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Der immerwährende Kalender/万年暦

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2023年7月の記事一覧

【詩の翻訳】夏の光景/フリードリヒ・ヘッベル

【詩の翻訳】夏の光景/フリードリヒ・ヘッベル

夏の光景

僕は夏に咲く最後のバラを見た、
それは、血が出てるんじゃないかってくらい、赤かった。
それで僕は通りすがりに震えながら言った、
生きてるときにそこまでいくのは死に近づきすぎている!

暑い昼間に少しの風もそよがず、
ただかすかに白い蝶が飛んでいった。
でもそのはばたきが空気をほとんど
動かさなかったとしても、空気はそれを感じ、過ぎ去った。

Friedrich Hebbel: Somm

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【詩の翻訳】大きな積み荷/インゲボルク・バッハマン

【詩の翻訳】大きな積み荷/インゲボルク・バッハマン

大きな積み荷

夏という大きな積み荷が積み込まれ、
太陽の船はもう港に停泊している、
君の後ろでカモメが急降下し鳴くときには。
夏という大きな積み荷は積み込まれた。

太陽の船はもう港に停泊し、
船首像の唇の上に
幽霊の微笑みがあからさまに浮かぶ。
太陽の船はもう港に停泊している。

君の後ろでカモメが急降下し鳴くときに、
西から沈没の命令が来る。
だって君は目を開けて光の中で溺死するだろうから、

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