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【詩の翻訳】『真夜中ごろに』エドゥアルト・メーリケ

真夜中ごろに

泰然と夜が大地に入りこみ、
夢見るように山々の壁に寄りかかる
その目は黄金の天秤が今
時の中で秤皿をつり合わせて止まっているのを見ている。
そして泉は潑剌と音を立てて湧き出で、
母に、夜に、耳もとで歌うのだ、
一日のことを、
過ぎ去った今日一日のことを。

太古の昔の子守歌、
夜はもうそれに耳を傾けない、もう飽き飽きしているのだ。
彼女には、空の青さのほうがずっと甘美に響くのだ、
慌ただしく過ぎる時間の、均等に揺れるくびきよりも。
しかし泉はずっと言葉を発し続け、
水は眠りの中でなおも歌い続ける
一日のことを、
過ぎ去った今日一日のことを。

Eduard Mörike: „Um Mitternacht“, Hrgb. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Deutsche Gedichte für die Hauptschule, Frankfurt a. M.: Diesterweg,1966, S.8

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