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価値あるRestaurantであり続けるために 私達の挑戦。終わりと始まり。そして未来へ【2020年4月 私達の出来事】vol-1

初めてnoteを使います。
私達の未来の始まりにあたり今までのこと、これからの気持ちをつらつらと書き繋いでみます。

2020年4月。今年に入り世界中に広がった新型ウイルスとやらの影響がここ東京でも出始めた。
テレビでは連日感染者数を取上げ代わり映えのしないコメンテーター、MCがまるで私達の代弁者のように煽りまくった。

私達は全国60以上の生産者が作る無農薬野菜、旬野菜、鮮魚、畜産を中心に都内で12店舗の業態が異なるレストランを運営している。

この頃から日に日に少なくなるお客様の後ろ姿を呆然と見送っていた。
当たり前の日常が崩れ、耳慣れない「ロックダウン」、「首都封鎖」、「緊急事態宣言」等々が大合唱。後に自粛ポリスなどというものまで現れた。

私達を育ててくれた街はビジネス通勤や買い物客で溢れ、そして下町情緒も残る大都市。「池袋」である。
その他にも日本橋、八丁堀、日比谷の中央区が我々の主戦場である。

4月8日に出された緊急事態宣言を受け私達の出店する商業施設、国内での指折りの官民連携の公園事業を展開する「南池袋公園」も閉鎖された。
この公園内で運営する「RACINES FRAM TO PARK」も当然ながら休業となる。あらゆる恐怖、絶望感、やり場のない感情が私達自身にも現れ始めたのはこの頃だった。

私達の会社「株式会社グリップセカンド」では「私は」とういう言葉がない。
「私達は」から始まることが常でありチームとしてのレストラン運営が私達最大の強みである。

日頃から私達を叱咤激励してくれるお客様を恋しく思いアクセルもブレーキも踏めないジレンマは創業16年目を迎えた私達にも経験が無かった。
経験則からなる対処法が解らないまま街の景色が薄くなった。

2020年4月7日。
マネージャー、シェフ達とのミーティング。少し皆んな神妙な顔。
私が何を言い出すかの期待と不安が見えて取れた。
開口一番、
「先ず言っておくよ。会社のことは心配要らない。ここは俺の仕事」
続いて、
「みんなの家族は大丈夫か?何か心配事はないか?」
最後に、
「給与はいつも通り!100%保証するよ」ここでちょっと安堵の表情。笑

そして、
「さあ!どうする?俺達は何から考え始めようか?」

ここから未来が動くんだ!

でも、この時点で私達には何の確信もなく緊急事態解除後の世界など想像すら出来ていなかった。

2020年4月8日
世の中は緊急事態宣言に突入し、私達の街からもお客様の姿が消えていった。
私達がこれからの希望やモチベーションをチームとして維持するためにはどうしたら良いのだろう。
私達が共通して持ち続ける「Grip way=私達らしさ」をコロナ禍の現状に合わせ再定義することにした。
各店舗マネージャー、シェフ達が集まり現場の声を十分にヒヤリングした結果、GRIP的コロナ禍を生き抜くための5ヶ条を以下に決定した。

* 私達のレストランを止めないこと
* 私達を支えてくれている産地を止めないこと
* 医療従事者と同等のリスクがあるという覚悟を持つこと
* 月に20日以上休暇とし10日間を全力で取り組むこと
* 未来のチャンスを掴むための準備をすること

新たな取り組みは4月13日をスタートと定めスタッフ総出の準備が始まった。
先ず、池袋以外の店舗は緊急事態明けの5月7日まで全て一時休業。
池袋ドミナントは本店グリップのランチ営業と「Ginger」「SOUR HOUSE」を運営する「GRIP PROVISION=食材庫」を食物販店として無休でオープンさせることにした。
大人気店である「RACINES」は休業し、ここで焼き上げる1000個以上の自家製パンの販売も路面であるGRIP PROVISONでの販売に切り替えた。

◾2020年4月13日 〜 WEEK1
営業店舗
・GRIP本店 11:00-16:00 テラス席含む 60席
・GRIP PROVISION 10:00-18:00 食物販店舗 18坪

販売商品
・焼きたてパン
・全国の産地から届く無農薬野菜販売
・各店舗業態が作るお弁当、お惣菜販売
・拘りの無添加調味料の販売

販売準備
・物販販売チラシ作成
・各店舗SNS、HPでの告知
・GRIPメンバーズ会員様に対して私達の取り組みを告知するメルマガ配信
・テイクアウト告知(ストアレベル)

主目的 
・お客様との徹底したコミュニケーションの構築
 ※ベテランから新卒スタッフまでどんなコミュニケーションが必要かを日々
 ブラッシュアップ。
・近隣住民、会社員の方に対し徹底したニーズのヒアリング
・12店舗業態を集結したランチボックス、お惣菜提供の可能性の議論

WEEK1 結果
・グリップ本店 ランチ平均売上 90,000円/日
・GRIP PROVISION 食物販売上平均 400,000円/日

WEEK1 総括、振り返り
・商品購入のニーズを時間帯別に構築する必要がある
 ⇨ 時間帯ニーズに対する商品構成が弱かった。
・ステイホーム禍での商品ニーズを掘り下げる必要がある
 ⇨ GRIP、RACINESでの夜メニューをテイクアウトも可能!
・食卓に並ぶ商品をお惣菜に組み込んでいく必要がある
 ⇨ 白いご飯には何が合うか?お母さんは何があれば楽か?
・より簡単に家で作れる商品を作る
 ⇨ 手打ちパスタ、パスタソース、真空調理のメイン料理を強化
  (無農薬ジェノベーゼ、手間暇かけたトマトソース等)
・天下の宝刀! GRIPオリジナルドレッシングのオンライン販売

WEEK1 自粛ポリス & 余談
・釣銭は全て消毒してあるのか?
・朝食があるのでAM8:00から開けてほしい
・一度接客したらマスクを変えて欲しい
・パンを全て厳重に包装して欲しい
・4人家族なので4人前のおかずセットを作って欲しい
・コンビニの方が安いよ! 等々。
 ⇨ 笑顔でシカト、或いは出禁。(すんません!)

さあ、波乱万丈。
WEEK1を乗り切った私達はWEEK2に向けさらに準備を進めた。
この1週間、私達は確かな手応えを得た。
応援して頂けること。お客様の笑顔が観られたこと。止まってしまった街が少しずつ動き出し再びお客様に「有難う御座います!」と言えたこと。
収穫は多かった。
しかし、久しぶりに社員スタッフ全員と仕事をして思った事があった。
それは考え方の開き。普段の営業の中に埋もれてしまった個性。
圧倒的でなければいけない私達の個性が少し薄れ、何か小慣れてしまったような違和感。違和感とはいつの日も正しい。
何とかしなければ…

vol-2に続く。
株式会社 グリップセカンド 代表取締役社長 金子信也

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