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【清水由起のデータから読み解くギフト事情 vol.3】コミュニケーション手段としてカジュアルギフトの存在感は年々上昇


より近しい間柄で贈られるギフトがますます好調

近年は近所付き合いや親せき付き合いといった儀礼的な付き合いが少なくなっていく半面、家族間や友人など気心の知れた間柄での関係性を重要視する傾向が強くなっており、それに伴ってちょっとしたお礼や挨拶、お祝いなど、あらゆる場面でギフトを贈る様子が見られる。

また、SNSを使ったソーシャルギフト・eギフトの展開が拡大していることもあり、日常の中でのコミュニケーションの手段として、「おめでとう」「ありがとう」「ごめんね」「お疲れ様」といった気持ちを代弁するために気軽なギフトを贈る機会も増えている。

当レポートでは、カジュアルギフトをバレンタイン、ホワイトデー、ひなまつり、子供の日、母の日、父の日、敬老の日、クリスマス、誕生日、結婚記念日等に贈られるギフト、手土産、お土産、御礼一般、プチギフトなど、いわゆるプレゼント需要と定義しているが、なかでも「誕生日」「クリスマス」「母の日」「父の日」「敬老の日」といった、より近しい間柄で贈られるカジュアルギフトが、コロナ禍を経てますます好調となっている。

1:「コト消費」がギフトに代替、コロナ後も概ね定着の動き

特に、コロナ禍では気軽に人と会えなくなったことで、コミュニケーション手段としてギフトが利用されることが増えた。会って食事を楽しんでいたオケージョンでは、ギフトに代替されるケースが多く見られた。また、離れて暮らす親子や兄弟、学校や職場等で気軽に顔を突き合わせることができなくなった仲間や同僚、学生時代の友人に対し、会えないけれど「元気にしてる?」というコミュニケーションの手段として、上記のようなオケージョンに、プレゼントを贈る傾向が多く見られた。

アフターコロナとなった昨今は、人と会えるようになったことでこのような需要が再び「コト消費」へと戻りつつあるものの、一度贈って喜ばれた経験は贈った側にも贈られた側にも鮮明な記憶として残っており、単年では前年割れとなっても、コロナ禍以前の2019年と比較すると二桁成長しているオケージョンは多い。もちろんその成長は落ち着きを見せているものの、特別なオケージョンに大切な人のためにギフトを贈るという行為自体は多くの人々に定着しつつあると言える。

2:手土産・お土産需要の回復で市場は今後も拡大傾向

一方で「移動」が伴うことの多い「手土産」「お土産・御礼一般・その他」は、コロナ禍で大きく落ち込んでいた。

しかし、2023年は国内旅行客・外国人観光客がともに急増、また、個人間における対面での付き合いが再開されているだけでなく、法人間でもその傾向が見られている。コロナ禍を機に取引先との商談や出張はオンライン開催に切り替えられ、効率の良さからその傾向は続いている一方で、重要な場面では「やはり対面で」とされるケースも多くなっており、そのため、手土産にかける費用も上がる傾向にある。

2024年は、インバウンド客の戻りが土産市場にもたらす影響が大きいことは明らかであり、円安の進行もプラスに作用して買い物を楽しむインバウンド客も多いことから、今後も土産需要を中心に拡大していくものとみられる。


清水由起
ギフトアナリスト。 株式会社矢野経済研究所で、ファッション関連の消費財分野や複合商業施設のマーケティングを担当。業界唯一のマーケティング資料「ギフト白書」を統括し多様化するギフト業界を体系的に調査している。 ギフト研究所特別顧問

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