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「2分の2」が子どもを虫嫌いにするのかも #誰かのひとこと

「ぼく、虫のこと好きじゃないよ。虫って、きもちわるいもんね」

昨年の夏ごろ、当時3歳だった息子が言いました。
あ、これは、良くないことだ。
息子が両親に合わせて、虫を嫌いになろうとしている。

その日から、私の「昆虫克服プロジェクト」は始まりました。


私は、虫が苦手です。
厳密に言えば「羽の生えた昆虫」全般が無理めで、特にセミは近くで鳴かれると全身が総毛立つほどです。
実際に鳥肌が立ちます。

なんとも情けない話なのですが、中学校のときにセミが顔面にぶつかってきて以来、虫に恐怖心を抱き続けています。

だからセミとかカマキリ、バッタ、チョウチョなどが近くに飛んでくると、つい「うわっ」と声が出てしまいます。

そして妻も、虫が苦手で。
妻は私とは真逆で、羽の生えた昆虫は大丈夫なのですが、地を這うイモムシやケムシが無理みたいで、
デカ目のイモムシがコンクリートを這っていると「うわ、気持ち悪!」と言ってしまっています。

もう田舎に住むなよ、というような夫婦なのです。

でも私はなるべく子どもには虫嫌いになってほしくなくて、実際に「気持ち悪い」とは声に出さないように気を付けていたのですが、
やはり子どもの「察する力」はすごいですね。全部お見通しです。

そして冒頭のひとこと。焦りました。
明らかに「親の好き嫌い」を意識した発言だったからです。
虫が好きと言ったらお父さん嫌がるだろうな」という考えが透けていました。

親が子どもの自由な価値観を歪曲し矯正するというのは、考えものです。
それが意図せずとも起こってしまっていました。

そもそも私だって、小さい頃はミミズを手で掴んで走り回る少年でした。
それは親に昆虫採集に対する理解があったからこそです。

今回私は昆虫を克服することを決め、『小学館の図鑑NEO』を買い与え、自分もそれを読んでリハビリを続けました。

今では息子も喜んで読んでいます。

昆虫に対する苦手意識を払拭するために、昆虫に関する本もいくつか読んでみたりして。
調べてみると結構奥が深いというか、面白い個体が多くて生命の神秘を感じますね。
特に「前代未聞の昆虫図鑑」を作ろうと奮闘した、丸山宗利・著『昆虫学者、奇跡の図鑑を作る』は楽しく読めました。

今年の夏は息子と一緒に虫取り網と虫かごを持って昆虫採集に出かけました。
まだセミだけは克服しきれていなくて鳥肌が立ってしまうのですが、かなりマシにはなったかな。
息子が超絶たのしそうで良かったです。
ほらやっぱり昆虫のこと好きじゃん

ちなみに妻はイモムシを克服するのは無理みたいです。
でもこれは仕方ない。気持ちは痛いほど分かります。

今回、「親が二人とも同じ意見」というのは子どもにとって「世界の全て」になりかねないのだと学習しました。
3歳の子どもから見た「大人像」というのは、そのほとんどが両親のことです。
その二人が発する同じメッセージ、言い換えれば「2分の2」のメッセージは、子どもの価値観を矯正するだけの強い力となります。

今回、息子が発した「ひとこと」のおかげで、今では
お父さん虫が苦手だったけど、虫ってよく見ると面白いよね。ほら!
と、語りかけることができるようになりました。


普段は「毎日、少しずつでも成長する」をモットーに、読書にまつわる発信をしています。
また子どもたちが大好きで、子育てについても書いています。
よければ他の記事も読んでみて下さいね。

それでは、また。

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