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ギフトのミスマッチ


よくあるギフトのミスマッチ〜好意だけでも届いてほしい

所属するボランティア団体の先輩からこんな話を聞きました。アフリカへ援助物資を贈るにあたり、何が良いかと団体内で話し合った結果、とにかく子供たちのミルクが不足しているに違いないからと粉ミルクを送ったそうです。ところが「これからはあまり粉ミルクを送らないで欲しい」との返事が戻ってきて、がっかりしたそうです。
それは、乳幼児に粉ミルクを飲ませると(出の悪い母親の)母乳を飲まなくなり、離乳が早まってしまうために次の妊娠が早まり、人口増加にさらに拍車がかかるとの理由でした。
当時の先輩たちはそこまで思いが至らなかったと反省したそうです。

初孫ができた友人の奥様が、折に触れて息子さん夫婦の元へ孫の服を贈っていたそうです。
それがお婆ちゃんになった彼女の楽しみでもあったわけです。お嫁さんが孫を連れて遊びに来るたびに、贈った服を着せてくれていたので、とても嬉しく大満足していました。ところが友人と奥様が、息子さん夫婦の家を訪れて、アルバムやビデオを見せてもらったとき、贈った服は1枚も写っていなかったので気落ちしたという話を聞きました。

ミスマッチの効用〜気づかない自分を発見

ある贈り物好きの後輩がこんなことを言っていました。
「いただいた贈り物が自分の好みにぴったり合わないのは当たり前、自分で選んで買っても気にいるとは限らない。
ただ、贈り物には自分ではとても買わないような意外なものがあるから、その『驚き』や『発見』を楽しみにしている。」と。
例えば、一見自分にはとても似合わないと感じた(ネクタイやショールなどの)装飾品などの贈り物が、使ってみると意外に自分のイメージにフィットしていて『気づかなかった自分を発見する』こともあるそうです。

贈って相手を困惑させてしまうこともあります。珍しいお酒が手に入ったので、お客様に贈った時のこと。お礼の電話をいただいたのですが、会話の最後に「酒屋に酒の贈り物は控えた方が良いですよ!」とやんわり苦言をいただきました。
幸いにもその方とはその後もコミュニケーションが途切れず永くお付き合いいただいています。

ミスマッチを恐れず「贈り」続けること

「人さまに贈り物をする」ということは難しいことかもしれませんが、だから迷ったり、探し回ったり、場合によっては相談したりして、『時間を費やすこと』。それも贈り物の楽しみの一つだと思います。贈り物についてあれこれ思案する時間は、今の時代に求められる感性とコミュニケーション力の向上につながると信じています。

一般社団法人ギフト研究所
代表理事 山田晴久


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