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Werk und Tag/労働と一日

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2024年4月の記事一覧

【詩の翻訳】時代の風景/ゴットフリート・ケラー

【詩の翻訳】時代の風景/ゴットフリート・ケラー

時代の風景

深い谷間に微光を放つ鉄道があり、
橋が谷とレールを
はるばると越えていく、それぞれの柱が一つの塔で、
人工の冠を戴いて空中にそびえ立ち、
雲に向かって広い弧を支えている。

古代ローマのもののようだが、新しくて輝いており、
森に覆われた山々を結びつけている。
橋の上には車が走っていない、
というのも水晶のような水が上の方で流れているからで、
その清らな流れを船乗りたちは讃えるのだ。

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【詩の翻訳】通りの警備員たちの食事/ハインツ・ピオンテック

【詩の翻訳】通りの警備員たちの食事/ハインツ・ピオンテック

通りの警備員たちの食事

タールの入ったドラム缶の影で彼らは泰然と齧っている
赤みの多いベーコンと白いキャラウェイ入りのパンを
そしてナイフを掴むときに唾を吐き、
リムジンの赤に眩しそうに目を細める。

コーヒー瓶はゴボゴボ音を立て、殻が割れ、
老人の髭に黄身がはりつき、
ヤギのチーズは彼らが喋るのを妨げ、
昼はバターの香りのように過ぎ去る。

溝に生えた草の間を汗で濡れた帽子が転がり、
男たちは

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【詩の翻訳】宝を探す人たち/ゴットフリート・アウグスト・ビュルガー

【詩の翻訳】宝を探す人たち/ゴットフリート・アウグスト・ビュルガー

宝を探す人たち

死の床についたある醸造家が
子供たちを呼んでこう告げた。
「私たちのぶどう畑に宝が埋まっている、
さあ掘り出すのだ!」——「どこに?」
子供たちみんなが大声で父親に叫んだ。
「さあ掘り出せ!」……ああ悲しや!そこで男は死んでしまった。

父親が運ばれるやいなや、
子供たちは全力で掘った。
くわで、唐鍬で、鋤で、
ぶどう畑はそこらじゅう掘り返された。
かき回されていない土くれなどな

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【詩の翻訳】暗黒街/オスカー・レルケ

【詩の翻訳】暗黒街/オスカー・レルケ

暗黒街

暗闇の中で私は
自分の街がもうわからない。
黒く汚れたチョークでできた深淵を
街が雲からこちらへ垂らしている。

通りは一層狭苦しくかすめ過ぎる
家々の醜い顔を前に、大きくぐねぐねと。
引っ掻いた傷の跡が、
窓の列で声もなく滴り落ちる。

岩盤が虚ろにガタガタ音を立てる。
私は家の前にいる。
そこでは私の立てる音と影が
ドアを入ったり出たりしている。

Osker Loerke: „Un

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【詩の翻訳】謝肉祭/フリードリヒ・ビショフ

【詩の翻訳】謝肉祭/フリードリヒ・ビショフ

謝肉祭

あの謝肉祭だ——そうだよ、みんな、
川の氷が割れて轟音を立てながら流れ、
冗談と口づけの間に鳴らされた
幽霊じみた鐘の音のように響いていた。

太鼓、フレンチホルン、クラリネット。
飲み屋の中は陽気だった、
川の流れが寝床から
落ち着きなく起きてくるまで。

雪に包まれ、緑の松ぼっくりの歯をして、
水の精の国から来た
一人の男がボートから降りた、
全てが青ざめて見える……

彼がダンスに

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【詩の翻訳】ロビンソン/クリスタ・ライニヒ

【詩の翻訳】ロビンソン/クリスタ・ライニヒ

ロビンソン

ときどき彼は泣く、ことばが
じっと喉にあるときに、
しかし彼は学んだ、しかるべき場で
黙って自分をあしらう術を

そして昔ながらの事どもを見つけ出す、
半ば必要に迫られて、半ば遊びで、
石を割って刃にし、
柄に縛り付けて斧にして、

貝殻の縁で
自分の名前を岩壁に刻みつける、
とても頻繁に呼ばれていたその名前が
彼にはゆっくりと未知のものになっていく。

Christa Reinig

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