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【みずた実の季節のギフト 7月】 夏の贈り物 『中元』 あれやこれ


そろそろお中元のことを考えなければならない季節がやってきましたね。日本には古くからお世話になった方へ物を贈る風習がありますが、その一つである「中元」とはいつ、どのようにして始まったものなのでしょうか。今回は、その意味や由来について取り上げてみたいと思います。



ギフト市場の中でも大きな市場を占める慣習

昨今は儀礼的な慣習となる中元・歳暮は減少傾向にありますが、矢野経済研究所によると、法人とパーソナルを合わせて中元市場規模は6,820億円(2022年)になります。そこに歳暮を加えるとその市場規模は合計で1兆5,470億円(2022年)となり、ギフト市場規模の約10兆5.000億円からとらえても大きなウエイトを占めていることがわかります。

ちなみに、この中元時期(歳暮も含め)の贈答慣習は日本独自のものです。海外には母の日や父の日のような感謝を表す日はありますが、日本のように中元・歳暮のような贈り物をする時期はありません。
もちろん、日本のようなお返しの文化(返礼文化)もありません。

そもそも「中元」ってなんなの?

さて、皆さんにとって「中元」といえば、「日頃お世話になった方へ、(半年間の)感謝の気持ちを伝えるための贈り物シーズン」といった印象をおもちかもしれません。でも実は「この半年の感謝を伝えながら次の半年(下半期)の健康を祈るもの」なのですよ。
そこで、その「中元」の由来や歴史、起源について調べてみました。

「中元」の由来や歴史、起源は?

中元の起源は、道教※1に由来する年中行事で三元節のひとつになり、人間贖罪(しょくざい)の日として神を祀った日になります。もともと中元は旧暦の7月15日に行われていましたが、現代の日本では新暦の7月15日または8月15日に行われるようになりました。この三元節の中元が仏教行事の盂蘭盆節(うらぼんえ/お盆)とも呼ばれています。
<三元節>
・上元節 : 1月15日
・中元節 : 7月15日
・下元節 : 10月15日

仏教の盂蘭盆節は、父母や祖霊の供養や亡き人を偲び7月15日を中心に7月13日から16日の4日間に行われる仏教行事となり、日が同じ中元節とともに儀礼の融合が進んだそうです。
そして三元節では神への奉納品があり、盂蘭盆節には霊に対するお供物があるわけです。この奉納、お供物の慣習が江戸時代頃からだんだんと、「半年無事に過ごせたことを祝して日頃お世話になっている人へ贈り物をする」慣習として広がっていきました。

※1:道教は中国固有の宗教。儒教・仏教と並ぶ三教の一。
不老長生をめざす神仙術と原始的な民間宗教が結合し、老荘思想と仏教を取り入れて形成されたもの。のちに中国の民間習俗に強い影響力をもった。

「中元」と「歳暮」の違いは?

中元は正月から夏までの間のお礼となりますが、歳暮は文字が示すように「歳=年」で、“年の暮れ”という意味になります。故に歳暮は一年間の感謝の気持ちを表す贈り物になります。 

その由来も、中元は前出の通り古代中国の三元節が由来になりますが、歳暮も同じく古代中国の影響を受けながら、同時に日本発祥の「御霊祭り※2」の慣習に由来しています。

その中元と歳暮。年に2回、両方とも贈るのが一般的です。しかしながら必ずしも両方とも贈らなければいけないわけでもありません。ただし、両方とも毎年感謝を伝えることを前提に贈り続けるものになりますので、さまざまなことを考慮した上で贈る相手を決める必要があります。その点はぜひお気をつけください。

※2:御霊祭りは、正月の行事の一。大晦日(おおみそか)の夜または元旦の未明に,祖先の霊や歳徳神をまつること。

喪中や時期が過ぎてしまった場合はどうするの?

