも微笑みの優しさったら無いぜありがとう!!!

ピピピピピピピ!!!


咳と殴打とタイマーの三重奏が奏でられる店内、
あっという間の40分間だった。

マッサージしてくれたおっちゃんに謝謝と伝え、
麺でメチャクチャになってた姐さんに支払いをしようとしたところ

「座る」


と姐さんから指示が。レジ前の椅子に座ってみる。
姐さん涙目だが大丈夫か、さっきの麺、変なとこからちゃんと出てきたか??と見ていたところ温かい烏龍茶が。

「飲む…」

旨い。出てくる茶が悉く旨い。

マッサージ中にも茶を出してくれ、終わった後にも茶を出してくれる。いやあ最高っすね。
何より一番今茶を飲んで落ち着いたほうがいいのはアンタだってのによ…。
沁みたぜ温かい茶とその心遣い、なんて思いながら支払いを済ませたところ

「もう一回飲む」

もう一回!?!?いやいいよ!!もうこれ以上は流石に申し訳ねえ!!
となり店を出る。おっちゃんも姐さんも笑顔である。これには思わずマスオもニッコリ。

マッサージで血行が良くなったところにあったかい茶、慣れない気候に止まらぬ汗で
もはや背中はビショビショどころの騒ぎではなかったが足取りも気持ちも軽やかになる良い時間を過ごさせてもらったつう話でした。多謝!

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