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価値あるRestaurantであり続けるために 私達の挑戦。終わりと始まり。そして未来へ 【2020年4月 私達の出来事 コアバリュー編】vol-2


私達、株式会社グリップセカンドは全国60以上の生産者が作る無農薬野菜、旬野菜、鮮魚、畜産を中心に都内で12店舗の業態が異なるレストランを運営しています。

2回目の投稿。
私達のコロナ禍での取組、今までのこと、これからのこと。
この場でつらつらと綴って行きます。前回投稿もお読み頂けると嬉しいです。

【2020年4月 私達の出来事】vol-2

WEEK1 振り返り
・商品購入のニーズを時間帯別に構築する必要がある
 ⇨ 時間帯ニーズに対する商品構成が弱かった。
・ステイホーム禍での商品ニーズを掘り下げる必要がある
 ⇨ GRIP、RACINESでの夜メニューをテイクアウトも可能!
・食卓に並ぶ商品をお惣菜に組み込んでいく必要がある
 ⇨ 白いご飯には何が合うか?お母さんは何があれば楽か?
・より簡単に家で作れる商品を作る
 ⇨ 手打ちパスタ、パスタソース、真空調理のメイン料理を強化
  (無農薬ジェノベーゼ、手間暇かけたトマトソース等)
・天下の宝刀! GRIPオリジナルドレッシングのオンライン販売

私達はWEEK1での課題を検証し、さらなるアクションを起こした。
課題となった事項に対し徹底的に楽しく取り組むことにした。

◾2020年4月20日 WEEK2-WEEK3(4月末)

営業店舗
・GRIP本店 11:00-16:00 テラス席含む 60席
・GRIP PROVISION 10:00-18:00 食物販店舗

販売商品(WEEK1よりやや拡張)
・焼きたてパン 時間帯別の商品構成
・自家製無添加生ドレッシング販売、オンライン販売
・全国の産地から届く無農薬野菜販売
・各店舗業態が作るお弁当、お惣菜販売
・拘りの無添加調味料の販売
・GRIP、RACINESディナーメニューテイクアウト販売
・夜弁当の販売、おかずセット販売開始

販売準備
・各店舗SNS、HPでの告知
・GRIPメンバーズ会員様に対して私達の取り組みを告知するメルマガ配信
・テイクアウト告知(ストアレベル)

主目的 
・お客様との徹底したコミュニケーションの構築
・近隣住民、会社員の方に対し徹底したニーズのヒアリング
・12店舗業態を集結したランチボックス、お惣菜提供の可能性の議論

WEEK2-WEEK3 結果
・グリップ本店 ランチ平均売上 90,000円/日
・GRIP PROVISION 食物販売上平均 700,000円/日

WEEK2-WEEK3 総括、振り返り
・商品購入のニーズを時間帯別に構築したところ来店動機が分散され様々なニーズに対応出来たことで売上ば格段に伸びた。
・GRIP、RACINESでの夜メニューテイクアウトを行なったことで客単価が上昇。
・食卓に並ぶ商品をお惣菜に組み込んでいく必要がある
・徹底したコミュニケーションを行うことで私達の取り組みを共有してもらう。

WEEK2-WEEK3 自粛ポリス & 余談
・一生懸命さが伝わったのか一切のクレームが無くなった。笑


感じた違和感への対応

4月13日(WEEK1)より動き出した私達は一定の手応えは掴んでいた。
しかし、まだ伸び代が沢山あり、あらゆるニーズを拾いまくった結果、対応できる事が沢山あることにも気付いていた。
自粛期間がいずれ解除されることも想定し速やかに変化していくことも頭には入れていた。

この時期やれること以前に私達のお客様に対して、仲間に対して、社会に対しての「考え方」に少し違和感を抱えていた。

違和感とは常に正しい。

会社が少しずつ大きくなるにつれ、スタッフが多くなって行くうちに薄まっていった価値観があるのではないか?

「圧倒的当事者」であること。

レストラン事業に携わる人間の資質とは、この一言に尽きると常々考えている。これこそがベースでありこの部分が抜け落ちていれば

「会社とは結局、人だよね!」

なんてありふれたフレーズは存在しない。馬鹿げている。
自分自身が心から楽しめる仕事、自分が理想とする人生をしっかりと考えられるスタッフを抱え教育して行く事がレストラン事業を営む私達の生命線である。だからこそ人を信じ、教育に投資をし、豊かな考えのもと家庭を築き、街や社会に貢献できる。

必要な人材とはテクニックがある人材や、優秀な人材ではない。

私達の採用基準に飲食経験の有無は入っていない。むしろ無くてもいい。
私達の社会では時に「テクニック」と「スキル」は同義語であり明確な線引きが出来ていないように思える。

必要な能力とは情報を共有し、経験の中でそれらの技術=テクニックを身に付けた時、状況に応じて発揮できる能力=スキル。
言い換えれば「考え方」ではないだろうか。

・テクニック=経験の中で培った技術
・スキル=状況に応じて対応で出来るテクニック=技術、経験
⇨ 考え方が共有できているかが最も重要!


そんな中、Beforeコロナというキーワードがチームの中の議論で上がっていた。

「そもそもコロナ禍の前ってどうだった?」

・私達は創業当時から有難いことに上昇気流に乗り走り続けてきたことで立ち止まって深く考える時間があまり取れなかったのではないか?
・「大切にして来たコト」はブレてはいないか?
・お客様と心の底から楽しんでいたか?
・大勢のお客様が店舗に訪れること自体が当たり前に感じているスタッフがいるのではないか?
・圧倒的当事者としての自覚はあるか?
・全てはコロナのせいにしていないか?
・自店舗だけでなく、街に対して圧倒的当事者である事が求められているのではないか?

