- 運営しているクリエイター
#ドイツ文学
【詩の翻訳】一月/オダ・シェーファー
一月
雪片が漂う
淡い光のなかで。
窓ガラスの向こうで
一人の顔がのぞいている。
氷でできた椰子と
羊歯、
結晶のような藁、
折れた小枝に囲まれて
ヒヤシンスが輝く
薔薇色に、青色に。
このいくつもの部屋の中で待っている
露が、
南風が、
交代するすべてのものが——
まだそれはくたびれた翼をたずさえて
うずくまり、耳をすましている。
Oda Schaefer: „Januar“, Hrsg
【詩の翻訳】二月/イローナ・ボッデン
二月
若い柳の木々はまだ黒く葉を落としたままで、
黒っぽい地面は雨でぬかるんでいる。
沼の縁や川辺の道々では
去年の枯れ草がしなしなと弱々しく佇んでいる。
まだ緑はなく、絹のようにすべらかな
弓なりの幹が傍らでかしいでいる。
赤い日がゆらゆらと輝く雲のかかった空に
夕方が紫色の影を連れて現れる。
星の輝く夜には
凍てつく息吹が青い彼方で震えている——
音もなく青ざめた野原が広がっていくように
【詩の翻訳】星椋鳥の歌/ジェイムス・クリュス
星椋鳥の歌
星椋鳥たちはふたたび
南から海を越えて
煌めく羽毛を生やしてやって来る
どこから来るのか、誰も知らない。
彼らは冬を
アドリア海で楽しく過ごしたのだろうか?
それとも遠く、遠く向こうの
暑いアフリカで?
僕は君たちに漏らすことはできない、
星椋鳥たちがどこへ行くのかを。
カルパチア山脈へ行くのかもしれないし、
トリノまでしか行かないのかもしれない。
星椋鳥たちはそうこうするうち
【詩の翻訳】早春/ヨーゼフ・ヴァインヘーバー
早春
山腹を黄金の微風がなぜる。
甘き静寂へ
祝祭めいて桜の茂みが咲きほこる。
森のはずれではノロジカが草をはむ。
割れ目や畑の溝に、
そしてきっと貧しい心の中にも、
まだ少し雪が残っている。
Josef Weinheber: Vorfrühling. In: Deutsche Gedichte für die Hauptschule. Hrsg. von Ernst Meyer-Herma
【詩の翻訳】春の信仰/ルートヴィヒ・ウーラント
春の信仰
おだやかな風が目を覚ました、
それはざわめき昼に夜に息づいて、
いたるところで働いている。
おおみずみずしい香りよ、おお新たなる響きよ!
さあ、哀れな心よ、怖気付くな!
今やすべて、すべてが変わらねばならない。
世界は日に日に美しくなり、
これからどれほど美しくなるのかわからない、
花の盛りは終わらないだろう。
最も遠く、最も深い谷底も満開だ。
さあ、哀れな心よ、苦悩を流し去れ!
今
【詩の翻訳】春の歌/ルートヴィヒ・ヘルティ
春の歌
風は青く、谷は緑、
小さなスズランが咲き誇り
その下にはサクラソウ。
谷間の草原は
もうこんなに色鮮やかで、
日に日にいっそう色彩豊かに化粧をする。
だからおいで、春がお気に入りの人よ、
そして世界を、
父なる神のやさしさを喜ぶがいい、
こんな壮麗な眺めを、
木とその花を
生み出したもうたやさしさを。
Ludwig Hölty: Frühlingslied. In: Deutsche
【詩の翻訳】それは春/エドゥアルト・メーリケ
それは春
春は自分の青いリボンを
ふたたび風になびかせる。
甘い、よく知る香りが
胸騒ぎに満ちて大地をかすめる。
スミレはもう夢みている、
すぐにも姿を現しそうだ。——
耳をすまして、遠くからハープの音が。
春よ、そう、それはおまえだ!
僕はおまえを聞いたんだ!
Eduard Mörike: Er ist‘s. In: Deutsche Gedichte für die Hauptschul
【詩の翻訳】夏の光景/フリードリヒ・ヘッベル
夏の光景
僕は夏に咲く最後のバラを見た、
それは、血が出てるんじゃないかってくらい、赤かった。
それで僕は通りすがりに震えながら言った、
生きてるときにそこまでいくのは死に近づきすぎている!
暑い昼間に少しの風もそよがず、
ただかすかに白い蝶が飛んでいった。
でもそのはばたきが空気をほとんど
動かさなかったとしても、空気はそれを感じ、過ぎ去った。
Friedrich Hebbel: Somm
【詩の翻訳】雷雨のはじまり/クリスティアン・モルゲンシュテルン
雷雨のはじまり
最初の大きな一粒が落ちる
荒いふるいの目から落ちるように。
甲高くブリキの屋根がきしみ、
巌と通りはきらめき、雨を吸い込む。
音を立てながら木の葉とマットが水玉模様にされていく。
雨か、霰か?
そこで閃光が影を裂く——
そして雨が降ってきた。
Christian Morgenstern: „Gewitteranfang“, In: „Deutsche Gedichte für
【詩の翻訳】大きな積み荷/インゲボルク・バッハマン
大きな積み荷
夏という大きな積み荷が積み込まれ、
太陽の船はもう港に停泊している、
君の後ろでカモメが急降下し鳴くときには。
夏という大きな積み荷は積み込まれた。
太陽の船はもう港に停泊し、
船首像の唇の上に
幽霊の微笑みがあからさまに浮かぶ。
太陽の船はもう港に停泊している。
君の後ろでカモメが急降下し鳴くときに、
西から沈没の命令が来る。
だって君は目を開けて光の中で溺死するだろうから、
【詩の翻訳】美しい十一月の日/ゲオルク・ブリッティング
美しい十一月の日
すでに枝々が葉を落としたので、
光はやすやすとそれを通り抜けて流れ、
川の上へと風が竪琴を奏でるように吹いてくる、
いまだかつてないほど甘く。
一つの巨大な果実のように
太陽が青の中にぶら下がっている。
今やもう太陽を探していない者は、
いばらの茂みで野いちごを見つける、賢くも
夏の木の葉の中に隠れていた野いちごを。
砂利だらけの入江にいる魚は
ばら色のひれをして
静かに止
【詩の翻訳】あと片付け/アントン・ヴィルトガンス
あと片付け
赤々と燃える炎をなして秋の森が燃えている
秋が森に火をつけたのだ
暗い山頂が丸くなっているところに、
焔が並び合い、びっしりと群がっている。
雲は煙のように立ちのぼる、
たくさん散らばった薪の山から。
そして冷たく厳しい風がハアハアと
鋭い息で火を吐く。
そのとききしむ枝葉から
いくつもの葉が火花のように飛び散り、
なおもほのかに光っている、葉が
白い大地に沈み込み、霜でぐっしょ