灯台日記

灯台日記

最近の記事

2022/03/23(水)

去年の後半くらいから、気持ちが少しずつ物語に寄り始めて、今年2月にマサリクの本を読んだ辺りから、「ああ、これでいいんだ」「こういうことをやりたかったのかもしれない」と、自分の感じ方やスタンスを少しずつ信じてもいいように思えてきた。同時に、これまで「とにかく何でも知りたい、何でも読みたい」と思っていたのが、いい意味で焦点が絞られ、向かっていく方向が漠然とでも見えてきたような気がした。 世界とは何なのか。自分とは何なのか。 「自分」のままで、世界と向き合っていく、関わっていくに

    • 2022/02/07(月)

      まだ読み始め。「ヴェネツィアの宿」部分。 須賀敦子の両親の関係について初めて知った。須賀敦子のヨーロッパへの興味は父親の影響であり、そうした影響を自身に与えた父親をただただまっすぐに好きであったのだと思っていたので、父親が愛人を作っていたこと、そのことを須賀敦子自身が直接母親に伝えたこと、その父と母との関係の修復に須賀敦子自身が懸命になったというエピソードは意外だった。須賀敦子は裕福で恵まれた家庭で大きな苦労もなく育ち、そうした日本での生活とのギャップをイタリアで感じると同

      • 2022/02/01(火)

        主人公の「私」はおそらく遠藤周作自身の姿であるだろうと思ったので、主人公が見失ったイエスへの信仰がどのような結末を迎えるのかと思いながら読み、結論は「同伴者としてのイエス」。 解説にて「父性原理としてのキリスト教」、「母性原理としてのキリスト教」といったことが書いてあったけれど、たまたま録画していた遠藤周作関連のETV特集にて、遠藤周作が幼くして両親が離婚したため母とは離れて暮らしていたと言うエピソードを知り、なるほど、それで「同伴者としてのイエス」観に繋がったのか?というの

        • 2022/01/28(金)

          米原万里の書評集。毎度の事ながら著者の博覧強記ぶりに脱帽。解説にて井上ひさしが と書いていたけれど、本当にその通りだと思う。 小説でも評論でもエッセイでもなんでも、「背景に関する知識が私にもっとあれば、きっともっとこの本を楽しめるのに」「この本の面白さをまだ分かりきれてない自分が情けない」と思うことがしばしば。時代を現代と異にするものや、海外の作品に関しては特にそう。もちろん、何の前知識も無しに楽しめる作品もあって、そういう作品も素晴らしいと思うし、あえて何も知識を入れず

        2022/03/23(水)

          2022/01/20(木)

          圧倒的な知識量に愕然とさせられる。もっと勉強しないと。もっと本を読まないと。そんな気持ちを掻き立てられる。そしてその先には、どんな世界が見えるのだろう。どんな思考を、おのれは生み出すのだろう。 引き続きの須賀敦子。久しぶりに全著読破したい欲望にかられる作家。須賀敦子自身の著作はもちろん、翻訳した作品、須賀敦子が愛した作品、そうした関連作までも読みあさりたくなるこの感じは、中学時代にスピッツの音楽に出会った時のような胸の高鳴り。世界が開けていく瞬間。 そして須賀敦子繋がりで

          2022/01/20(木)