この議論が一番大切ではないだろうか?

私自身は、この議論にあまり介入せず様子を伺うことにした。
チームが何を考え、自主的に行動し、理想と現実のギャップを感じる事が出来るのか?
これに対し「正しいストレス」をかけられているうちは何もすることはない。いつもそう決めている。そして彼らはシンプルに答えを出した。

「コアバリュー」は正しく機能しているか?

私達にはスタッフで構築した「コアバリュー=私達の価値観」が存在する。
2013年に作ったこのコアバリューは当時のスタッフ全員(70名位、アルバイトスタッフも含む)に今まで大切にして来た価値観を上げてもらった。
全員に上げてもたった大切にしてきたコトは272個。ニュアンスは違えど両親や周りの人との関係性や環境の中で何となく大切にしてきた事が把握する事が出来た。
各店舗(当時は5店舗)からコアバリュー委員を2名選出し約半年をかけて、10項目からなる「共有できる価値観」をまとめた。あくまで価値観の共有が第一で、この中に仕事が出来るようになるには?なんて記述は一切入れないことにした。


「GRIP CORE VALUE」

◆ お客様にサービスを通して驚きの体感を届ける
① ポジティブなチームとファミリー精神を築く
② ルーツを想い、高い感性を構築し、楽しさと少し変なものを創造する
③ 気づきを大切にし、成長と学びを追及する
④ 変化を楽しみ、変化を推進する
⑤ 情熱をもって大好きな自分を受け入れ表現する
⑥ 謙虚であれ
⑦ コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
⑧ それぞれの文化を受け入れ、いたわりの精神を築く
⑨ 冒険好きで子供の様に創造的な事を楽しむ
⑩ ゆっくり歩き、コトつくりを考え抜く

 ※ 一つ一つの項目に沢山の記述が有るがここでは割愛します。

コアバリュー構築以降、私達は採用、昇格、降格、評価等全ての基準をコアバリューに合わせて行っている。
業務だけでなく社会生活においての価値共有も同時も行い
「チーム」としてのレストラン運営、店舗運営を行っている。
これは私達だけではなく、お世話になっている取引業者様にも配布している。
私達は社会の中でもこのバリューが正しく表現できているかも求めている。

ちょっと話は脱線。

私自身30歳までバスケットボールを生業として生きてきた。
有難いことに狂っているくらいバスケが好きな父親と、持って生まれた身体能力に恵まれ、小、中、高、大、社会人(JBL三井生命ファルコンズ)と日本でも最高レベルの環境で現役生活を全うした。
同級生や先輩後輩は今でも「B league」で指導者として活躍している。
私自身、自分がレストラン事業の経営者なっていることも不思議に思う事がある。現時点でもレストラン経営よりバスケットボールの知識、教育、指導者としての能力の方が遥かに高いと自負している。
現に、そういった指導者からチーム状況や戦術においてアドバイスすることの方がレストラン経営でのノウハウを語るよりも遥かに多い!笑

私はサービスのプロでもないし、お料理のプロでもない。
チームとしての戦い方のプロであり、現役までの30年間それしか行って来なかった。
私はレストラン経営を「チームマネジメント」として行っている。
意思決定のプロセスは縦割り型の組織的なものではなく、全てが適材適所のチーム運営こそが理想だ。
自分の課題と他者の課題とに分け目標達成に向けて個人としての能力を高めスキルを身につけていく。
それをチームに対して還元していってこそ役割があり、それこそがチームとして不可欠な存在として成り立っていく。
当然、エースも居ながら監督やコーチ、裏方さんまでがコミットし脇を固めコツコツとハードワークをこなすチームメイトもいる。沢山の自分ではないチカラの組み合わせこそが戦うバリエーションであり「強さ」だ。私はレストラン事業こそ「終身雇用」であり「年功序列」である事が理想だ。
幅広い世代が一つのレストランに集まりお客様を楽しませ街を創る。
若く才能に溢れるスタッフだけがメディアに颯爽と登場するのも良いだろう。しかし、サービスや料理だけで判断するべきなのか。
私は、社会の中で、人生の中で深く根を張った道を作り、様々な生き方を示しているベテランスタッフに対して尊重と敬意を抱く。
様々な考えを持ち合わせ大きな理想を叶えるには「チーム一丸」が重要であり、同時に圧倒的当事者でなくてはならない。

WEEK2 収穫

Beforeコロナを考えてる中でのコアバリューの再認識。
この議論の中心はスタッフであった。もちろん話についていく事が難しい新卒・新人スタッフや、まだまだ経験の浅いスタッフもいる中、圧倒的当事者としての考え方の共有、成功体験の共有、喜んで頂いて応援してくれるお客様の共有こそが今の私達の最大の体験であった。

限られた中での売り上げは安定してきた。一店舗だけの売上としては悪くない。然しながら弊社グループ昨対の売り上げは2割程度。
5月の戦い方はまた違うものになるだろう。この時点での報道によると、緊急事態宣言はゴールデンウィーク明けよりも更に延長し5月末の解除の見通し。
言葉に出来ない不安感や異なる生活環境、いつ終わるかも分からない閉塞的な社会がまだ一ヶ月も延長される。
私達にとって店舗を一時閉店することは大きな葛藤はあったものの、社会の流れの中でのハードルは低かった。
5月はこの中で店舗を順次再開させていかなくてはならない。
のしかかる固定費。大切な仲間の人件費。未来への大きな不安の中、もがきながらでも笑顔で乗り切らなくてはいけない...。

【2020年5月 私達の出来事】vol-1 に続く

株式会社 グリップセカンド 代表取締役社長 金子信也

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