中元はお祝い事ではなく日頃の感謝を相手に伝えるためのものなので、贈る側と受け取る側どちらかが喪中でも、贈って良いものとされています。
(歳暮も同じ)

ただし、喪中の相手に贈る際は家の整理や気持ちの整理など遺族にとって負担のかかる時期である「四十九日」を避けるようにしましょう。また中元や歳暮ののし紙に使われる慶事を表す紅白の水引は避け、白無地の奉書紙と黒白の水引を使うといった配慮も必要です。

また、やむを得ない事情で時期が過ぎてしまった場合は、のし紙の表書きを変えて贈るようにしましょう。

のし紙の表書きは、時期相応ならば「お中元」となりますが、7月15日を過ぎた場合は「暑中見舞い」で、さらに立秋を過ぎた場合は「残暑見舞い」という表書きを書いて贈りましょう。

贈ってはいけないNGギフト

中元は、お世話になった人への感謝の気持ちを贈るものです。だからと言って何を贈っても良いということではありません。
そこには吉凶という「縁気」や「語呂合わせ」「意味合い」などが良くないものは基本的にNGです。
たとえ頂いた方が気づかなかったとしても、先様が不快に思うような物を贈るのは考えものですね。
でもこれって、普段何気なく贈っているギフトにも同じことが言えますので注意してくださいね。

<贈り物のNG商品>(プレゼント全体に共通)

・縁起が悪いものは避ける

時代や世代によって、「縁起」に対しての認識も変化していきますが、気になるのも事実。一般的なギフトのマナーとしてタブーな商品は知っておきましょう。

・4や9といった語呂合わせで悪いイメージとなるもの

日本では忌み嫌われる数字4(死)、9(苦)などをイメージさせるもの。例えば「櫛(くし)」など。

・相手先の家族構成(人数)に合わないもの

昨今、中元ギフトで冷凍食品や菓子の詰め合わせなどが人気ですが、あらかじめ相手先の家族構成を考慮して贈りましょう。食べきれない量だとかえって迷惑になってしまい、フードロスにもなりかねないですからね。

・何かと登場するハンカチ

実は贈り物として人気のある商品なのですが、ハンカチを漢字で書くと「手巾」で「手切れ」となることから絶好の意味に受け取られることがあります。また、白い無地のハンカチは亡くなった方の顔に掛けられるため絶対に避けてください。もし贈り物にするのなら色ものや柄の入ったものにしましょう。

・包丁やハサミなどの刃物類

刃物は「切れる」「縁が切れる」という意味に取られる可能性があるので、贈り物には適さないとされています。ただし、相手が料理好きの方で要望があればOKです。

・贈ってしまいがちな履物や敷物

中元というよりも新築祝いなどで贈りがちなアイテムですが、相手を「踏みつける」イメージになるためNGです。
靴下や靴も含まれます。また相手先の好みもあるので商品選びも難しいアイテムになります。特に目上の方への贈り物としては相応しくないとされています。

・花や植物、花言葉などに注意して

花や植物を中元として贈ることに問題はありません。ただ、花や植物には花言葉があり、ヒガンバナの「悲しい思い出」やリンドウは「悲しんでいる時のあなたが好き」などの意味があるので贈る前に花言葉を調べて贈りましょう。

・相手に好きなものをと・・・商品券や金券

中元だけにとどまらず、相手に好きなものを買ってもらえるようにと商品券や金券を贈るという方もいらっしゃいますが、中元(歳暮含め)の贈り物としては金額がはっきりとわかってしまうだけではなく、相手への気遣いを手抜きしている印象を与えてしまうこともあります。
特に目上の方への贈り物としては失礼にあたります。

・その他、時計類や筆記用具

中元の贈り物としてはあまり選ばれる商品ではありませんが、ボールペンや万年筆などの筆記用具や、時計類には「もっと勉強しなさい」という意味合いがあります。こちらの商品も目上の方や取引先の方に勤勉を奨励することになるので、中元の贈りものには相応しくありません。

 

ギフトを選ぶ時のタブーは、長年の慣習的なものが多く、最近では気にしない傾向もありますが、あくまで心を込めたギフトを贈るためにも相手のことを考えて、失礼のないようにマナーを知っておくことは大切です。

あと、ギフトを選ぶ際には相手が受け取った際に負担をかけないものを選ぶことが大切です。そして「相手がもらって喜んでいただけるかどうか」がポイントになります。

近年では若者世代を中心に中元や歳暮を贈る人が減っているようです。しかし、いかにこの慣習が日本に根付いてきたのかを知れば、お世話になった方へ感謝の気持ちがこもった贈り物をと考える人も増え、先のギフトの未来へつながっていくではないでしょうか。

参考資料:Wikipedia、LAST Drip Designs、楽天他


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